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Sampleレヴュー

 

■Oh My Deer! (2022年)

アニマリックなアルデヒドとはいったい・・・。Oh My Dearをもじった言葉遊びで、ムスクアコードだけでは単調なため、楽しめるムスクアコードとして作られたもの。

トップ:ブラックペッパー、山椒、アルデヒド
ミドル:メタリックノート、スズラン、フランキンセンス、アンバー
ベース:バニラ、アニマルノート、ムスク

なんのなんの、とても美しいペッパリーアルデヒドのトップじゃないですか。そこからフランキンセンスとスズランの少しメタリックなトーンに切り替わっていく辺り、とてもクールじゃないかと思っていたら、突然アニマルノートが顔を出しました。メタリックというよりもアルデヒド感がドクダミを思わせ、少しアニマリックなムスクへと変化していきます。アニマルノートは決して強くはないので安心して使えますが、アルデヒドとメタリックノートはなかなかに強く、大量のムスクの中でトゲトゲしく香ります。(21/07/2023)


■Perverso (2019年)

Pervers Gutというドイツ語があるのですが、意味合い的には変態良い。つまりクソカッコいいのように、逆に良い意味で使われる言葉です。それをモチーフにしたタイトルでグルマンにしたもの。どうして香りがチョコレートのグルマンになったのかというと、Spyros自身がこの言葉をチョコレート製品に良く使っているから。クソ旨いじゃん!! ということですね。

ラム、ローストナッツ、ココアパウダー、カラメル、フィグ、タバコ、スティラックス、ムスク、アンバーグリス、オークモス

こんなにタバコが強く入ったらグルマンじゃないよ、というタバコ系のカカオ。ナッツやスモーキーなトーンがカラメルカカオに隠れて香るのですが、それよりも強く香るのがタバコなのです。後半はカカオよりもカラメルよりもタバコがメインに切り替わり、少しやんちゃなカラメルタバコとなって落ち着きます。カフェでチョコレートブラウニーを食べながらタバコを吸う時間。試しているのはEdPですが、これで十分な濃度です。Extrait de Parfumになってしまったら少し強すぎるかもしれません。(20/07/2023)


■Dama Koupa (2016年)

各国語でタイトルを付けていますが、これはギリシア語でハートのクイーンという意味。

 

 

マカロン、アイリス、オスマンサス、ムスク、アンバー、ホワイトウッド、ビーワックス、ファーバルサムアブソリュート

肌に乗せた瞬間美しいアイリスが白く弾け、そこからじんわりとナッツのような香ばしいグルマンノートがアイリスに包まれて香りだしました。じっくりと香るとその中に少し甘苦いファーバルサムのエッセンスがあったり、ウッディノートがあったりして実に大人っぽいセクシーな香りとなっているのがわかるのですが、ゆっくりとオリエンタルへと変化していく様子はExtrait de Parfumらしい香り方です。最初、ハートのクイーンだとお聞きした際にはイメージでローズだろうと思ったのですが、こんなにシックな形でまとめるとは、本当に面白いです。(22/11/2016)




■Nooud (2015年)

最初、何のことかとわからなかったのですが、新たにIndigoやBerlin Im Winterに使われたウードアコードのことだと思います。タイトルはNo Oud、つまりこれはウードではない、でも、ウードの香りだよ、と。そう、天然香料のウードを使わなくたってウードの香りは作り出せるのです。

ウードのコンパウンドというのは香料会社各社から発売されているものなのですが、どれも良い香りではありますが、リアルではありません。精油そのものの香りはとてもパワフルで、少しアニマリックでレザリーでスパイシーに感じるほどの部分もあり、とてもセクシーなのですが、これはそのリアルさを追求して作られたウードアコードです。だから、単独で香水として成り立つほどとても素敵なウードとなっています。それでも本物と比較したらワイルドさは少なく感じますが、それは香水として使うには限度というものがあるわけで、とても良くまとめられたウードだと思います。シングルノートのウードの香水はあまりなかったのではないでしょうか。ローズもジャスミンもスパイスもなく、ただただウードを楽しむための香りです。(03/08/2016)


■Voyance (2015年)

明るく輝く煙、ミステリアスなパラドックス・・・と、とても抽象的なキーワードで説明がされてある香り。

 

 

チュベローズ、ガイヤックウッド、ベチバー、サンダルウッド、ムスク

これはユニークな香りです。香りの軸をベチバーとチュベローズとし、ベチバーを甘くクリーミーなテイストで包み込んだのです。クリーミーなベチバーって今まで香ったことがなかったかもしれません。サンダルウッドならば通例なのですが。ベチバーの良いところ、香ばしいウッディノートの部分も生きていますし、チュベローズの華やかなフローラル部分もメインではないものの生きています。スモーキーなガイヤックウッドは控えめで、良きアクセントとなっています。チュベローズをベチバーによってユニセックスにまとめた、という香りです。(03/08/2016)


■Melkmeisje (2015年)

フェルメールの絵画の中でもとても有名な「牛乳を注ぐ女」にインスパイアされたもの。アムステルダム国立美術館に所蔵されていますので、彼が題材として取り上げたのも納得です。

 

 

ペア、ライラック、リンデンブロッサム、ハニー、アイリス、バニラ、ベチバー、サンダルウッド、ムスク

ミルクを題材として取り上げたのかと思うとそうではなくて、ハニーバニラとライラックという少しミスマッチな香りが軸となっています。ハニーだけなら良いのですが、バニラはちょっと残念だったかな。グリーンなのに甘いというニュアンスで、慣れるとクセになるのかもしれませんが、少し取っつきにくい印象を受けます。ライラックの香りを生かすのであればもう少しフレッシュだった方が良かったのになぁ、なんて。でも、それではテーマが変わってしまいますからね。牛乳を注ぐ女のあの美しいブルーをライラックで表現したのかもしれません。(02/08/2016)


■Berlin Im Winter (2015年)

もともと、Indigoのセカンドバージョンとして作られ、Berlin Im Winter RMXという香りだったもの。共通した香りがかなり多くみられます。テーマはIndigoが夏の午後だったのに対しこちらは寒い冬の夜。

 

 

ラベンダー、マスティック、ローズ、フランキンセンス、ミルラ、アイリッシュコーヒー、ノーウード、アンバー

オリジナルのIndigoとは違い、ミルラとコーヒーの効いた甘苦いレジンノートを特徴とした香りとなっています。ラベンダーやマスティックがとてもアロマティックに香り、天然香料率の高い香りとなっています。ラベンダーとアンバーと相性が抜群ですので、トップからベースをつなげる良いアクセントとなっていて、全体をスムーズに取りまとめています。ラストノートはラベンダーが消えてダークなコーヒーアンバーとなって残りますので、冬の夜の暗さ、温かさなどを表現した香りとしてはぴったりなのではないでしょうか。ラベンダーのカンファーっぽい部分は冷たい空気感に通じますし。甘苦い樹脂系、ファーバルサム系がお好きな方に良さそうです。(02/08/2016)


■Chai (2015年)

インドのマサラティー、チャイをテーマとした香り。Untitled #2の改題です。

 

 

シナモン、クローヴ、ジンジャー、カルダモン、ペッパー、ブラックティー、スチームミルク、ココア、ローズ、バニラ、ムスク、レザー

Untitled #2のトップにあった乳酸菌の不快にも思えた香りを排除した、香ばしいスパイシーオリエンタルレザーとなっています。改題というより改良な感じで、基本的な軸は変わらないのですが、より良くなっているのがポイント。スパイスとバニラという相性の良い組み合わせにレザーを合わせたところがユニークで、ココアもチョコではなくクッキーのような香ばしいニュアンスでアクセントとなっています。でも、リアルなチャイではないんですよね。もちろんレザーがあるからそう感じられるのもあるとは思うのですが、美味しいチャイではなく飽くまでも香水として楽しめるスパイシーオリエンタルといったところでしょう。(01/08/2016)


■Tindrer (2016年)

輝くというデンマーク語のタイトルで、とあるバンドの音楽タイトルにインスパイアされたもの。この歌を聴くといつも田舎の春の朝を思い浮かぶのだそう。

 

 

カットグラス、ヴァーベナ、ブッチュ、枝、濡れた土、ヴァイオレット、ホワイトムスク、アンバーグリス、ヘリオトロープ、モス、ファーバルサムアブソリュート

こちらもリフォーミュラされていて、以前よりも明るくシンプルなグリーンとなっています。以前のタイプがまとまりに欠けた、臭みを感じるものだったのに対し、今の方は明るい部分にスポットライトを当てたような爽快感のあるグリーンとなっているのです。その爽快なグリーンをひとしきり楽しんだ後にファーバルサムが出てくるのですが、その辺りはOlfactive StudioのPanoramaやAnnick GoutalのNuit Etoileeなどにもあるように比較的多くみられる手法です。グリーンからの甘苦いオリエンタルへと変化していくのですが、やはり少し土臭い香りがあるのが田舎をテーマとした香りだなぁ、と感じます。また、これはラストノートにヴァイオレットが生きているのが特徴です。以前のものはアニマルムスクが肌に残るので、断然リフォーミュラ品の方が素敵です。(01/08/2016)


■Indigo (2015年)

テーマは以前と同じで、都会のマンションの屋上から見上げた青い空。でも、香りはかなり違います。

 

 

マスティック、ヒヤシンス、ローズ、フランキンセンス、アトラスシダーウッド、サンダルウッド、ノーウード、アンバー

以前のものは甘さのあるアロマティックなセロリ香が前に出ていたのに対し、リフォーミュラされたバージョンは透明感のある土臭いウッディノートにヒヤシンスが重なっているのです。少しメタリックにも感じられるトップで、そこを抜けるとローズやフランキンセンスが少しだけ見えるようになり、最後はウードの欠片というかガイヤックウッドのようなスモーキーなウッディノートがアンバーに隠れて香ります。トップからラストの印象が結構変わりますので、変化を楽しめる調香となっています。(01/08/2016)

 

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