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Sampleレヴュー

 

■Bianca Forte (2024年)

Bianca Forte(ホワイトストロング)と名付けられた5つ目の香りは、チュベローズの白さを際立たせた、ラクトニックなチュベローズ。

 

 

トップ:ココナッツ、バナナリーフ、ジンジャー
ミドル:チュベローズ、イランイラン、ガーデニア
ベース:サンダルウッド、チュベローズ、トルーバルサム、バニラ

7種のコレクションになるならば、1つくらいはチュベローズそのものを楽しむ香りが欲しいよね、と思ったらこの香りはココナッツやバニラの利いたグルマン系ではじまりました。ところがカスタードクリームのようなバニラにココナッツが重なった部分はトップノートで薄れはじめ、ミドル以降は完全にグルマンというトーンから抜け出し、ラクトニックなチュベローズとなります。ここまでの5種の中では一番チュベローズがabsらしく香り、甘さ強めで南国調を強化したような香り。


■Vittoria Alata (2023年)

Vittoria Alata(翼ある勝利)とは、ブレシアの街のシンボルである1世紀に作られたというブロンズ像のことで、現在はブレシアのサンタジュリア博物館にあります。翼ある勝利とは、翼をもった(者)による勝利という意味で、4つ目の香りはメタリックなチュベローズとなりました。

 

 

トップ:アルデヒド、バナナリーフ、ジンジャー
ミドル:チュベローズ、メタリックノート、アイリス、ラズベリー
ベース:アンバー、ムスク、バニラ、ホップ

確かにアルデヒドやメタリックなトーンは感じられるものの、フルーティーなチュベローズが軸にあり、アルデヒド類が穏やかに広がります。フローラルアルデヒドなのにキラキラ感がなく、アイリスの利いたフロリエンタルにアルデヒドがアクセントとなって香るというのが全体像で、チュベローズアコードも生花らしく香るというよりは、チュベローズ風というニュアンスですので、チュベローズであることにこだわらずテーマを楽しんだ方が良さそう。ChanelのNo.22を思い起こさせる香りで、使いにくい個性ではなく、とてもモダンクラシックな香りです。


■Murice Imperiale (2022年)

3作目はマリンチュベローズ。チュベローズが貝殻となり、波に運ばれて波打ち際に届けられたというテーマで、色に例えるのならば白ではなく紫に近い赤だという、ミネラルなチュベローズ。ラベルには貝から花が咲いているデザインとなっています。

 

 

トップ:バナナリーフ、ジンジャー、ルバーブ
ミドル:チュベローズ、コーラル、ペトリコール
ベース:チュベローズ、レッドシーウィード、マリンムスク、アンバーグリス

赤紫の海藻を表現したというルバーブよりも、まずトップで弾けるのはカビっぽい雨上がりの匂い、ペトリコールです。ごく少量で強いインパクトを残す香料で、近年使われることが増えてきました。でも、基本的にはカビっぽく、強めに配されることは稀です。この香りの中ではそれがミネラルノートに引き継がれていくのですが、チュベローズがマリンノートというよりも、海藻に包まれて香る、しかもペトルコールがアクセントとなって個性的に広がっていきます。今までのマリンとは違うけれど、別の意味で好き嫌いが分かれそうで、最後は少しキュウリっぽいヴァイオレットリーフ調のムスクとアンバーグリスが肌に残ります。このアンバーグリスは強めなので、苦手な方はご注意を。液体はオイルベースのようにトロリとしているのも特徴です。(23/07/2024)


■Boa Madre (2021年)

卵を抱く蛇が描かれた2作目。蛇はダチョウの羽で誘惑し、忍び寄る。卵は生命の始まりの象徴であり、フェミニンなチュベローズに絡んでいく。彼はこれをイタリア人イラストレーターのRene Gruauへのオマージュだとしています。Diorの広告を多く手がけた方で、特徴のあるタッチのため、誰もがひと目でRene Gruauのものだと分かることと思います。下記のイラストレーターではありませんが、ダチョウの羽が印象的に使われていたものが多かったことから、ダチョウの羽と卵が蛇と共に組み込まれたのです。

 

 

トップ:チュベローズ、バナナリーフ、ジンジャー、ピンクペッパー
ミドル:チュベローズ、ジャスミン、オレンジブロッサム、アイリス、イランイラン
ベース:ウード、サンダルウッド、ムスク、コスタス、バーチ、レザー、シベット、アンブレットシード、オークモス、カストリウム

チュベローズは確かに香るものの、それを凌駕するダークなエッセンス。何とも肌に乗せてみないと、なかなかフローラルノートが感じられないかもしれませんが、レザーやウードを柔らかくしているのがフローラルノートです。チュベローズのそれらしさは強く感じられるほどではなく、全体としてフロリエンタルで、Histoires de ParfumsのTubereuse 3のタバコチュベローズをレザーウードにしたようなフロリエンタル。とてもクールで男性的。好きな人が多そうな香りですが、時々見かけるタイプでもあります。予想していたほどアニマリックではなく、安心して使えるバランスです。(23/07/2024)


■Musa Paradisiaca (2021年)

フレグランスの中のミューズをチュベローズとして発売された最初の香りは、バナナの木(実際は木ではなく草です)を組み込んだ香りに。

トップ:セロリ、チュベローズ、バナナリーフ、ジンジャー
ミドル:チュベローズ、ナルシス、イランイラン
ベース:チュベローズ、シベット、アンバーグリス、サンダルウッド、カカオ、バニラ、トンカビーン

チュベローズを軸に、少しワイルドなまでのトロピカルトーンでまとめられた香り。セロリのキリッとしたグリーンとバナナではなくバナナリーフのグリーンをアクセントに、トップノートはワイルドなグリーンチュベローズで始まります。そこから、少しクラシカルなテイストのチュベローズブーケへと変化しつつ、ベースのカカオやバニラが感じられるようになります。フルーティーで可愛らしいチュベローズではなく、どこかゴムっぽいリアルなチュベローズをクラシカルな佇まいで表現したような香り。もともとチュベローズにはココナッツ調やピーチ様の香りがあるのですが、その部分をバナナで補填したのでしょう。でも、バナナの香りよりもグリーンノートの方が際立ちますので、トロピカルとは言ってもカクテルではなくジャングル系な香りです。このベースにカカオがあるのがとてもユニークで、とても個性的なラストに引き継がれ、やがてはチュベローズとなって落ち着きます。(22/07/2024)

 

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