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■ミラノで2つのラボを訪れて

 

 

Esxenceには、世界中からバイヤーやジャーナリストが集まるわけですから、それ幸いと便乗した展示会がいくつか開かれます。そのうちの1つがUnscent。これは、秋に開催されるPittiでは内部にブースを設け、毎年凝った演出で楽しませてくれるイタリア最大手の流通会社です。彼らはEsxenceの会場のすぐ近くでUnscentを開催していました。テーマは、植物との展示、融合。上記の画像では、チューリップの横に各ブランドの中からピックアップされた香水の香りが香れるようにセットしてありました。

 

 

商談も出来るオープンスペースに飾られていたのですが、Esxenceほど賑やかではなく、静かでホッと息をつける場所に。偶然にも中東のThe Fragrance Kitchenの創設者でありオーナーのSheikh Majed Al-Sabah氏がインタヴューを受けていました。邪魔をしてはナンですから、背景だけを撮影しましたが、彼はリアルなクウェートの王族です。彼はチョコレート店とコラボしてフレグランスに使用されている香料でチョコレートを作ったらしく、試作品が出来上がったと見せてくれたのですが、展示会では他にも2ブランドが同じことをしていました。ひょっとして香水とチョコのコラボが人気になる?

 

 

Esxenceには出展をしていないBlood Conceptのお二人に会場で会うことが出来たのは、こちらの展示のために来ていたから。今回のテーマに合わせた展示をしていたのですが、一応ウィンドウショッピングに向けた外側の展示になっているわけだから・・・と、こっそり全てのボトルのラベルを外側に向けたりして。

 

 

一際目を引いたのはAgonistの展示。高級な高級なクリスタルボトルが土に・・・。こんなステキなボトルが生えてくる土が欲しいと言ったら笑われた。

 

 

さて。話は変わって。初日の展示会が終了した後に待っていたのは、Olfactory Aperitifという名のカクテルパーティーでした。今回は、地下鉄のPorta Genovaから徒歩数分のところにある五つ星ホテルMagna Pars(マグナパルス)という新しいホテルの中で開催されることになっていました。事前に予約を入れていたので、受付もスムーズに中に入ります。ここはどこ?

 

 

ちょっと変わったつくりのホテルですが、ゴシック的だったり、ルネサンス様式の豪華な華やかさではなく、イタリアらしい洗練されたデザインによるホテルです。なんとここに、世界初となるホテル内ラボ(LabSolue)がオープンしたんですよ。

 

 

受付を済ませて中に入ると、ロビー中がいい香りに包まれていました。そこで選ぶのは今夜のカクテル。だってOlfactory Aperitif(香りの食前酒)ですからね。オリジナルのカクテルに様々なフレーバーを直接入れるという恐ろしいスタイルとなっていました。大丈夫なの? スポイトで足していくあたり、ラボの雰囲気ばっちり。つまみを片手にこのカクテルスペースでくつろぐのもありなのですが、その後ろ側にカクテルをもって移動すると・・・

 

 

ラボがあるのです。人が多すぎてわからないですよね・・・。でも、ここはラボなんです。

 

 

モヒートにジャスミンという組み合わせを選んで作ってもらったカクテル。基本はモヒートで、微かにジャスミンが香る・・・かな・・・程度だったので安心しました。香料を飲んでいる感覚にはならず、です。で、カクテルの左側に見えているものがわかりますか? 逆さになった漏斗にはナンバーと名前が付けられています。そう、それが「香り」なんです。

 

 

そう。画期的なのは、ホテルのアメニティが作れてしまうんです。好きな香りで。

ルームフレグランスは100、250、500、1000mlで60、107、157、250ユーロ。
キャンドルは200、500gで55、100ユーロ。
Eau deToiletteは120mlで145ユーロ。
その他ボディクリーム、シャワージェル、ソープ・・・等々。

 

 

簡単な圧着器具があったり、軽量用品があったり、ラボ仕様になっていました。ちなみに上記画像に映りこんでいるのは、シンガポール在住でThe 13th Noteという会社を経営しているChiwai Tangという方。Grossmith、Le Galion、Lorenzo Villoresi、Lubin、Neela Vermeire、Puredistanceなんかの香港、中国の流通業者です。日本で言うブルーベルのような会社ですね。そこの社長様。

自分で作るわけではなくて、香りがきちんと用意してあるわけですが、そうそうたるメンバーなんですよ、これが。超有名調香師のオンパレード。それぞれ、簡単な調香も紹介してありましたが、きちんと香水としても楽しめるシングルノートのフレグランスたちでした。キャンドルなんかには最適かも。

 

7 Sandalwood by Nathalie Louson (Firmenich)
8 Patchouki by Annick Menardo (Firmenich)
9 Vetiver by Fabrice Pellegrin (Firmenich)

10 Artemisia by Henri Fountannaz (Firmenich)
11 Violet by Cathrine Selig (Firmenich)
12 Freesia by Olivier Cresp (Firmenich)
14 Angelica by Nathalie Louson (Firmenich)
15 Lavender by Alexandra Kosinski (Firmenich)

16 Oud by Luca Maffei (Ateliet Fragrance Milano)
18 Rosewood by Llias Ermenidis (Firmenich)
19 Gaiac Wood by Daphne Bugey (Firmenich)

20 Gardenia Sabine De Tscharner (Firmenich)
21 Jasmine by Nathalie Louson (Firmenich)
22 Osmanthus by Jean-Pierre Bethuart (Firmenich)
23 Neroli by Olivier Cresp (Firmenich)
24 Zagara by Jacques Cavallier (Firmenich)
25 Orange Blossom by Olivier Cresp (Firmenich)
26 Frangipane by Vincent Schaller (Firmenich)

27 Silver Fir by Alberto Morillas (Firmenich)
28 Oak Wood by Odile Bongi (Firmenich)
29 Ceder Wood by Wessel-Jan Kos (Firmenich)

30 Robinia by Jacques Cavallier (Firmenich)
31 Lilac by Mathilde Bijaoui (Mane)
32 Momosa by Marie Salamagne (Firmenich)
33 Magnilia by Jeffrey Dundale (Firmenich)
34 Ylang Ylang by Aurelien Guichard (Firmenich)
35 Linden Wessel-Jan Kos (Firmenich)
36 Rose Francis Delacamont (Firmenich)

101 Bergamot by Cecile Matton (Mane)
102 Mandarin by Alex Lee (Mane)
103 Myrtle by Nadege Le Garlantezee (Givaudan)
104 Mulberry by Sofie Labbe (IFF)

201 Olive by Antoine Maisondieu (Givaudan)
202 Fig Shyamala Maisondieu (Givaudan)
203 Pomegranate by Lucas Sieuzac (Symrise)
204 Medlar by Maurice Roucel (Symrise)

301 Peach by Lucas Sieuzac (Symrise)
302 Almond by Alexandra Carlin (Symrise)
303 Cherry by Maurice Roucel (Symrise)

 

この上記のメニューの中でも16番のOudに登場していますが、5回目のEsxenceで賞を取ってから一躍人気者となったのがAteliet Fragrance MilanoのLuca Maffeiです。 とにかく彼の躍進は素晴らしく、今も引っ切り無しに依頼が舞い込んでいるというアイドル並みの売れっ子調香師となっています。もともとこの会社は、彼の父とMaurizio Cerizza氏によって立ち上げられた会社。Maurizio Cerizza氏と言えば・・・そうですよ、Profumi di Pantelleriaを全て手掛けた調香師です。その他にもAcqua di Biellaや様々なブランドの商品を手がけている影の立役者。僕にとってはとても馴染の深い、それこそLucaよりもずっと前から知っていた香りたちが作られたオフィスを訪問する、というチャンスに恵まれたのです。

 

 

彼のオフィスはもともと工場地帯として賑わっていた工場ばかりが立ち並ぶ郊外エリアにありました。大きな工場が大幅にリノベーションされ、とてもオシャレな空間に生まれ変わっていたことに驚いたのですが、広大な敷地の中にある建物に、どうやって入るのか、どこから入るのか、最初は戸惑ってしまうような作りとなっていました。でも、なんと優しい彼が階下で待っていてくれたのです。

そう言えば、Pitti Fragranzeの中で見かけたのは数年前のこと。昨年は声をかけて写真を撮り、名刺交換していただけだったのですが、半年後にこうして彼のオフィスを拝見出来るなんて幸せなこと。数々の香りたちがここで生まれてきたのかと思うと感慨深いものがあります。オフィスとラボ自体はバンバン撮影をしていても失礼ですから、記念撮影程度にとどめたのですが、お宝もたくさんありました。

まず、オフィスに上がると彼らが手がけた香水たちが美しく飾ってありました、そのほとんどを知っていたことにも驚きましたが、空港の免税店で見かけた若い人向けのカジュアル商品も手がけていたことを知りびっくり。幅広いなぁ。最近のAcca Kappaの調香は彼らによるもので、特に2014年にリリースしたBlack Pepper & Sandalwoodは賞を取っているほど。最近のAcca Kappaの香りが結構良いと思っていたら、影には彼がいたわけです。

もちろんMaurizio Cerizza氏にもご挨拶し、Profumi di Pantelleriaの中で好きな香りをお伝えしましたとも。少し専門的な内容になりますが、彼らは香料会社ではなくて調香を行う会社です。自社で香水を作るのではなく、香水の原料となる希釈前のコンパウンドを制作する会社です。それらを化粧品メーカーに納め、そこから製品へとなるわけですが、香水棚を見てうっとりしたのは言うまでもありません。彼らは香り別というか、カテゴリーで並べているわけではなく、飽くまでも商品名で並べていました。うーん、どちらが使いやすいんだろう・・・。彼が作ったというオリジナルのコンパウンド、特にイタリアらしいジャンドゥーイアと呼ばれるチョコレートの香りのコンパウンドや、ラム酒のアコード、キンモクセイもありました。キンモクセイは日本のそれとは違っていたため、根本的に香りが違うのかも・・・と思えてきました。

調香師のラボには宝がたくさん埋まっています。そのデスクにあるのは何? これから商品化される宝物? なんて手が出そうになる心を押さえて話を聞いていると、奥からごそごそと香料を取り出してきました。それはIrone alphaが75%含有されたアイリスの香料でした。アイリスの香料はIrone alphaの含有量によって価格が変動することで有名ですが、75%は最高品質です。まさに宝物。そして新たな技術で抽出に成功したというビールの香料。二酸化炭素抽出法で得られたそれは、香ばしい小麦の香りがしていました。このアイリスとビールはMasqueの新製品L'Attesaに使用されています。L'Attesaは本当に豪華なアブソリュートを使用していて、アイリスもコンクリートとアブソリュートの2種を使用したそう。後は、珍しい南イタリアの農家が作っているというエニシダのアブソリュートを香らせてもらいました。通常のものよりもフルーティーさが強く、グリーンが控えめというとてもユニークな香りでしたよ。後は驚くほどユニークだったのはマッシュルームのアブソリュート。いろいろ使い道はありそうだけどちょっと個性的すぎるよね、なんて笑いながらカカオアブソリュートの高級品などを香らせてもらいました。

でも、棚を見渡して感じたことは、ほとんど同じ香料を使用しているということ。棚を見て知らない香料はほとんどありませんでしたから。最近の香水は本当にアレ(アンバーグリスノートの某香料)がたくさん使われていて、とにかく多い・・・僕も同じことを感じていたので意気投合という感じで、あっという間に楽しい90分が過ぎていました。日本の誇る和精油、ヒノキとヒバの心材が得られた精油、ヘキサン抽出の柚子の香料を秋に持参することを伝え、また会おう!! と。細かなニュアンスを伝えるのは難しいですが、調香師同士は成分で会話が出来ますから、国境なんてなんのその、ですよ。次回は調香師仲間と共に伺いたいくらい。

彼はどちらかというと口数が多くはないシャイなタイプですが、いつも笑顔でニコニコと人当たりの良い、育ちの良さを感じさせる若者です。起用する側にとっても彼はアイドルなんだろうなぁ。これからの彼の作品もあのラボで生まれたかと思うと、感慨深いものがあります。

(29/04/2016)

 

 

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