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Sampleレヴュー

■Bass Solo (2016年)

Bertrand Duchaufour氏が手がけた4つ目の香り。中央アフリカ原産のウェンジウッドアコードを作り出し、それをフューチャーした香りとして作られたもの。イメージ画像にはベースがありますが、楽器を作り出す樹木として様々なウッディノートを重ね、真っ黒なボトルに閉じ込めました。ウェンジウッドが黒色だからです。

 

 

トップ:サフラン、ジンジャー、ライム、カルダモン
ミドル:ラベンダー、モロッカンシダーウッド、ヴァージニアンシダーウッド、フィグミルク、バーチタール
ベース:サンダルウッド、アンバー、ドリフトウッド、ウェンジウッドアコード、ムスク、オポポナックス、アミリスウッド、パチョリ

液体は黒色ではなくクリアな透明のもので、とても滑らかで柔らかなウッディノートが広がります。トップでおが屑のようなウッディノートが弾けた後、ラベンダーが香り始めたあたりからどことなくメンズらしいテイストとなり、黒色らしいダークなイメージとは裏腹に、透明感のある硬質な樹木の音をイメージさせる香りへと変化していきます。シダーウッドが2種使用されているものの、そこまで精油感が強いわけではなく、合成香料のウッディノートの方が多くあり、そちらが強く前に出てきます。メンズのフゼアというには少し穏やかで、後半はラベンダーが消えてユニセックスにまとまります。このラストノート・・・何かに似ている・・・と思い出されたのはHM for men (Hanae Mori homme)のEdPでした。少しフルーティーな甘さがウッディノートに重なり、セクシーなウッディとなって肌に残るのです。真っ黒なボトルですが、案外軽やかに使えますよ。(17/10/2016)


■Land of Warriors (2014年)

戦をテーマとしたのか、戦士の国というタイトルで、男性の象徴として馬を描いたボトルで発売となりました。調香はこちらもBertrand Duchaufourが担当。

 

 

オレガノ、アンジェリカシード、ルバーブ、ポメグラネイト、ベルガモット、マンダリン、ジュニパー、アイリスコンクリート、レザー、ワイルドアコード、ファーン、フレッシュリーフ、ホーソン、スティラックス、シプリオール、パチョリ、タバコ、オークモス、マホガニー、カストリウム、シスタスアブソリュート、アンバーグリス、ムスク

ボトルが真っ赤で目を引きますが、香は赤の印象ではなく、どちらかというと緑褐色。草原を駆ける馬というところでしょうか。レザーが香りの軸にあり、アクセントとして干し草の香りが漂っているのです。とてもたくさんの香料を使いつつ、香りはそれほど複雑なものになっているわけではなく、独創的な部分もありません。でも、しっかりと彼らしいテイストでまとめられており、上品なメンズのレザーとして成り立っています。香り自体がとてもふんわりとした柔らかさを感じるものとなっていますので、筋骨隆々な男性さではなく、スーツに合いそうな少しインテリ風のアンバーウッディレザーと言えそうです。(13/02/2015)


■Swan Princess (2014年)

2014年に発売されたBertrand Duchafour氏による調香の香りのうちの1つ。ボトルデザインが赤と白で発売されたのがですが、赤い方はLand of Warriorsという香りで、こちらの香りは白と紫のデザインに。タイトルは白鳥の湖で、パッケージとボトルに描かれている伝統的なロシアの模様はPermogorkaと呼ばれるものだとか。

 

 

ピンクペッパー、アルデヒド、フレッシュシトラスアコード、ベルガモット、ジャスミン、ガーデニア、スズラン、ミモザ、アイリス、ローズ、ピオニー、6種のムスク、サンダルウッド、ベチバー

香りは、軽やかで綺麗なホワイトフローラルをたっぷりのムスクとクリーミーなスイートノートで包み込んだような香りです。所々にパウダリーさを感じるホワイトフローラルで、少しファッションフレグランスっぽいニュアンスを感じるフローラルノートとなっています。彼の調香にしては大人しめかな、とも思えるのですが、6種のムスクで全てを包み込むようなスタイルは初めてなのかもしれません。もわもわと主張するムスクになっているのではなく、パウダリーで柔らかな残り香を形成するムスクですので、個性さを楽しむというよりはヘリオトロープの少し杏仁系なクリーミーフローラルがお好きな方向け。(14/01/2015)


■Enchanted Forest (2012年)


最初の香りはEnchanted Forestと名づけられました。これはロシアに伝わる妖精の森のイメージで、軸となったのはカシスです。ボトルにはシルバーで、パッケージはゴールドで描かれていますが、これがロシアに古くから伝わる伝統的なHohlomaというペイントなのだそうです。そしてそのペイントはElena Knezhevichご本人によるもの。素晴らしい才能ですよね。
調香を担当したBertrand Duchafourはカシスの香りをより良く感じさせるために貴重な天然香料を様々な形で膨らませたそうです。それは野菜のスープのようだ、と語っています。カシスはフルーティーでグリーンな香料で、数少ないシトラス以外の天然のフルーツ香料です。シベリアのタイガに広がる森のようなイメージなのか、ファーバルサムのアブソリュートにオークモスを重ねて肌に残るラストノートを森の中へと誘います。

 

 

トップ:ピンクペッパー、アルデヒド、スイートオレンジ、カシスフラワー、ブラックカラントリーフ、ホーソン、ラム、ワイン、ローズマリー、ダヴァナ
ミドル:ブラックカラントアブソリュート、ブラックカラントCO2、ルシアンコリアンダーシード、ハニーサックル、ローズ、カーネーション、ベチバー
ベース:オポポナックス、シャムベンゾイン、アンバー、オークモス、ファーバルサムアブソリュート、パチョリ、カストリウムアブソリュート、シダーノート、バニラ、ムスク

天然香料のブラックカラントというのは果実から得るのではなく、花芽から抽出します。果実に行くべき芳香成分をすでに花がもっているわけですが、だからこそグリーン香が強いのです。その天然香料を香ったことがある方ならばすぐにそれとわかるほど質の良い美しいブラックカラントアブソリュートが広がります。確かにアブソリュートの香りのワイルドさが少し和らいでいて、より果実に近い印象にまとめられているのが香りを香るとわかります。それはフルーティーだけど可愛らしいわけではなく、どちらかというとワインやリキュールに近い大人向けのテイストで、全てが1つにまとまって香っています。凄いですよ、とにかく沢山の香料が重なっているのに、香りは1つに集中しているのです。Bertrand Duchafour氏が野菜のスープのようだと表現したのは、そういうことなのかもしれません。鍋に残った最後のスープのように、全ての要素が1つにまとまって美味しくなっている、それは簡単には再現することの出来ない豪華なスープとなっている、そんな感じも受けます。トップではジューシーさがスパークしてびっくりしますが、香りは次第に落ち着いて密やかになりつつ森の中へと隠れていきます。ラストノートで1番強いのはファーバルサムアブソリュートなのですが、そこまでダークに歪んだオリエンタルノートになっているわけではありませんので、基本的にはカシス(ブラックカラント)を好きな方向けの香りです。ただ、世界で一番豪華なカシス(100mlのEdPが140ユーロ)となっているのは間違いないでしょう。

(30/12/2012)

 

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