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Sampleレヴュー

■Psychedelicious (2023年)

サイケな・・・というタイトルのストーリーは、歩き疲れて立ち止まった森の中で見た夢。それは、何となくヘンゼルとグレーテルの世界観で、おとぎ話というよりもホラー感の強いオリジナルを思い起こさせる。

 

 

トップ:ラズベリー、ブラックカラント、マンゴー、ライチ、グレープフルーツ、ナツメグ、ジンジャー、ピンクペッパー
ミドル:ロース、マグノリア、ピオニー
ベース:サンダルウッド、ベチバー、バニラ、アンバーグリス

香りは何てことのない、ひと昔前に一世を風靡したベリー系のフルーティーフローラルで、香り自体はEscadaの一連の限定品の雰囲気なのですが、世界観がヘンゼルとグレーテルのあの雰囲気となると、可愛らしさはおいでおいでと森の奥へと誘う幻覚にも思えてきます。どこかでターンしてダークに落ち着くのかと思っていたら、そのままフルーティーフローラルで終わってのでした。フルーティーフローラルな可愛らしさはこのブラントのラインにはなかったので、ラインナップとしては必要だと思います。でも、このブランドのカラーがお好きな方には、もう少しベースに毒が欲しかったかな。全体的にとても軽く、EdT並みのスピードでスイートムスクになります。(26/08/2024)


■Oceanoir (2024年)

夜の海ではなく、夕陽に輝く海。ダークブルーの海が青の時間(空がダークブルーになる時間)に溶けていく時。調香はLuca Maffeiです。

 

 

トップ:シーウィード、グレープフルーツ、ベルガモット、ビターオレンジ
ミドル:カシス、サフラン、岩塩、ダヴァナ、シーリリー、ブーゲンビリア
ベース:ベチバー、サンダルウッド、パインバーム、アンバーウッディ、ムスク

マリンではなくオーシャンであり、今までのマリンと違う点はフレッシュなシーウィード(海藻)の香りが使われていること。そして海岸の砂浜に自生するシーリリー(サンドリリー)のアコードが使われていること。フレッシュなマリンフローラルではあるけれど、今まで広く使われてきたスタイルではない。とても穏やかで静かに広がっていく波紋のよう。マリンとも言い難く、アクアティックとも言い難いのですが、しいて言えばフレッシュで、シトラスやフルーツが微かなアクセントに、そしてスイートフローラルも少しだけ見え隠れしつつ、やがてはフレッシュなアンバーウッディムスクとなって落ち着きます。今までのマリンとは違う、でもダークな夜の海ではなく南国リゾートでもない、フレッシュな(アンバーグリス調の)アンバーウッディをベースとした香り。ただ、最後はアンバーグリス一色となり、それだけが強く残りますので強いアンバーグリスが苦手な方はご注意を。


■Freakincense (2023年)

フリーク(愛好家、変り者)のインセンスというフランキンセンスをもじった言葉遊びのタイトルです。奇しくも2023年はFilippo SorcinelliがTrompette 8というそっくりなテーマの香りを発売しました。共にピンクペッパー、シトラスととエレミのトップからフランキンセンス、ウッディノートとラブダナムのベースへと変化していくスタイルです。

 

 

トップ:ライム、ピンクペッパー、ヴァイオレット
ミドル:フランキンセンス、エレミ、カシュメラン
ベース:ベチバー、パチョリ、ラブダナム

ピンクペッパーが弾けるトップからフランキンセンスに変わる。エレミはレモンとペッパーの効いたフランキンセンスとも言える軽い樹脂香のため、トップからフランキンセンスがあるかのように香るのですが、Trompette 8との違いはヴァイオレットがあることでした。トップでは爽やか過ぎず、ヴァイオレットが柔らかく包み込んで広がり、ベースのウッディオリエンタルなベースもこちらの方が強く、全体のトーンとしてはTrompette 8の方がフランキンセンスとペッパーが強く残ります。こちらの香りの方がよりオリエンタルな終わり方で、フランキンセンスはラブダナムに重なってダークに香ります。ちなみに、上記のサンプルが乗っている植物はBoswellia neglectaです。(13/06/2023)

 

 

■Hardkor (2022年)

深い霧が立ち込めた通りに響く靴音。重い木の扉を開け、階段を上り煙たいクラブに入る。ドリンクを注文すると、ワインレッドのドレスを着た女性にスポットライトが当たり、静かに歌い始める。

トップ:グレープフルーツ、マンゴー、ブラックカラント、パッションフルーツ
ミドル:ジャスミン、オーキッド、スズラン
ベース:バニラ、フランキンセンス、アンバー、ホワイトムスク、レザー、ウード、パチョリ

調香からするとトロピカルフルーツ調のオリエンタルが想像されますが、香りの軸はレザーに置かれていました。トロピカルフルーツの量が微妙な加減で良きアクセントとなり、全く可愛らしく感じられないレザーに。でも、しっかりとトロピカルな欠片が香るのです。このレザーはスエード調ではなくクラシカルなパーツとモダンなパーツが重なっていて、あまりスモーキーなタイプではありません。いろいろと他の香りを香った後にこの香りに改めて戻ってみると、またトロピカルな欠片がレザーの中に感じられて、とてもユニークなのです。イメージされるのはロンドンのバーでビールやウイスキーなのですが、テーマとなっている場面はトロピカルカクテルなんでしょうね。(29/07/2022)


■No Sleep (2021年)

Don't sleepではないわけなので、眠らないで…ではなく徹夜です。

トップ:ベルガモット、ヒヤシンス、ホワイトローズ
ミドル:リリー、ジャスミン、ヴァイオレット
ベース:パチョリ、バニラ、ホワイトウッド

このコレクションの中では一番優し気な香り。それはホワイトフローラルに微かなヒヤシンスが重なり、パチョリにムスクに支えられて広がっていくから。フローラルトーンは全体としてホワイトフローラルで、スズラン系、ジャスミン系、マグノリアなどを感じさせる香りがブーケとなっていて、パチョリが少しアクセントとなったウッディムスクに重なっているのです。大きな個性、主張はなく安心感を与えるような香りですが、徹夜明けの疲れた心を癒す、安眠の香りなのかもしれません。(28/07/2022)


■Mystic Sugar (2021年)

神秘的なシュガーと訳すよりも、ニュアンスとしては秘伝のシュガーくらいでしょうか。人々を魅了してやまないグルマンがテーマです。

トップ:オレンジ、アーモンドブロッサム、パイナップル
ミドル:ココア、カルダモン、ジャスミン、ジンジャー、トンカビーン
ベース:バニラ、サンダルウッド、アンバー

ココアとバニラはアブソリュートを使用しているようですが、そのアブソリュートらしさはあまりわからずに、シトラスフローラルとごく僅かな辛みを感じるスパイスを合わせたグルマンです。全体のトーンとしてはカカオでもバニラでもなくオリエンタルなグルマンで、確かに甘さは強いものの、美味しいというほど「何かに似ている」「思わず食べたくなる」ようなリアル感はありません。調味料としてのソルトには様々なバリエーションがありますが、バニラシュガー以外にスパイスシュガーやカカオシュガーなんてものもあっても良いのかな、と香りながら感じたのでした。とても優等生的なグルマンですが、最終的にはグルマンというよりオリエンタルで終わります。(28/07/2022)

 

 

■Catharsis (2019年)

鬱積した感情などのデトックス、浄化のような意味合いのカタルシスをテーマとした香り。

トップ:クローヴ、ナツメグ、ネロリ
ミドル:イランイラン、サフラン、ローズ、ウイスキー
ベース:ウード、ガイヤックウッド、シダーウッド、レザーアコード

トップではスパイスよりもツンとした酸味のあるフルーツがローズに重なりスタートです。そこからローズにジャスミンが重なりはじめ、やがてはスイートフロリエンタルへと変化していくのですが、ウイスキーの部分やウード、レザーのダークなトーンはあまり主張をしませんので、とても使いやすいフロリエンタルといったところ。早々に全てがまとまったシンプルなラストノートになりますが、このスイートノートはどこか懐かしい子ども用の風邪シロップを思い起こさせます。(27/07/2022)


■Hierba Nera (2019年)

ブラックハーブとはブラックカナビスのことなのでしょうか。

トップ:ベルガモット、ナツメグ、マリファナアコード
ミドル:エレミ、イソイースーパー、フランキンセンス、ラブダナム、シダーウッド
ベース:アトラスシダーウッド、テキサスシダーウッド、ウード、オークモス

香りは比較的わかりやすいシダーウッドを軸としたウッディオリエンタルで、フランキンセンスが効いています。フランキンセンスのフレグランスのベースにウッディノートとラブダナムを配して少しオリエンタルなトーンで支え、トップのシトラスに微かなアクセントとしてアロマティックなトーンを合わせたというニュアンスです。ウッディ系のフランキンセンスがお好きな方には良いのではないでしょうか。マリファナアコードがあることで、少し危険なニュアンスを打ち出していますが、パッと香っただけではどの部分がそこに相当するのかわからないほど、とても安全な香りです。ちなみに、オフイシャルサイトでベースにオークムスクとなっているのはイタリア語でオークモスのことをオークのムスクと書くためです。(27/07/2022)


■Punk Motel (2019年)

モーテルと各ととてもアメリカっぽいですよね。イタリアにもないわけではないけれど、アメリカのようにそこかしこにあるわけではないですから。

トップ:ベルガモット、ホワイトローズペタル
ミドル:サリチレート
ベース:ムスク、バニラ、アンブレット

サリチレートというのはジャスミンやオーキッド調の微かな香りの成分で、多めに使うことで効果を発揮するタイプの香料です。その香りの微かにソルティーなニュアンスを利用した香り。同様の効果を感じるのはZoologistSquidで、アンバーグリスの効いたベースにドライなソルティーフローラルが重なって香ります。こちらもそうした雰囲気なのですが、アンバーグリスではなくバニラの甘さのスイートムスクベースですので、シンプルなスイートフローラルムスクと言ったところです。全体的にアメリカ人の好みに合わせているのかと思うほど、シンプルです。(26/07/2022)


■Rose And Me (2019年)

バラと私。なんとストレートで分かりやすいタイトルなのでしょう。だから香りはローズ以外の何物でもないわけです。

トップ:ブラックローズ
ミドル:ゼラニウム、ジャスミン、サフラン
ベース:パチョリ、スティラックス、ガイヤックウッド、ムスク

ローズがどのようになっているのかというと、パチョリローズの変形版です。ローズ自体にスパイスを合わせ、更にゼラニウムを重ねることで酸味やワイルドなトーンを強調し、パチョリやサフランでクールに仕立てたローズです。スティラックスは微かなハニートーンを、ガイヤックウッドはスモーキーな、それこそ正露丸のようなニュアンスを微かに漂わせています。あぁ、正露丸ローズと表現してしまったら台無しになってしまいそうですが、案外納得される方がいるのかもしれません。(26/07/2022)

 

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