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Sampleレヴュー

■Bronth (2024年)

天空神のウラヌスとガイアの息子であるブロンテ(Bronte)は、大地と空の息子であり、稲妻を作りだすためエトナ山にいたとされる神。そこからエトナ山の麓にBronteという街が作られ、山の斜面ではピスタチオが生産され、今ではシチリア人ならば、美味しいピスタチオと言えばBronteと答えるほどの産地となっています。もともとのPistakという言葉はピスタチオの殻が割れてグリーンの宝石が見えた時に発せられる音から名づけられたという伝説が残っているそう。ピスタチオはグリーンゴールドと呼ばれています。エトナ山の海側ではなく山の向こう側(内陸側)で、バスで1時間ほどのところにあります。

 

 

トップ:ピスタチオ、コットンキャンディー、マシュマロ、フルーツ、カルダモン
ミドル:シュガーアーモンド、トンカビーン、クリーム、パウダー、ヴァイオレット
ベース:サンダルウッド、バニラ、アンバー、ホワイトムスク、ぺルーバルサム

シチリアの中でもカターニアと言えばピスタチオの産地であり、Ciatuのあるシラクーサでもピスタチオを使ったパスタやピッツァもとても有名です。香りはもちろんピスタチオがしっかりと存在感を放つピスタチオのグルマン。ピスタチオそのもの香ばしい香りというよりも、甘さをしっかり含んだクリームやペーストを思わせる、スイーツに使われているピスタチオの香りで、アーモンドがアクセントとなっています。このアーモンドというのもとてもシチリアらしい香りで、もちろん産地でもあるし、アーモンドペーストも多くのスイーツに使われています。これはシチリア島を旅してスイーツを食べた方ならば、懐かしく感じられる香りなのではないでしょうか。この香りは、グルマンのままで終わることなく、最後は微かにオリエンタルなニュアンスが感じられるスイートウッディムスクとなって終わるのですが、サンダルウッド、ヴァージニアンシダーウッド、ぺルーバルサムなどが支えているようです。ピスタチオは需要が増えたことでCO2 Extractが作られ、流通するようになりました。これからまたいろいろな形のピスタチオが登場しそうですよね。(17/06/2024)


■Colapesce (2024年)

シチリアの伝説をタイトルとした香り。コーラペシェとは二コラという男性の名前と魚(ペシェ)を合わせたもので、泳ぎが得意な漁師の息子の話です。シチリアのメッシーナに住んでいた二コラは素潜りが得意で、どこまでも、いつまでも潜っていられることから、皇帝フリードリヒ2世に試されることとなりました。海に投げ込まれたゴブレット、王冠、指輪を取ってくるようにと依頼され、全てを持ち帰ったのですが、その際にシチリアを支える3本の足の1本は亀裂が入り、エトナ山の下の1本は崩壊していることに気づいたのでした。このままではシチリアが崩壊してしまうと恐れた彼は皇帝フリードリヒ2世に自分が海底で支えると告げて海の底に戻ったのだそう。今でもシチリアを支えているヒーローであり、エトナ山付近で引き起こされる地震は、彼が海底で支える肩(腕)を組み替えているとされています。



 

トップ:シトラスノート、オゾンノート、シーアスパラガス、アルデヒド、フランキンセンス、カルダモン、ユーカリ
ミドル:ケイパー、ソルト、ラバンジン、クラリセージ
ベース:ガラクソリド、アンバーグリス、オークモス、ミネラルノート、ベチバー、ウード、パチョリ

さすがにテーマがテーマのため、マリンノートは必須なわけですが、マリンフローラルで始まりました。二コラなのに海なのにフローラルとなると、深海ではなくサンゴが広がる美しいリゾートの海底をイメージしてしまう。微かな海藻の匂い、フローラルノートの残り香、ベースは少しオリエンタルにも感じられるオリエンタルなウッディムスク。マリンノートはムエットの方が強く、肌では全体のトーンをマリン風にしている役割で、透明感を感じるほどではなく、ましてやかつての強めなマリンでもありません。マリンというよりも飛沫のオゾンに近い感じもしますね。取り立てて珍しいタイプではありませんが、伝説のイメージを押し広げてくれる香りです。

シチリア島は三角形の島の形から3つの突起を3本の足と捉えた、トリケトラというデザインがあります(上の画像のサンプルの上のもの)。三位一体を表すケルトのデザインでもありますが、シチリアは三本足なのです。だから、Colapesceも三本足の伝説なんですね。(28/03/2024)


■Khalisa (2023年)

パレルモにあるKalsa地区は、観光のメッカとなっていますが、シチリア島は9世紀にアラブ人に征服され、パレルモはその中心地となりました。シチリアにはイスラムの影響を受けた建築物や様式が多く残されています。時代によって、古代ローマ、ゲルマン、ビザンツ、イスラム、キリスト教と支配が変わり、とても特有の文化が根付いています。その中でもアラブ人支配の時代を切り取った香り。タイトルはアラビア語でピュア、真実の意味。

 

 

トップ:ブラックペッパー、ピーチ、エレミ、カルダモン、マンダリン
ミドル:オスマンサス、ベンゾイン、ローズ、シプリオール、フェヌグリーク
ベース:ミルラ、ウード、サンダルウッド、トンカビーン、オークモス、ムスク

ピーチが印象的に広がり、可愛らしくスタートしたと思ったら時間と共にどんどんオリエンタルに変化していきます。オスマンサスにはアプリコットがあり、アプリコットにはピーチとオレンジが入っているのですが、そのピーチの部分を強めた調香で、アニマリックではないウードのベースにオスマンサスの残り香が重なって消えていきます。イスラムだからウードなんですね。でも、そこを過ぎると最終的にはとてもラクトニックなウッディムスクとなります。(09/06/2023)

 

 

■Catania (2018年)

カターニアはシチリア第二の都市と言われるほど大きく美しいゴシックな街並みなのですが、テーマとなったはのエトナ山でした。街のどの部分を切り取るかで香りは全く変わりますよね。

 

 

トップ:スティラックス、スパイス、ラベンダー
ミドル:タバコ、カルダモン、ジャスミン、ベンゾイン
ベース:サンダルウッド、ベチバー

スパイスがスモーキーに弾けて始まります。あまり重くないオリエンタルウッディベースにタールほど力強くはないタバコが重なり、ギリギリのユニセックスさを保って香ります。何度か試しているうちに、トップにジャスミンの欠片を感じ取ることが出来ましたが、フローラル感は薄く、ラベンダーでフゼアのようにまとめられた香りでもありません。火山と言えばやはり男性的なイメージですよね。スモーキーさは持続をせず、スパイスと共に消えていきますので、比較的使いやすいオリエンタルさで、この香りのバスラインが発売されていたらユニークなのになぁ、なんて。(04/10/2018)


■Taormina (2014年)

ブランドとしての最初の香りはシラクーサではなく、カターニアに近い観光客に人気の町、タオルミーナが選ばれました。とても可愛らしい崖の上の町で、生搾りのレモンやオレンジが美味しく、遺跡まであるんですよね。見所がぎゅっとまとめられた町です。

 

 

トップ:マンダリン、グレープフルーツ、ベルガモット
ミドル:ネロリ、ジャスミン、バジル、ヴァーベナ
ベース:サンダルウッド、ベチバー、ムスク、バニラ

とても質の良い、ハーブに近いアロマティックなシトラスノートがトップで弾けます。もちろんハーブも入っているのですが、搾りたてのシトラスにはやはりどうしても皮の苦みもあるわけで、その部分がとてもアロマティックに感じられるのです。精油になると幾分薄れ、水蒸気蒸留になると全く消えてしまうその部分は、品質の良いオイルほど感じられます。フローラルノートは強すぎず、アロマティックな香りにニュアンスを添える程度で、ユニセックスなまとまりで、シトラスアロマティックウッディというのが全体像ですね。そして最後は少しメンズっぽいフレッシュノートとサンダルウッドベースのウッディムスクが柔らかく肌に残ります。(03/10/2018)

 

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