*Log in
 *Log out
 *My account

| Top | Books | Topics | PMF | Q & A | Making | Essential | Perfumers |  PRESS |
  

Sampleレヴュー

■Poivre Colonial (2013年)

2013年末、オフィシャルサイトのオンライン限定品として発売された香りで、テーマは植民地のペッパー。調香はPierre自身が担当です。

トップ:グレープフルーツ、ナツメグ、ペッパー
ミドル:シダーウッド、ベチバー、カカオ
ベース: オークモスアブソリュート、パチョリ、ブロンドウッド

とにかくたっぷりのペッパーを効かせた香りで、スパイシーなリナロールがトップでスパークします。気持ち良いほどのスパークで、目が覚めるほど。ブラックペッパーだけではなくて少しピンクも入っていると思うのですが、心地良いペッパーに続いて現れるのは調香にはないアンバーウッディノートの香り。香りの軸はアンバーウッディノートで、その上にたっぷりスパイスを加えたというものなんですね。そのアクセントとしてベースにシプレを配置しているわけですが、ミドルになるとカカオの甘さがドライなウッディノートに重なって香るようになり、パチョリもどんどん強く前に出てくるようになります。ペッパーの植民地、栽培地と言えばザンジバルやスリランカが想像されるのですが、そうした島々のイメージを少し乾いた雰囲気にしつつ、湿気たシプレで表現したのかもしれません。濃度はEdTですので、夏が始まる頃にぴったりなのではないでしょうか。(25/09/2014)


■L'Eau de Phaedon (2014年)

Danielle Maniquantによる調香。家族全員で使える香りというのがコンセプトで、ユニセックスなだけではなく子どもでも使えるよう肌への影響を考えたものになっているのだとか。だからアロエなんでしょうか。

ネロリ、ジャスミン、イエローマンダリン、アロエベラ、アガヴァリーフ(リュウゼツランの葉)、クリアウッディ、ムスク

EdT濃度ながら瞬間で消えていくリフレッシュフレグランスです。いわゆるオーデコロンという香りなのではなく、どこかアロマティックなニュアンスを感じさせるものがあり、植物の絞り汁のようにも感じられます。テクスチャーがしっとりとしていることもあり、保湿用のスキンケアトニック風に感じられる方もいるかもしれません。香水とするには少し物足りない感じがしますが、あっという間に迎えるラストノートはとてもムスキーで肌馴染み良く作られていることが分かります。(11/07/2014)


■Pure Azure (2013年)

タイトルそのままの美しい青のイメージのエーゲ海をテーマとした香り。空も海も青く、家々は白い・・・というコントラストを描いたもの。

フィグ、オレンジブロッサム、バニラ、スパイス、ジャスミン、トンカビーン、ソルトノート

わざわざEdPシリーズに加わっているものの、香りは鮮やかで軽やかなフィグとオレンジブロッサムのコンビネーションです。フィグのそれらしさは前面に出ているのに、オレンジブロッサムが鮮やかなため、フィグ系というところでストップしているのが特徴で、フィグのもつ特有の甘さ(ココナッツ香)は決して強くはありません。時折、花粉のような部分が鼻腔をくすぐるのですが、次第にフローラル感が強くなって消えていくのですが、エーゲ海というかギリシアのイメージってこういうものなのかもしれない・・・と思わせてくれます。(04/10/2013)


■Sable Marocain (2013年)

美しいモロッコにインスパイアされて作り出した香り。

モロッカンラブダナム、コカリーフ、シトラス、ジンジャー、ココア、ベチバー、ガイヤックウッド、コパルバルサム

香りの軸はラブダナム。少しアニマリックにも感じられるそのエッセンスをフレッシュにまとめたというのが第一印象だったのですが、時間と共にどんどん香りは暗さを増してベチバーや樹脂の効いたオリエンタルな香りへと歪んでいきます。ラブダナムをテーマにすると重くなりがちなのですが、そこをしっかり感じさせつつもある程度軽やかにしているようで、張り付くような重さは感じません。濃度は濃いのかもしれませんが、あくまでもスプレーして楽しめる濃度なのです。オリエンタルさが濃厚ですが、スモーキーさは少ないですのでユニセックスで楽しめますよ。(04/10/2013)


■Hesperys (2013年)

タイトルはもちろんギリシア神話のヘスペリデスの園から。そこは、植物に溢れた伝説の庭だった、ということでシトラス果樹園ではなく広い意味での庭にしたようです。

トップ:アイリスバター、カモミールアコード、レモン、オレンジブロッサム、ぺティグレン
ミドル:セージ、ローズマリー、ラベンダー
ベース:ムスク、パチョリ

通常はたっぷりシトラスのコロンのような香りが多いタイトルですが、こちらはトップからハーブが香り、とてもアロマティックな雰囲気でスタートします。ラベンダーよりもセージローズマリーが強い分、メンズっぽくはなく、ユニセックスに感じられるのですが、オフィシャルに記載されているほどパウダリーではありません。もともとアイリスのバターが天然香料であるならば、使用した香料の中の10%程度しかパウダリーな要素はないわけですし。アイリスというよりも少しオイリーにも感じるペタッとしたムスク調の雰囲気がアロマティック香を包み込み、やがて渋めなパチョリが感じられるようになって消えていきます。濃度の高いEdCという感じですが、通常のEdCよりも遥かにアロマティック香が強いのが特徴です。(03/10/2013)


■Black Vetiver (2013年)

目指したのは、スモーキーだけどフレッシュなベチバー。

ジャワベチバー、タール、レモンツリーリーフ、オールスパイス、ジャマイカンベチバー

ジャワ産のベチバーとジャマイカ産のベチバーとダブルで投入したのならば、さぞかし力強いベチバーなのだろう・・・と楽しみにしていたら、予想以上に軽やかな香りでスタートしました。スモーキーさは感じられるものの、スパイスもトップでは良く感じられ、ドライでシャープに香ります。この中には、ベチバー以外にもTimberol辺りの香料がありそうなのですが、僕にはベチバーの精油の中のとても香ばしくて好きな部分が感じられないんですよね。全体的には好きな系統なのに、精油を謳うほど精油感がないというか、土臭さや温かみがなく精製されすぎた感じを受けます。濃度が高いわりにはその濃度さを感じさせない香りですので、気兼ねなく使える香りですよ。(03/10/2013)


■Rouge Avignon (2013年)

ゴシックな構成で、ローマ教皇の宮殿と同じくらい豪華でダークな香り。教皇のストールがカーマインレッドなのだそうです。

トップ:ローズ、イランイラン、ラズベリー
ミドル:ワックスウッド、ココアビーン、ブラックトリュフ、ベチバー
ベース:サンダルウッド、ムスク、アンバー

これはとてもカッコいいオリエンタルなローズです。ローズが強すぎるわけではないのですが、ベリー系の香りが微かなアクセントとなってアンバーウッディノートを色づけています。スモーキーなローズ、というのが第一印象だったのですが、とてもくすんだ樹脂っぽい香りが強く広がっており、なんとなくフランキンセンスとローズの組み合わせに少しサフランを足したようなイメージです。各ウッディノートは精油のそれらしさを感じるほど強くはなく、ココアもアブソリュートのスパイシーな部分を感じるものではありません。全体的にとてもかっこ良くまとめられつつも、絶妙なユニセックスに仕立てられた香りだと思います。(02/10/2013)


■Tabac Rouge (2013年)

Turkish Blendという副題が付いたタイトルで、典型的なアールデコスタイルの香り。

トップ:ジンジャー、シナモン、ハニー
ミドル:トルコタバコアブソリュート、フランキンセンス
ベース:ムスク、シャムベンゾイン

肌に乗せた瞬間から溢れるように香りだすのはトップの美味しい香りたち。少しクリスマスっぽい雰囲気で、スパイスとハニーが香ります。トルコの水タバコフレーバーはとても豊富なようで、こうしたグルマン系もたくさんあるんですね。シナモンが良く効いているのですが、それが落ち着くと少しタバコっぽいニュアンスを感じられるようになります。それでもまだシナモンとハニーは残っていますので、水タバコのスモーキーな感じを過剰に期待すると少し肩透かしな感じになってしまうと思います。グルマン系の延長にある香りですよ。(02/10/2013)


■Antigua (2013年)

フレッシュオリエンタルなのかフルーティーシプレなのか自分でも分類が出来ない香りだそうです。タイトルはアンティークの意味ですので古い、ということなのでしょう。

トップ:ベルガモット、グレープフルーツ、ライム、グアヴァ
ミドル:ローズオイル、フィグリーフ、ホワイトピーチ
ベース:ムスク、バニラ、パチョリ、シダーウッド、ベチバー、オークモス

香りはフルーティーシプレの方が伝わりやすいと思います。奇しくも今月の調香体験セミナーのオリジナルの香りがグレープを使用したフルーティーシプレで、秋月というタイトルで開催をしますが、そちらに印象が似ているのです。こちらはグアヴァやカシスっぽいフルーツ香が軸となっており、シプレ度は強くはありません。逆にミドルノートのローズやピーチもグアヴァに飲み込まれる形でフルーツと一体化して香っているのです。しかし、このフルーツが甘くてジューシーで美味しいかというとそうではなく、グアヴァ特有の苦味というか渋みをもっているんですよね。おそらくParadisamideを使用していると思うのですが、グレープフルーツの苦味ととても相性が良いんですよね。シプレ度は決して高くはなく、オフィシャルにも記載があります通り、薄いヴェールのようにベースが香りだしますので、微かなニュアンスだと考えて下さい。グレープとグアヴァの違いはあれど、秋のイメージは同じで、少しびっくりしてしまいました。でも、秋月はシプレ度が高くもっと渋くなっていますので、こちらの方がフルーツが強くてキレイさでは上ですよ。全体的な印象としては、ビターなフルーティーシプレというところでしょうね。(01/10/2013)


■Lentisque (2013年)

Spanish Bushと副題の付いた新作で、ボトルリニューアルに際し加わった香りです。レンティスクとはギリシアを特産とする樹木の樹脂で、学名をPistacia lentiscusと言います。ピスタチオの樹ではないのですが、半透明で薄い黄色の樹脂は食べることも可能で、ギリシアでは古くからアイスクリームやお菓子に練りこんで食されてきました。その香りはスペインやコルシカ島のブッシュ(潅木)を思い起こさせるものだ、というのが副題に繋がっていきます。

トップ:ガルバナム、ガルバナムアブソリュート
ミドル:ラブダナム、ドライウッド
ベース:ベチバー、シダーウッド、ムスク、アンバー

香りはスパークするガルバナムで始まると思いきや、シトラスかと思うほどさっぱりとした自然なグリーン香で、驚きました。精油特有の突き刺すような香り方をしていないのです。そして香りはすぐその後から柔らかなウッディノートとムスクへと変化し、穏やかな午後の陽射しのように、温かみをもって肌に馴染んでいきます。これはかなり軽やかなフレッシュノートをトップに配置しているのではないでしょうか。そして、さすがに軽やかなEdTだけあって、ものの10分ほどでラストノートとなり、微かなニュアンスを残して消えていきます。真夏にも使える軽やかなグリーンアンバーウッディといったところ。(01/10/2013)


■Verveine Figuier (2012年)

南仏プロヴァンスの夏の風物詩であるフィグをテーマに新たな新素材(香料)ヴァーベナでまとめた香り。おそらく、肌への影響が少ないヴァーベナが出来たのでしょう。(ヴァーベナアブソリュートはIFRAで規制されています)

ヴァーベナ、フィグ、フィグウッド、ムスク、テキサスシダーウッド、ベンゾイン、オークモス、フゼアアコード

香りはそのままダイレクトにヴァーベナとフィグそのものです。シトラールの強いスパークするレモン香にフィグが混じり、夏のスプラッシュコロンとして最適な雰囲気を感じさせてくれますよ。フィグがフィグらしくないというか、果肉のクリーミーに部分が控えめなためにさっぱりとしつつもフルーティーに香るのです。シトラールの持続が抜群で、爽快感の残るフィグ系として愛されそうです。調香にあるようなシダーウッドやベンゾイン、オークモス、フゼアアコードは香りとして感じられるほど強くはありませんので、基本的にはヴァーベナとフィグのコンビネーションだとお考え下さい。たっぷりと軽やかに楽しむにはシンプルな香りであることも大切だよ、と言いたげです。(10/07/2013)


■Coton Egyptien (2012年)

発売からわずか1年で廃番となってしまった幻の香りで、洗い立てのコットンをイメージした香り。発売当初より各国ブログの口コミは高評価だったにも関わらず購買には繋がらずに、ブログというのは口コミ効果が高いとは言えないと彼は語っています。そんな経緯もあり、ボトルリニューアルに際して廃番となってしまいました。廃番となると香っておきたいというか、メモしておきたいというのが実情。

ガルバナムレジノイド、エジプシャンコットン、シダーウッド、ムスク

サマーフレグランスですか? と言いたくなるようなジューシーなオレンジに包まれて軽やかなフローラルノートが踊ります。ガルバナムがガツンと、しかもレジノイドとなると少しダークなテイストとなるのですが、その部分は本当に微かなアクセントであって主張するほどには出てきません。EdTとして発売されたのがとても良く分かる軽やかさなのですが、如何せん持続が短すぎます。アイリス、ジャスミン、スズラン、オレンジブロッサムなどの単品香料で軽やかにしているようですが、少しパウダリーでランドリー系な薄いスイートウッディムスクが肌に残りますので、タイトルそのままに仄かなムスクを楽しむための香りだと言えるでしょう。普段香水を使わない人たちには主張せずに香っているという辺りが支持されそうだったのですが、残念。(10/07/2013)


■Grisens (2011年)

フランス語でうっとりさせる意味を持つGriserとフランキンセンスのEncensを合わせた彼の造語です。

フランキンセンス、サンダルウッド、ウッディノート

香りはトップノートがなく、あれ?付けた?という微かな香りでスタートし、そこからじわじわとウッディノートのフランキンセンスが広がります。ドライなフランキンセンスではなくて、樹脂を炊いた時に感じる「樹木の樹脂だぞ」というウッディノートを保有したフランキンセンスの香りです。薫香をしたことのある方にはピンと来る香りだと思うのですが、この香りはシダーウッドとフランキンセンスを同時に蒸留するという手法で得られたオイルを使用しているのだそうです。凄いですね、だからこんなにフランキンセンスとウッディノートが相性良く重なっているんですね。CdGのようなフランキンセンスではなくて、もっと繊細で仄かなスモーキー系ウッディフランキンセンスです。(09/12/2011)


■Pluie de Soleil (2011年)

太陽の雨と名づけられた香り。雨というよりも「降りそそぐ陽射し」とか「サンシャワー」くらいの意味なのだと思います。

ベルガモット、レモン、フリージア、ストロベリー、パイナップル、サンダルウッド、ムスク

6種のうちでは1番レディースなフルーティーさを持ったトロピカルフレグランスです。ストロベリーとパイナップルがジューシーに広がり、南国ムードを醸し出してくれます。ストロベリーとパイナップルだとパイナップルの方が強く、その他のウッディノートや渋めな香りは香りません。フリージアはフルーツをフレッシュにするための素材で、フローラル感はありませんので、基本的にはフレッシュフルーティーな香りだと思って下さい。1番初心者向きでわかりやすい香りで、持続も長くなく軽やかですから真夏にコロン感覚で使うと良さそうです。(08/12/2011)


■Cendres de The (2011年)

お茶の灰と名づけられた香り。

ティー、カルダモン、ホーウッド、シダーウッド、ムスク

付けた瞬間にグリーンティーノートとカルダモンがスパークするように香り、そこから柔らかく薄くウッディノートとムスクが残るというもので、軸となっているのはカルダモンです。カルダモンとHedionが軽い残り香となるのですが、甘さがないためにさっぱりと使えるユニセックスな香りとなっており、この軽さと残り香の仄かさは日本人好みだと思いますよ。トップでスパークしたカルダモンが落ち着いた後の香りを確認して購入された方が良いですよ。カルダモンがなかったら比較的ありがちな香りなのですが、力強くカルダモンを入れているところがこの香水のポイントで、ラストノートはウッディノート(おそらくシダーウッド系の合成香料のVertofix Coeur)が肌を包みます。(08/12/2011)


■Rue de Lilas (2011年)

「ライラック通り」というタイトルの香りで、Parfumerie Generaleの方にもEther de Lilas Blanc sur Feuillage Tendreというグリーンフローラルのライラックの香りを彼は手がけています。

ホワイトライラック、スズラン、ローズウッド、パウダリームスク

香りは確かにライラックとスズランです。パウダリーで優しいライラックとスズランにLinaloolが重なり、清楚で優しいホワイトフローラルになっています。とてもシンプルな香りですが、Ether de Lilas Blanc sur Feuillage Tendreよりもストレートにライラックとスズランが香り、タイトル通りで花期の風に乗って香る清々しいライラックとなっています。ラストノートは緩やかにに少しパウダリーなムスクへと変化してほの甘い石鹸香になりますから、日本人好みだと思います。調香はシンプルですが、彼自身の作ったホワイトライラックアコードが活かされた香りと言えそうです。(07/12/2011)

 

<Phaedon Paris Topに戻る>

profice〜香水のポータルサイト〜