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Heliotrope Blanc / ヘリオトロープ・ブラン


<香 調> パウダリーフローラル
<仕 様> レディース
<容 量> 100ml
<濃 度> EDT

トップ
ヘリオトロープ、ジャスミン、イランイラン、アーモンド、バニラ
ミドル
ラスト



1914年発売。数百キロの花からわずかに抽出されるヘリオトロープの香りを、ホワイトフローラルと共に纏め上げた歴史ある香り。夏の夕方になるとどこからともなく香りだすパウダリーフローラル。

この香りも100パーセントの天然香料ではなく、しっかりと合成香料も使用しているのですが、香りはヘリオトロープそのものなのです。甘くパウダリーで天花粉の香りよりもフローラルを感じます。とても似ていますけどね。生花からはアーモンドの香りはしないのですが、バニラの甘さは感じます。この香りは、基本的にはシングルノートでヘリオトロープのイメージ通りの香りが続くのですが、生花と比較すると甘さが強く出ています。生花の良い部分、特徴を大きく引き継いだ上で、天花粉のような優しくて甘いパウダリーフローラルとしてまとめたクラシカルな香りになっています。もともとヘリオトロープの香りをテーマとして発売している製品が今は多くはないので、貴重と言えば貴重な1本だと思います。エトロやモリナールに比べると、生花っぽさはこれが一番強く出ている気がします。

(30/06/2007)

 

 

以前は生花にとても近いフローラルタイプのヘリオトロープだと感じていたのに、久しぶりに肌に乗せた香りはアーモンドの強いアーモンドバニラにヘリオトロープが重なった香りで、まずはバニラとアーモンドが香り、その奥からフローラルノートと共にヘリオトロープらしさを広げていきます。確かにヘリオトロープだけでは成り立たない香りで、ジャスミン調のフローラルノートや、イランイランのリッチなフローラル感が必要であったことがわかります。もともとヘリオトロープ自体が杏仁系のパウダリーフローラルと評される香りですから、アーモンドの香りというのはとても相性が良いのです。それをクリーミーにしていけばもっとリアルに杏仁系へと変化していたはずですが、バニラにしてヘリオトロープのそれらしさを強め、グルマンではないフローラルへと傾けています。

ヘリオトロープのシングルフローラルというのは上記にも記しましたように現代では少ないのですが、1869年に発見され1878年には工業生産されていたという、合成香料の中でもとても古くからある香料です。だから、天然香料がないのです。そして、1800年代後半〜1900年代半ばまではヘリオトロープという香水がたくさん出回り、日本でも第二次世界大戦前までは大ヒットしていた香水でした。夏目漱石の小説の中に登場するRoger & Galletのヘリオトロープが日本に初めて輸入された香水だとされていますが、その前にも別の香水が輸入されていました。三四郎が発刊されたのは1908年のことですが、1896年には当時の宮内省御用達というキリン香水製造所が存在し、1897年には西洋よりヘリオトロープ含む各種香水が輸入されていたとの記事が新聞に見られるからです。当時はすでに合成ムスクも作られており、ブーケムスク香水、ムスク香水、ケーバ香水、3A香水、ダイヤモンド香水、ローズ香水など、いくつもの香水が輸入販売されていました。

 

 

ちょっと綴りが読めないのですが、平尾賛平商店がアメリカからウードウオルスというブランドの香水4種を輸入販売していたことがわかります。これも1897年の新聞記事なんですよ。それを考えるとヘリオトロープの歴史は古く、昔から愛されていたことがわかります。そして日本人にとっては儚げなこのスイートフローラルが、とても肌に合ったのでしょう。

(03/08/2020)

 

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