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Rose Opera / ローズオペラ


<香 調> フローラル
<仕 様> レディース
<容 量> 50ml
<濃 度> EDP

トップ
ローズアブソリュート、ジャスミンアブソリュート、イランイラン、ネロリ
ミドル
ラスト



 

1952年、Maurice Lehmannの喜劇オペラLes Indes galantes(優雅なインドの国々)の上演に際し、音と光だけではなくて香りも駆使したいとRoure社に依頼がありました。その時に彼が担当をしたのですが、あまりオペラに造詣が深くなかったようで、慌てて18世紀のオペラを学んだそうです。数ヶ月の間に今までと全く違う世界に浸り、4部構成のこのオペラの場面に見合う香りを作ったのだそうです。

1936年以降、オペラ劇場の空調というのは速やかに空気が入れ替えられるように進化しており、10分で全ての空気を入れ替えられるようになっていたのだそうです。そこで、25mlの小瓶に入った香水を空調を通じてオペラ劇場内に2度流したのです。もちろん、劇場に出向いて150回に及ぶ公演ごとにセットしたのは彼です。今では香りの広がるスピードは計算できますし、使用する量だってわかるでしょう。でも当時は全てが手探りで、香りすぎ、場面に対して遅すぎりとテストを繰り返したそうです。

Maurice Lehmannが彼に依頼したのは、その辺で売られている既成品のような香りにしないでくれ、ということのみでした。

このオペラはタイトルはインドですけどトルコ、ペルー、北米を地とした3ヶ所4部構成で成り立っていて、4つの場面の物語全てが「愛が全ての国を支配する」というテーマで構成されています。オペラですから内容は至ってシンプルなのですが。その中で最初は第2部の火山の場面で使用するオポポナックス&アンバーの香りを、第4部でダンサーがバラの衣装で踊る場面のローズの香り、その場面の最後に最初の場面を思い出すアイテムとしてイメージのジャスミンを加えてプレゼンをしました。火山の場面では噴火の後に火薬の香りがしたところでNGになってしまい、第4部のローズとジャスミンが採用されたのだそうです。

そこで使用された香りをフランスの庭とペルシアの建築(第1、3部はトルコが舞台)を合わせた豪華な香りとして作り出したのがこのローズオペラなわけです。以前のタイトルは「Apparition de la Rose」(ローズ現る)だったそうですよ。はぁ、説明が長い。

そんなこんなで作られた、いわば空間演出の香り。ルームフレグランス的なのかと思いきやちゃんとローズアブソリュートが香るのです。国内発売価格の16,800円は少し高めだったと思いますが、1万円は下らない価値です。(でもオフィシャルサイトは40ユーロ)ローズアブソリュートが香るということで、たまたま近くにありましたAnnickのRose Absoluと比較をしてみたのですが、最初は似たような雰囲気ながら時間と共に違ってくるのです。Annickは飽くまでもローズアブソリュートのみの青くワイルドな香りのみなのですが、こちらは甘さが出てくるんですよ。比較して気づいたのはこの甘さの正体です。香りを香っていたときは先入観なくして・・・ということでオフィシャルの調香も見ていなかったのですが、ジャスミンのアブソリュートだと気づいたのです。なぜならば、Jean PatouのJoyっぽさを感じられたから。

彼自身、この香水をフロア中に流した時に「バラの香りだ」と感じた方は多くいたけれど、その中のジャスミンに気づいた方はいなかった、と記しています。でも僕には届きました。Jean Patouの逆バージョンなのだと思います。Joyはジャスミンアブソリュートの中に少しだけローズアブソリュートがありますが、こちらの香りはローズアブソリュートの中にジャスミンアブソリュートがいるのです。そのジャスミンもアブソリュートだけではなくてBenzyl acetateで香りをふくよかに膨らませているように感じます。とてもシンプルな香りですが、アブソリュートならではの深みというかアブソリュートはそれだけで香水になり得ることが良く分かる香りです。

(29/11/2010)

 

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