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Sampleレヴュー

 

 

■Nuee Bleue (2019年)

1953年に発売された最後の香りを2018年にオークションで入手したことから始まった復刻計画。2年をかけて100回以上の修正を経て完成したのは、夏の朝の静寂を破る鳥の声のように、全てが目覚めるオーフレッシュでした。

 

 

トップ:ベルガモット、レモン、オレンジブロッサム
ミドル:アイリス、カーネーション
ベース:サンダルウッド、ベンゾイン、ホワイトムスク

 

 

香りはとても明るくフレッシュなシトラスアイリスで始まります。これはいくつかのアイリスの香料を重ねているのだと思いますが、トップで弾けるタイプの香料があるのです。まずはそれがスパークをし、追いかけるようにベルガモットとレモンが重なります。バランスとしてはそこからカーネーション調のムスクがアイリスに寄り添う感じで香るのですが、それはとても穏やかなリネンのよう。香りはそこからアイリスウッディムスクとなって落ち着くのですが、やはりその様子も洗い立てのシーツのように清潔感のあるムスクなのです。全体的に静かな香りで、アイリスの香りがお好きな方は是非お試しを。真夏でも湿気を吸ってくれそうですが、暖かな部屋から眺める真冬の雪原をイメージさせるような香りです。タイトルは青い雲なんですけどね。(23/01/2020)


■Un Air d'Apogee (2017年)

1932年に発売された香り。遠く離れた地の風という意味で、何かが変わると、それに起因して少しずつ全てが変化していく。それがUn Air d'Apogeeという名前になるというもの。少しわかりづらい文章ですが、最終地点(ラストノート)へと香りが導かれた先がApogeeということなんですね。

 

 

スエード、セージ、アイリス、レザー、ミモザ、タバコ、ヘイ、ラブダナム、シダーウッド、カシュメラン、アンブロキサン

1930年代になると様々な合成香料が使われるようになり、ミモザや干し草の軸となる成分も使われるようになります。そこで、こちらはそのアニス調の部分を活かしてつくられた干し草系アロマティックグリーンで且つパウダリーウッディな香り。スタートは干し草が賑やかに香るのですが、静かな場所で手を叩いた時のように一瞬で静寂に包まれるようにスイートウッディムスクへと変化し、ハニーなウッディムスクが肌に残ります。Pourpre d'Automneと同じくハニームスクがベースにあり、時代を感じさせてくれますよ。とてもユニセックスなテイストです。(04/12/2018)


■Sketch (2017年)

もともとAmbre Royalという名前で1924年に発売されていた香りが、24年後にSketchと名前を変えて再販されたという史実に基づいた香り。身体を描くための金の鉛筆を香りにしたのだそう。

 

 

シトラス、ナツメグ、チュベローズ、パチョリ、モス、ムスク

なるほどね、と最初から感じたのは香りの軸がアンバーにあったから。典型的で教科書にも出てきそうなパウダリーなアンバーを軸に、そこにアクセントとしてスパイスを配置した、というのが全体像です。とても細かくいろいろなスパイスがあるように感じられるのですが、シトラスが強くないため、シトラスアンバーという形ではありません。また、チュベローズのフローラル感も前に出てくるほどの強さではなく、奥底に少しだけある印象です。この中のアンバーノートがとてもオイリーで、ぺったりと肌に貼りついて香るのですが、そうしたクラシカルな部分が1924年の再現という点では相応しいのかもしれません。時代背景としては他にも1905年にCotyからアンバーベースのL'Origanが発売されて大ヒットしていた時代ですので、そうしたアンバーベースが好まれたのではないでしょうか。1920年代後半は日本でもアンバーやアンバーローズと名付けられた香水が発売されていたようですから。(03/12/2018)


■Pourpre d'Automne (2017年)

1924年に発売された秋の紫という香り。ヴァイオレットとアイリスを軸とした香りだったので、ブランドを象徴するような香りだということで最初に取り掛かったそうです。シルクのシフォン、磁器の肌を刺すローズ、カリカリとしたムスク、ジューシーなピーチ、そして黒板に描かれたプラム。ちょっとシュールな形容詞たちがこの香りを彩ったのだそう。

 

 

ヴァイオレットリーフ、ピーチ、プラム、ローズ、アイリス、ヴァイオレット、オークモス、ベンゾイン、ムスク

アイリスとヴァイオレットはとても似たようなニュアンスがあり、相性の良い香りたちです。それらを軸に、とても繊細で滑らかなシルクのように仕上げた、というスイートパウダリーオリエンタルですね。プラムやピーチも部分はフルーティーというよりも少しクリーミーなテイストを感じさせ、スイートムスクベースの中で香ります。ヴァイオレットは比較的良く持続し、その中に微かなフルーティーノートがクリーミーに香っているのですが、その当時大量に使われていたと思われるムスクがハニーと共にもわもわと残ります。そう、ハニームスクがベースにあるのです。

ヴァイオレット香料の合成はかなり古く、1898年から使用されています。杏仁系のパウダリーノートであるヘリオトロピンはもっと古くからありますので、それを合わせたようなパウダリーで甘い香りというのは、1900年代半ばまで50年もヒットし続けました。また、合成香料のムスクが爆発的にヒットしたことでムスクベースも頻繁に利用されていたはずです。これは、まさにその時代に大ヒットした香りを、現代の香料で美しく再現した、というそのもので、調香から想像されそうなMitsouko感は全く感じられません。パチョリがないだけでなくシプレでもありませんから。(03/12/2018)

 

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