2007年発売。ブナの森の夢というタイトルのテンダーウッディな香り。もともと2007年の3月にイタリアのコスモプロフでお会いした際に年内に発売される新作だということで黒い羽に香りを乗せて頂いたのですが、その際の香りよりも深みが増してリキュールっぽさが加わっているように思います。再調整したのかもしれないのですが。そのお酒っぽさはベースノートにあり、ポルトとはポルトガル産のリキュールのことなんです。つけた瞬間はシナモンやクローヴに混じって深い甘さのあるウッディリキュールに感じるのですが、しばらくするとスパイスが落ち着いて柔らかくてほのかな甘さのある「テンダーウッディ」に相応しい香りへと変貌を遂げます。個人的にはトップのリキュールっぽさも大好きなのですが、ミドルからラストノートの森の夢という雰囲気もとても素敵だと思います。パチョリは決して強くないですし、ガイヤックウッドのようなスモーキーさも大きくは出ていません。レザーノートは感じるのですが、ガツンとメンズっぽく出ているわけでもなくてウッディ調の香りの補佐役になわっている印象です。温かで柔らかなウッディ調の香りをコートのように羽織れ、最終的にはムスクが肌と馴染みながら消えていきます。

(12/12/2008)