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Sampleレヴュー

 

 

■Harry's (2023年)

1931年5月13日、Giuseppe Cipriani Seniorがオープンさせたヴェネツィアの老舗レストラン。そこは、作家、画家、芸術家、貴族や王室に愛され、交流が生まれた場所であり、現在も続いています。調香はRoberto Darioが担当。

 

 

トップ:コリアンダー、ピンクペッパー、ゼラニウム
ミドル:シダーウッド、スモーキーノート、フランキンセンス
ベース:ラブダナム、アンバーアコード、レザーアコード

Peggyよりもフランキンセンスが強く弾けてスタートです。アロマティックなハーブとスパイスがフランキンセンスを盛り立て、清々しいほどフランキンセンスが心地良く広がるのです。レストランのイメージにはあまりないタイプの香りかもしれませんが、ノーブル(高貴)さをテーマとしていたらこの香りでもいいかな、と思う香りで、時代をつなぐ香りにも思えてきます。無声の黒白ムービーに合う香り。(01/08/2023)


■Mosaic (2023年)

ヴェネツィアでモザイクと言えばサンマルコ寺院の大聖堂でしょう。829年、アレクサンドリアから運ばれ、後にヴェネツィアの守護聖人となった使途マルコの遺骨を納めるため、9世紀につくられたビザンティン様式の大聖堂。当時のコンスタンティノープルの様式に大きく影響を受けたことで美しいモザイク装飾が採用されたのです。調香はRoberto Darioが担当。

 

 

トップ:デーツアコード
ミドル:サンダルウッド、サフラン、レザーアコード
ベース:ベンゾイン、ベチバー、ムスク

デーツというよりもラブダナムに近い香りで始まります。甘くオリエンタルな樹脂香がしっとりとウッディノートに絡みつき、少しアニマリックにも感じられる1つの香りとなって広がっていくのです。ラブダナムと言うとスペインが有名ですが、ギリシアも産地ですから、東ローマ帝国の背景にはマッチしていて、ベチバーを微かに感じるウッディオリエンタルから一転、軽やかなラストノートに落ち着きます。Harry'sと重ねて使うとより大聖堂らしく感じられるかもしれません。(01/08/2023)


■Peggy (2023年)

Peggy Guggenheim Collectionとは、カナル・グランデ沿いにあるSolomon Robert Guggenheim財団の美術館で、彼はアメリカの美術品蒐集家であり慈善家でした。その姪にあたるPeggy Guggenheimもまた美術品の収集家であり、ヴェネツィアに移り住み、生涯を過ごしたそう。彼女の住まいであった邸宅が死後に美術館として公開されたのです。彼女は1946年にタイタニック号で亡くなったBenjamin Guggenheimの娘でもあります。調香はヴェネツィア近くに住み、ヴェネツィアを知り尽くしたRoberto Darioが担当です。

 


トップ:フランキンセンス
ミドル:サンダルウッド、アトラスシダーウッド
ベース:アンバーアコード、ムスク

とても穏やかなフランキンセンスで始まります。レモンくらいトップにあっても良かったかな、と思う少しロースタートですが、フランキンセンスの中のピネンが弾け、そこからムスクに包まれたウッディフランキンセンスへと変化していきます。フランキンセンスの樹脂を焚くともともと樹木の中にあったことがわかるウッディノートを有したフランキンセンスの香りとなって広がるのですが、この香りもそうした焚いた時のフランキンセンスに近いウッディなフランキンセンスです。特にサンダルウッドが利いているため穏やかで、物音ひとつしない静謐な空間を感じさせます。インパクトは強くなく、10分ほどで微かなウッディムスクとなって落ち着きます。(31/07/2023)


■Blanc de Blanc (2022年)

白の白というホワイトフローラルを軸とした香り。オフィシャルには以下のポエムがあるのですが、なかなか意味がつかめません。愛する人を花の香りに例えているのでしょうか。

 

You live in me like the scent of a flower
Life with you is different.
Time doesen’t move hour to hour
It’s mood to moment
We live by the currents
Plan by the tides
And follow by the sun
Untill the day is done.
You live in me like the shadows of the sky
Lives in the sea.

 

 

トップ:ベルガモット、ピーチ、アプリコット、パイナップル、マリンノート
ミドル:ジャスミン、ローズ、マグノリア、フランジパニ
ベース:サンダルウッド、バニラ、ココナッツ、ローズウッド

この香りだけがMichele Marinの調香。少しトロピカル調のフルーツが、マリンノートをアクセントにしたフローラルノートに重なって広がっていくというもので、ヴァカンスに似合う溌剌としたフルーティーフローラルマリンです。マリンノートが強めに出ているのに透明感はなく、フルーツとフローラルノートを明るくしているわけでもなく、全体をリフトアップした上でスパイスのようなアクセントを添えています。オフィシャルの画像がタイサンボクの花になっているのですが、ひょっとしたらこの香りは全体としてマグノリアアコードになっているのかもしれない・・・と感じるラストを迎えます。他の香りはラクトニックなウッディムスクで終わるものが多いのですが、これはフローラルノートが持続します。(06/09/2022)


■Lido (2019年)

Lidoとはヴェネツィア本島ではなく、その近くにある細長い島のことで、映画祭が開催される島です。また、細長い島の片側は全てビーチとなっているため、観光客たちに人気の場所なのです。そのリド島の海岸から見た霧の風景。

 

 

トップ:ベルガモット、レモン、シダーウッド
ミドル:アイリス、スズラン
ベース:ベチバー、アンバー、サンダルウッド、トンカビーン、バニラ、パチョリ

何だかとても気怠い香り。明るさはなく、かといって暗さもなく、ただただアンバーグリスとオイリーなウッディノートがかすかなアイリスと共に流れていくというもので、オリエンタルでもウッディでもなく、捉えどころのないアンバーウッディムスクに包まれて広がっていくのです。少しネガティブなイメージの香りですが、もともとのイメージが霧の中から見える風景とのことなので、そこには合致しているのかもしれまん。(06/09/2022)

 

 

■Grey Velvet (2019年)

冬のヴェネツィアの香り。寒い屋外とは裏腹に、暖炉で暖められた室内は心地良い香りに満ちているのだそう。

トップ:アンバー
ミドル:プラム、ココナッツ、フィグ
ベース:ラズベリー、ムスク、サンダルウッド

ココナッツ強めのフルーティーなフィグオリエンタル。フィグの中のココナッツはピーチに近いのですが、そこをプラムにしました、というバージョンで、同様にココナッツと相性のよいサンダルウッドとムスクでまとめています。フィグリーフ系ではなく、フィグの果肉の方の香りなのですが、暖炉で暖められたという冬の印象であれば、もっとドライフルーツ調の香りの方が合っていたのかもしれません。最後はココナッツでもサンダルウッドでもなく、アンバーウッディノートが残る辺り、とても現代風な調香ですが、その分Lidoと似てしまっています。(05/09/2022)


■Oud Royale (2019年)

エレガントなスーツに身を包み、フェニーチェ劇場に向かう途中で、道の迷い、ぐるぐると歩き回ったことでヴェネツィアの美しさを再認識したというもの。

トップ:シダーウッド、オレンジ、レモン
ミドル:ローズ、アイリス
ベース:サフラン、パチョリ、ムスク、ラオスウード

中東市場を意識した際、まずはウードをテーマとした香りは入れておきたいもの。サフランで始まる少しアニマリックな側面も感じられるウードらしいウードのフレグランスです。ウードアコードにラオス産のウードを少し重ねたのでしょう。フローラルノートはほとんどわからずに、全てはウードというまとまりの中で変化していきます。アニマリックなトーンはトップが強く、すぐに薄れていきますので、安心して使えるウードです。(05/09/2022)

 

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