2003年、Alexander McQueenの誕生日である3/17に発売されました。日本では誕生日ではなくて9月に銀座三越、梅田阪急の先行でした。

まず、ボックスを開けると、空けた所に「Pierce my heart again」と書いてあります。この詩は、1996年の「Dream Of The Unified Field」と題されたコレクションのためにピューリツァー賞を与えられたアメリカの詩人ジョリー・グレアムによって書かれたもので、出だしの1行だったようです。

「もう一度私の心を射貫いてごらん」

この挑戦的なメッセージを見つつパッケージを開くとシルバーメタリックに包まれた「ハート」の形にもとれるボトルが出てきます。彼曰く、「Our heart is our kingdom」だそうです。やはり心臓「心」のイメージだったのですね。

コパイバウッドとは、バルサムが採取できるのだそうで、コパイババルサムと取って良いと思います。バルサムはトルーバルサムが有名ですが、トルーバルサムの甘みを少なくしてウッディ系を強めた香りの精油だそうです。 「最初はフレッシュだけどどっこい、次第にメンズっぽさががんがんに出てきます、このコントラストがすごいんだ、面白いだろ?」だそうですが、最初からそれほどフレッシュ感はなく、どちらかというと渋さがあるのでメンズ寄りの香りがします。この独特の香りは何?クミン?一歩間違えると腋臭の香りにも近くなる危険なフェロモン臭。そこにどっしりとウッディが居座って、セクシーに香ります。スパイシーさとフローラルはミドル以降次第に姿を隠し、ウッディにミルラが残ります。バニラはそれほど強くはないなぁ。甘さというよりも柔らかさという感じです。フレッシュなウッディどころか各ブランドがフレッシュ系に傾きだした中でこれを発売したのは凄かったんだなぁ、と今頃しみじみ感じてみたり。こういったものが、発売当時は好き嫌いがあって大ヒットはしなくても、長く人気を得る香水のような気がします。ブームって一時ですから。

このボトル、通常のもの以外にこんなのもあるんです。これはメタリックに隠されたハート。まるで鎧ですよね!

(15/07/2006)