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Sampleレヴュー

 

■Imperial Malt (2024年)

パチパチと音を立てる暖炉のそばで、革張りのアームチェアに座って飲むモルトウイスキー。リキュールに漬けたプラムとビターなダークチョコレートをつまみに。調香はギリシア生まれのシニアパフューマーIoanna Tanionouが担当。

トップ:ココナッツウォーター、ブラウンシュガー、ダークチョコレート
ミドル:モルトウイスキー、プラム、バニラ
ベース:パチョリ、レザー、ファイアーウッド、ベチバー

ココナッツにベタベタのカラメルが重なり、顔をしかめてしまうグルマンのトップでしたが、そこを過ぎるとスモーキーなトーンやウイスキーらしいリキュールが顔をのぞかせ、余韻を残しながら渋めなレザーに切り替わっていきます。トップは強烈でしたが、後半はファンが多そうなグルマンレザーで、これであれば全体をフレッシュノートでリフトアップしてトップノートと全体の甘さをもう少し軽減した方が使いやすさはアップしていたのではないでしょうか。少しベタベタした甘さが強めのグルマンですが、延々と残らないタイプですので、引き際はあっさりとしていて、全体のイメージはトルコの水タバコのフレーバーのよう。(23/04/2024)


■Wild Tuberose (2024年)

太陽の光を浴びた、美しい花の歌姫。調香はグリークカナディアンのパフューマーManto Liosiが担当。

トップ:ベルガモット、グリーンリーフ、シュガー
ミドル:チュベローズ、サンバックジャスミン、マグノリア
ベース:フランキンセンス、シダーウッド、サンダルウッド、パチョリ

トップのグリーンが全体を引き締めつつも、ワイルドというほどワイルドではないフローラルが広がります。フローラルノートのメインはタイトルにあるようにチュベローズですが、アブソリュートのワイルドさはなく、アコードのタイプですので、美しく広がります。チュベローズに必要なココナッツやピーチをシュガーノートで補填したのか、スイートフローラルとしてまとめられており、ベースノートはフローラルブーケをそっと支える、主張のないタイプ。チュベローズ感が薄れると、バニラ強めのフロリエンタルとなっていきます。基本的にはトロピカルなフローラルブーケといったところでしょう。(23/04/2024)


■SEΛENE (2024年)

セリーニーとは古代ギリシア神話に登場するタイタニアの月の女神。香りは、夏の夜、星空の下で観た屋外映画の魅力を表現したもの。映画を観ているからお菓子(プラリネ)があるんですね。ポップコーンのように。調香はギリシア生まれのシニアパフューマーChristina Koutsoudakiが担当。

トップ:ベルガモット、グレープフルーツ、ペティグレン
ミドル:オレンジブロッサム、サンバックジャスミン、ヴァイオレット、プラリネ
ベース:ヴァージニアンシダーウッド、サンダルウッド、アンバーグリス、ムスク

何だかとても昔懐かしいスイートフローラルブーケです。シトラスノートがキャンディっぽく、サンバックジャスミンやオレンジブロッサムがペティグレンを引き継いですっきりと香りつつも、根底にグルマンなスイートノートがあるのです。アンバーグリスやウッディノートはとても控えめで、後半はウッディノートよりも少しオイリーなヴァイオレットが軸に切り替わります。ヴァイオレットが香りだすと尚のこと少しクラシカルなタッチに感じられるのですが、恋人との映画デートをイメージしているのだとすれば、とても可愛らしいスタイルだと思います。ただ、ラストノートはペティグレンがウッディノートに重なり、日本人には馴染みのある入浴剤風になり、男性的になります。10、100mlが50、195ユーロで発売に。(23/04/2024)

 

 

■Anthem (2021年)

Chris Carbonnelの調香で、Omenの翌年のArt & Olfaction AwardでFinalistとなったことで話題となりました。1821年に始まったギリシア革命(ギリシア独立戦争)をテーマとした香り。

トップ:ラブダナム、レモン、サフラン
ミドル:シナモン、ゼラニウム、イランイラン、ローズ、ナツメグ
ベース:パチョリ、アンバー、ウード、バニラ、ムスク、サンダルウッド、オークモス

サフランの効いたスパイシーだけどとても滑らかなオリエンタルウッディムスクです。ローズやゼラニウムがアクセントとなり、メンズっぽさを消してしてユニセックスな香りへと変化させているのですが、何かどこかにありがちなテイストで個性はそこまで強くはありません。ウードのそれらしさも強くはなく、ラブダナムはトップではなく残り香の中に感じられるようになります。サフラン調のオリエンタルとしてはとても使いやすくて誰もが馴染みやすい香りなのではないでしょうか。(14/10/2022)


■Omen (2020年)

Miguel Matosの調香で、Art & Olfaction AwardでFinalistとなったことで話題となりました。

トップ:サフラン、アップル、ベイリーフ
ミドル:ジャスミン、ブッチュ、ファーバルサム
ベース:レザー、アンバー、ウード、アンバーグリス、トンカビーン、ムスク

スパイスとハーブにフルーツがミックスされた、とても異質な香り。プロが決して手を出さないテイストで、面白がる人は面白がると思うのですが、長く使うにはしんどい個性です。それは、ジャスミンのアブソリュートがブッチュに汚され、アップルなどが不協和音のように重なっているからです。トップを我慢して過ぎると、サンバックジャスミンのアブソリュートがオリエンタルなベースと共に残るようになるのですが、そこに至るまで不必要なものがごちゃごちゃと感じられ、顔をしかめてしまうのです。(14/10/2022)


■Quintessence (2020年)

彼にとっての本質とはこの香りだということでしょうか。当初はExtrait de Parfumとして限定発売されたものが、2020年にEdPとして定番化されました。

トップ:サフラン、クローヴ、ブラックペッパー
ミドル:ダヴァナ、パチョリ、シダーウッド、ウード
ベース:アンバー、バニラ、ベンゾイン

サフランの効いたウッディオリエンタルという点ではAnthemに似ているのですが、大きな特徴があまりなく、全体としてアンバーノートに感じられるのです。かといって、精油感が強い印象も受けず、ウードをメインにしたニュアンスにも感じられません。しいて言えば、中東系が好みそうなウッディオリエンタルといったところでしょうか。少しつまらなく感じてしまう方もいるかもしれませんが、その分間口は広く、誰もが使いやすい香りと言えそうです。(13/10/2022)


■Sillage Royal (2017年)

彼が幼少期を過ごしたKavalaは長くエジプトオスマントルコの支配下にあり、タバコの栽培が盛んだったのだそう。

トップ:スモーキーノート、カルダモン、サフラン、クルクマジンジャー
ミドル:トルコローズ、パチョリ、シダーウッド、ウード
ベース:ムスク、アンバー、バルサムノート

本気のローズが香る高品質な香りです。本気のローズアブソリュートがトップから広がり、そのワイルドさがスパイスやウッディノートを引き締めていて、ウッディノートもパチョリも精油感が強いため、ローズととてもマッチしているのです。スモーキーノートは強くはなく、スパイスの量も心地良く、フェミニンというよりクールなローズを楽しめます。でも、タバコの栽培が盛んであったのならば、タバコのアブソリュートをベースにきかせても良かったのかも。とは言え、ローズアブソリュートの残り香はロワイヤルでしょう。(13/10/2022)


■Immortelle (2017年)

イモーテルはギリシアでも自然に生えている植物で、その歴史は古くトロイの木馬戦争にも登場するのだそう。

トップ:クローヴ、シナモン
ミドル:イモーテル、ミルク
ベース:ブラウンシュガー、ベンゾイン、サンダルウッド、パチョリ

スイートビターなイモーテルにミルクを加えるなど、考えたこともない組み合わせにわくわくしたのですが、イモーテルが思っていたほど強くはなく、シナモンミルクなオリエンタルに僅かなイモーテルが重なって広がっていくという香りです。現行品の中では一番甘さが強く、ラストノートはスイートビターなミルクテイストがカフェラテにも感じられます。(12/10/2022)

 

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