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■今年のテーマは「わざわざ会いに行く」。

 

 

春へチュニジアへ出かけたのも、ナブールというオレンジブロッサムの産地や、北チュニジアのネフザに住んでいる友人がいたからでした。彼らは共に精油に関する仕事をしており、ビジネスなつながりがあったわけですが、今回のトルコも観光目的であるとともに、そうした友人たちに、彼らの暮らす地で会おう、というのが大きな目的の1つだったのです。

 

 

イスタンブールの旧市街、新市街共に街を歩いていると香水ショップがあることに気づきます。それはコンビニエンスな商品たちがメインで、日本で言うドラッグストアで売られているような感覚のもの。

 

 

トルコなのにエッフェルとはいかに? というこちらのブランドは、トルコ全土に2、30ものショップを構える大手、エッフェルパルファム。イスラムの人々はアルコール製剤を避けるため、もともとはパフュームオイルの文化が主流だったはずなのですが、とても柔軟なイスラムであるトルコ、お酒だって飲んでしまうトルコではアルコール希釈でも平気。

 

 

新市街の一等地に店舗を構えたNishane (ニシャネ)がニッチなフレグランス市場に参入したのはつい4年前のことであり、今のようなラグジュアリーな製品でデビューしたのはつい2年前のことでした。イタリアの展示会で華々しくデビューした彼らは、トルコ発の初めての高級フレグランスブランドとして世界へ勢いよく飛び出したのです。Murat KatranとMert Guzelによるこのブランドは、濃度が30%とかなり高濃度のパルファムなのですが、それはパフュームオイルに慣れたイスラムの人々が、持続の長い香水を求めるからなのだそう。

 

 

共に地元育ちだという彼らに、食事に誘われました。もともと、彼らの商品を購入するため、彼らの店舗に伺う予定だったのですが、なんともタイミングが悪くクローズしており、今新店舗を探しているところなのだそう。今度はショールーム的なスペースもあるショップというよりオフィスラボな感じになるみたいですよ。だから・・・商品を見るならば・・・と案内してくれたのはイギリス大手百貨店Harvey Nicholsでした。えーーー? イスタンブールにHarvey Nicholsがあるの? とお思いでしょうが、観光地とは別にホワイトカラーの人たちが住むエリアには、百貨店やモール、高層ビルがひしめいているのです。イスタンブールはとにかく多面性をもった貧富の差の激しい国。

 

 

本当に羨ましい限りです。Serge Lutensは国内にはない高級ラインも含めてラインナップ。

 

 

CdGはあるけれど、V CantoOlfactive Studioはまだ国内未上陸。

 

 

Aedes de VenustasFerragamoL'Artisan Parfumeurはあれど、Le Galionは未だなし。

 

 

Etro、Penhaligon's、The Different CompanyはあれどAtelier des Orsは未だ未上陸。この棚の中央の目線の位置には、最高級品を置くのが常。そこに鎮座していたのが友人であるJean-Philippe ClermontのAtelier des Orsだったことがとても誇らしく思いました。

 

 

イタリアで人気のMoresqueだってあります。

 

 

INITO、XerjoffClive ChristianRoja Dove全てが世界展開しているのに、日本だけ未上陸。

 

 

とても仲良くさせていただいているTiziana Terenziは単独にコーナーを設けて販売中。全ての商品のラベルを手前に向け、並べなおして出てきました。仲が良いだけにとても誇らしいのですが、なんだかやはり日本市場がいかに鎖国的かを実感して寂しくなります。トルコにあらず韓国や台湾、香港全てに負けてしまっているのが現状なのです。

 

 

その棚の中で、そうそうたるブランドと肩を並べているのがNishaneの製品たち。ムエット代わりの陶器がトルコブランドらしさを感じさせてくれます。(内側にムエットが仕込んであります)

 

 

ワインが好きだという僕のために彼らが用意してくれたのは、トルコワインの美味しいお店でした。トルコ料理はわからないからお任せするよ・・・と言ったあと、よくよくメニューを見ると知っている言葉ばかりが書かれていることに気づきました。そうイタリアンのお店だったのです。ワインは3種のテイスティングを楽しめるエノテカセットのようなものを頼み、そこからグラスで各自好きなものをリピート。トルコワインも味と香りがそれぞれで、なんだなんだ、とっても豊かじゃないかと開眼です。チーズも豊かでワインもある、ヨーロッパですよ、ここは。

 

 

一通りの料理を楽しんだ後、トルコの水たばこ、ナルギレの話題になりました。彼らの新作がナルギレをテーマとした香りだったから。一度試してみたいという僕のために彼らは近くのカフェへと案内してくれたのです。カフェのテーブルに各一台ナルギレがセットされており、たくさんのフレーバーの中から香りを選んだ楽しむことが出来ます。初心者はこちらがいいよ、と勧められたのはアップルミント!! 喉が口が爽快に、口から吐き出された息はフルーティーなアップルに。水を通しているためタールはなく、タバコという感じではなくフレーバーを蒸気で楽しむ、という感じのものでしたよ。翌朝が早いという僕のために、早々にお開きとなりましたが、タクシーの中街中をいろいろ説明してくれ、本当に楽しい一夜となりました。二人とも、本当にありがとう!!

 

 

翌朝、6:30に迎えに来てくれたのはJorge Leeでした。彼は3月に東京を案内した友人で、もともとコロンビアのご出身ですが、アメリカやヨーロッパのGivaudan社で調香師として勤めた後、トルコのMg Gulcicekという香料会社に移りました。今はそこでチーフパフューマーとしてご活躍されています。なんと彼が会社を案内をしてくれると言うのです。

イスタンブールの朝はとにかく渋滞が酷い。だから早くに出発しないと・・・ということだったのですが、その分途中でトルコらしい朝食を頂くことが出来ました。セルフサービスのいわゆるモーニングスタイルですがねこの細長い白いものがわかりますか? 市場で見て何なのか知りたくて食べたくてうずうずしていたので感動したのですが、これは細く加工したモッツァレッラなのです。モッツァレッラ自体もたくさん作られていて、フェタチーズと共に良く食べられているそう。また、彼も大好きだというオリーヴのピクルスが絶品で、クセになる美味しさでした。キッシュみたいな卵とチーズのふわふわとしたものがあったり、パンが香ばしくて美味しかったり、やはり食は完璧ですよ、トルコ。オレンジジュースも日本と違い酸味がいきいきとしていてとっても美味しかったですし。(最近の日本のみかんは水分が多すぎ、ただただ甘い水みたいで美味しくないと感じていたのです)

 

 

道中、いろいろな話題、それこそ次の東京オリンピックの話だったり、これからのトルコの開発のことだったり、楽しく話していたらあっという間に2時間。イスタンブールのアジア側にある彼の会社に到着しました。なんと言えば良いのか、彼のこの会社のエリアはビューティー系の工場や企業が集まる、いわゆるコスメバレーのような場所で、近くはにAVONがありました。関連企業は近くにある方が便利ですもんね。

 

 

彼のオフィスというか、彼の個室に案内され、そこで始めたのは持ち込んだ香料の解説でした。日本の香料、日本の香り、そして自身の製品。そうproficeオリジナルたち。以前、桜の季節に桜風を渡していたことを覚えていてくれて、というかデスクにありましたけど、ちょっと2人で遊んでみようよ、と声をかけてくれたのです。彼が1つアコードを作る、僕もアコードを作る。使用する香料は20種とし、持ち寄った後でバランスを考えて合わせてみる。これぞ、本当のアジアとヨーロッパのミックスだ、と。僕はつい、いろいろなタイプを持っていきたくて5種を作りました。彼が手がけてくれたのはなんと日本のグリーンティーの香り。それも緑茶ではなくお菓子に使われている緑茶の香りだったのです。だからクリーミーで甘いグリーンティーでした。彼は処方も公開して説明してくれ、僕の持ち込んだ中のどれと合う、どれくらいで合わせようか、などと楽しいひと時を過ごしたわけです。

 

 

オリジナルでは月光をとても評価していただき、なんとこの後精油やコンパウンド(キンモクセイ)を手に、彼の上司の皆さんに一人ずつご紹介していただくことに。なんだなんだ? どうなるのだ? 彼はチーフパフューマーであり、彼の下にはジュニアパフューマーたちがいて、実際に香りを作るアシスタントの皆さんがいます。ひっきりなしに皆さんが相談に訪れるわけですが、彼がいかに慕われているか、彼の優しい指示の出し方に表れていました。

 

 

香料会社を訪問してまずしたいことは、香料棚を片っ端から香りたいというもの。誰もがそう思ったことがあるはず。出来るならば、1mlずつセットにして持ち帰りたい、売ってほしい・・・という願望を「香る辞典」や「香料セット」という形で販売しているわけですが、実際にラボに入るとあり過ぎて困ります。でも、彼はとにかく優しい。他の仕事があるから、と少しこの場で時間をくれたのです。トルコローズはもちろんのこと、トルコで抽出されている精油を香ったり、後は紅茶(ブラックティー)のアブソリュートを香ったり、とにかくレアな体験をすることが出来ました。

 

 

ここでは、彼の処方をもとに実際に調香をするアシスタントさんたちがいます。彼らは英語が話せませんのでトルコ語のみ。でも、始終笑顔で迎えてくれました。

 

 

なんとその後はまさに「工場見学」です。この大きな容器の中にあるのが香料。こうした容器が所せましと積み上げられ、それらがチューブでつながれています。下の階にチューブで運ばれるのです。そして計算通り、指示通りに自動でミックスされていくのです。

 

 

完成した香料はこちらの機械で混ぜられ、揺すられ、安定するまでおかれます。

 

 

全ての香料が大量にストックされているわけてはなく、一部はこちらにありました。各調香師たちが作ったオリジナルのコンパウンドもこちらにありました。そう・・・でね、あの香水に使用したアレはコレだったんだよ、なんてナイショ話もあったりして。

 

 

温度、湿度は一定に保たれ、専用の係員が品質チェック、在庫チェックを行っています。完璧です。あぁ、ここに住みたい。いや、住めるんですよ。なんとMg Gulcicek社はホテルも同じ建物内にあり、プールやジムまで完備されているのです。凄すぎる待遇の良さに、思わずここで働きたいと漏らして笑われました。いや、スバラシイですよ。

 

 

彼らの工場では、香料を買い付けているだけではなく、自社で化学合成もしています。溶解したり、合わせたり。一部蒸留もしているようで、新しいエッセンスを香らせてもらいました。

 

 

大型のマシンを使い、自動で調香するのは最後の仕事。それまでの試作品たちはこちらの小さな機械で作られます。500種ほどの香料がセットさせており、やはりこちらもレシピの指示通りに自動で調香されるというすぐれもの。左側の機器には溶解が必要な香料たちやパウダー(粉末香料)が詰まっていました。

 

 

これはナンだと思いますか? 小部屋に小さなのぞき窓がついていますよね・・・。

 

 

ここは、クリームやジェルなどのファブリックやディフューザーのテストルームなのだそう。だから、仕上がり後や部屋の空気を覗き窓から確認することが出来るようになっているのです。

 

 

商品たちは多岐にわたり、カラーチェックだって欠かさずに。可愛らしいテスト容器だったので思わず撮影してしまいました。

 

 

Mg Gulcicek社は、とにかく幅広く香料関係の商材を手がけてます。香水はその一部。彼ももともとはファブリックが多かったのでしょう。でも、Nishaneのフレグランスを手がけたことで名前が世の中に出ることになったのです。ファブリックだって調香師の名前を明かしても良さそうなのに、市場の展開が早すぎて大変なのかな。

 

 

もちろんNishaneだってオフィスに飾られていましたよ。彼にとっては、自分の作品たちが世界展開したわけですから、やはり嬉しいことでしょう。

 

 

でも、この会社はそれだけではありません。なんと美術館のような展示スペースがいろいろあり、訪れる者たちを楽しませてくれるのです。歴史的なボトルや商品の展示だってあったんですよ。

 

 

その細かな内容を説明し、案内してくれたのはDuygu Besbicakさんという企業間のコミュニケーションや営業を担当している方でした。僕らが座っているのは上から吊るされたブランコなんですよ、これ。座っていいの? みたいな。ゆっくり本を読みたくなるようなスペースでした。

 

 

どこにもつながっていない電話で遊ぶお茶目なJorge氏。彼含め、案内してくれた彼女、フルコースのランチをご一緒させて頂いた調香師や上司の皆さまに心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。彼の人柄にどんどん引き込まれ、あっという間だった訪問の日。実はこの後CNNの取材が入り、彼らはドタバタ劇を繰り広げることになるのですが、日にちまで僕に味方してくけたようで、嵐の前の楽しいひと時を過ごすことができたのです。

(Mg Gulcicek社のオフィシャルサイトで会社の様子を動画で観ることが出来ます。Jorgeももちろん登場していますよ。)

(19/09/2016)

 

 

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