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Sampleレヴュー

■Easy to Love (2019年)

PositanoのホテルLe Sirenuseを開業して50周年に作られたブランドは、今年15周年を迎えました。その記念に、と作られたのはイタリアに恋をするのは簡単なこと、というテーマでイタリアらしい、Positanoらしい香りとなりました。

 

 

トップ:ホワイトカラント、フィグ
ミドル:ホワイトピオニー、ハニー
ベース:トンカビーン、アンブレットシード

フィグにはココナッツが必要で、ココナッツはピーチにとても近い香料ですから、トップにピーチ、ミドルにフィグという組み合わせがテッパンです。でも、こちらはそこをホワイトカラントに置き換えたんですね。ホワイトカラントはブラックカラントより随分大きく、梅くらいのサイズがあるフルーツです。ホワイトカラントのフルーティーフローラルであればフェミニンになりそうな香りですが、そこにフィグが加わるとグリーンノートが作用して一気にユニセックスへと傾いていきます。パッと弾けるように散ったホワイトカラントとフィグのコンビネーションが鮮やかで、香りはすぐにそこからフローラルムスクへと切り替わります。フルーツの余韻を楽しみながら、肌に浸透していくフローラルムスクはとても清潔感があり、この香りのバスラインがあればポジターノの旅をより一層楽しめることでしょう。(09/05/2019)


■Fior Fiore (2018年)

そう言えば、今まで夜の香りがありませんでした。ホテルの中と同じくらい美しいのがテラスから見るポジターノの景色。夏の夜、そこにはたくさんのジャスミンが咲き、シャンパンバーで楽しむひと時を盛り立ててくれます。直訳だと花が咲くという意味なのですが、花の中の花という意味合いから転じて最高という意味になったり、花が咲くから転じて貴族、エリートなどの意味になったりもするタイトルです。

 

 

トップ:ペア、スズラン
ミドル:ジャスミンペタル、サンバックジャスミン
ベース:アンブレットシード

昨年のRosa Gretaがとても瑞々しくて綺麗なローズでしたが、今回も系統としてはその方向にあり、瑞々しいスズランで幕開けです。ムエットではサンバックジャスミンが綺麗に香っていたのですが、肌ではきちんとスズランから始まります。スズランが終わると、少しフルーティーで爽やかな春に咲くハゴロモジャスミンのように香り始め、軽くて使いやすいジャスミンへと変化していきます。インドールが強くてセクシーなタイプではなく、マルチで使えそうなシンプルでキレイなジャスミン。ムスクももわもわと主張するタイプではなく、そっとフローラルを支えており、清潔感のあるフローラルのまま消えていきます。(9/05/2018)


■Rosa Greta (2017年)

1938年ハリウッド女優のGreta Garboが姿を消した。彼女がパパラッチたちから逃れて恋人のLeopold Stokowskiと休息していたのは、アマルフィだったそう。彼女が過ごしたヴィラも明らかとなっていて、そういう逸話が残っているんですね。CimbroneというヴィラにはRavelloという有名なローズが咲いていることから香りの軸はローズとなりました。

 

 

トップ:ライチ、ホワイトティー
ミドル:ローズバッド、ローズインフュージョン
ベース:アンブロックス、シダーウッド

展示会で香った際、ムエットでは「なんてステキなローズだろう」というのが第一印象でした。ローズ系の香水は山ほどあるのに、それほど新鮮に感じられたのは、何故なのか。香りを肌に乗せてみると、ミントが効果的に使われていたことがわかりました。ホワイトティーのふんわりとした香りに、グリーン系のローズが重なり、更にそこにミントが爽やかさを添えているのです。ペパーミントではなく、ミント系のグリーン香料だと思うのですが、ミントグリーンティー風のものがありますので、それが使われているのかもしれません。さっぱりと爽快に香る、まさに初夏にぴったりで、ライチがほとんど主張をせず、可愛らしいフルーティーフローラルではない点が時代を感じさせてくれます。テーマカラーはライトブルー。ピンクではないところも、この香りのイメージが青い海、青い空、まさにアマルフィの風景に溶け込むものであることを象徴しており、おそらく彼女が見たであろうアマルフィの景色の色だったのでしょう。(22/09/2017)


■Morn to Dusk (2015年)

彼らにとって12番目となった香りは「朝から夕暮れまで」というタイトルなのですが、MornはMorningのMornなんですね。朝から夕暮れまで薄いゴールドのヴェールに包まれる、というのがテーマで、調香はAnnick Menardoが担当です。

トップ:ベルガモット、スズラン
ミドル:ブルボンバニラ
ベース:シダーウッド、ムスク

香水の中にはスズランムスクというのがいくつかあります。それはスズランとムスクの相性が良いからなのですが、スズランバニラというのは初めてかもしれません。たっぷりのそれこそグルマンなバニラの中からスズランが時折香るのです。シダーウッドも強くはなく、トップのベルガモットも強くはなく、全体の軸はスズランとバニラにあり、とてもシンプルな香りがあまり変化せずに長く続きます。スズランが持続しているのはムスクが多めに配合されているからなのですが、バニラとムスクがスズランをけん引し、更に長く香られているように感じます。早朝というよりも、ボジターノの夕暮れが似合いそうな新たなバニラの形と言えそうです。(09/10/2015)


■Graine de Joie (2014年)

Un Bateau Pour Capriとこちらの香りの2種がEdPでそれ以外はEdTです。Seed of Joy、つまり喜びの種と名づけられた香りは、イタリアらしく愛をテーマとした香りに。愛は美しくあり、アートであり、イタリアの歴史を語る上で愛は欠かせないものだと。調香はDSquaredやLe LABOを手がけている女性調香師Daphne Bugeyが担当です。

トップ:ポメグラネイト、レッドカラント
ミドル:フリージア、プラリネ
ベース:シダーウッド、ムスク

ここまでジューシーで美味しそうなフルーツは今までのラインにはありませんでした。恋に落ちる瞬間をイメージした甘酸っぱいフルーツがトップで可愛らしく弾け、そこからゆっくりとフルーツの酸味が和らいでフローラルノートへとスライドしていきます。少しグレープフルーツピールのようなビターフローラルが感じられるのですが、フリージアを表現する際はぺティグレンを使用したりしますし、カシス(ブラックカラント)にも同様の特有香があったりしますので、そういった少しビターな酸味がフローラルノートに重なって香り続けます。ベースはさほど強くはなく、ウッディノートも最後まで明確には現れませんので、可愛らしいフルーティーフローラルというテーマそのものが生き生きと香ります。一時の流行系にも思えますが、Un Bateau Pour Capriと共に可愛らしさを楽しみたいときに良いのではないでしょうか。(19/09/2014)


■Acqua Decima (2013年)

最初の香りを作ったときに、もうシトラスベースの香水は作らないと決めていたそうです。イタリアだからシトラス・・・という安易なイメージに捉われたくない、と。でも、10番目の香りはシトラスベースになりました。やはりポジターノという地を表現していく中ではどうしても欠かせないエッセンス、それがレモンです。特にリモンチェッロはカプリ島やアマルフィ含めてあの辺りの特産ですからね。調香はAlberto Morillasで、レモンを生かしたアロマティックシトラスに。

トップ:レモン、マンダリン、クールミント
ミドル:ネロリ、ぺティグレン、ヘディオン
ベース:ホワイトウッド、ベチバー

「10番目の水」という直球なタイトルらしいシトラスノートが肌に乗せた瞬間から溢れ出るのですが、その時すでにミントの中の爽快感ではなくミントの中のアニス調の甘さが感じられます。柔らかな甘さでフレッシュさを感じさせてくれるものの、すっきりさっぱりと消えていく爽快なシトラスノートではなく、肌の上にゆっくりと残る穏やかなシトラスノートとなっているのが特徴です。いわゆるシトラスコロンのEdP版ではないのです。ヘディオンもわざわざ調香に記載するほど強めに入っているようで、全体を柔らかくふんわりとまとめています。逆にウッディノートたちは調香にあるもののラストノートでもその存在はさほど強く感じることなく飽くまでも残り香の1つ。Guerlain等のクラシカルでシンプルなオーデコロンタイプに少し飽きてしまった方には、こういうのもありだよね、という感じです。(21/06/2013)


■Un Bateau pour Capri (2012年)

ポジターノのホテルLe SirenuseがDolce Vita(甘い生活)の出来る場所としてアマルフィの海岸にホテルを構えて60周年。彼らのホテルに滞在したエリザベステイラーやグレースケリーなどの女性をテーマとして作りだした香りです。夏の朝、プリント柄のシルクスカーフを頭に巻き、大きなサングラスをしてウッドボートでカプリに向かう彼女たち。だからタイトルは「カプリ行きのボート」と名づけられました。調香はJacques Cavallierが担当。

トップ:ピオニー、フリージア、ピーチ
ミドル:サンバックジャスミン、センティフォリアローズ、ヘリオトロープ
ベース:ソーラーウッド、シダーウッド、ムスク

香りはとても可愛らしいフレッシュフルーティーフローラルで始まります。ピーチが可愛らしく香った後、ピオニーとジャスミンがピーチと重なり、薄いピンクの花弁が重なるようなヒラヒラとした軽やかなフローラルが広がります。次第にローズも見え隠れするようになるのですが、基本的には軽やかさを感じさせてくれるHedioneや軽いフローラルノートがたっぷりと入っているのですが、その中にジャスミンとローズ、ピーチを入れたという雰囲気です。ウッディノートもムスクも強くはなく薄く肌に残っていくというだけのベースノートです。ラストノートで微かにヘリオトロープが香るかな、という程度の甘さとパウダリーさで、パウダリーさは決して気になるほど香りません。ファッションフレグランスにありがちな香りだと言ってしまえばそれまでなのですが、マリンノートもアクアノートもないままで透明感を感じるこの香りは、海風にスカーフをはためかせてボートでカプリに向かうという、その雰囲気がぴったりだと思います。リゾート地に向かう際、旅のお供にしてみてはいかがでしょうか。(24/09/2012)


■Au Lac (2010年)

北イタリアのマッジョーレ湖をテーマとした「湖の水」で、この香りからボトルがスクエアにリニューアルとなりました。調香は調香はAlberto Morillasが担当。

トップ:リリー、オレンジリーブス、フィグリーブス
ミドル:オスマンサス、ローズ、ジャスミン
ベース:シダーウッド、パピルス、アンバー

マッジョーレ湖畔ということで、シンボルフラワーのキンモクセイを組み込んでいるのですが、香りはフィグリーフがメインです。フィグリーフをメインとしたグリーンフローラルになっており、ボトルのピンクなイメージとは少しかけ離れています。グリーンノートの奥にあるのがキンモクセイではなくオゾン系のスズランノートで、フィグリーフを涼しげにしたようなフローラルと言えそうです。とてもシンプルな香りで香りも軽やかなのですが、持続はします。個性という面では少し物足りなさを感じてしまいますが、着実にバリエーションを増やしているのがわかりますね。グリーンフローラルは初めてですから。(02/09/2011)


■Jardin du Poete (2011年)

毎年春にお披露目される新作はグリーンカラーのボトル。シチリアがギリシアの植民地だった頃、シラクーザは香る中庭が沢山ありました。そこにはシトラス果樹とハーブが沢山植えられた香る庭でした。そこで、シチリアの人なら誰もが考えるシチリアらしい香りを「詩人の庭」というタイトルでBertrand Duchaufourが調香したもの。

トップ:ビターオレンジ、グレープフルーツ、バジル
ミドル:アンジェリカ、イモーテル、ピンクペッパー
ベース:ベチバー、サイプレス、ムスク

シトラスならばEau d'Italieがあるのに・・・と思うのですが、こちらはビターオレンジとバジルが強く香ります。あ、ビターだ・・・と思っていたら中からジューシーな甘さが出てくるというもので、ムスク以外は全て精油で作れますよね。ミドルノートはセリっぽいアンジェリカだけがほわ〜んと香っていてイモーテルやピンクペッパーは強くはありません。またベースノートもサイプレスの方が強くてベチバーはあまり前に出てきません。オレンジの香りが結構持続してくれますので、割合的にはトップノートが全てな感じです。アロマティックなシトラスノート、特にビターオレンジの香りがお好きな方には良さそうですね。(03/06/2011)


■Magnolia Romana (2008年)

2008年の香りはローマのマグノリアというタイトル。ボルゲーゼ公園のホワイトマグノリアだそうですからやはりタイサンボクのことですね。

トップ:北イタリア産バジル、カラブリアンレモンリーブス、グラースネロリ、コモロナツメグ、イタリアンサイプレス
ミドル:マグノリアフラワーエクストラクト、ブルガリアンローズエッセンス、チュベローズ、ロータスアコード、オゾンノート
ベース:ヴァージニアシダー、フレンチヘイエクストラクト、ホワイトムスク

発売前に展示会で香っていた香りなのですが、その際もマリンノートがガツンと香るマリンフローラルでした。今日、改めてサンプルを肌に乗せてみたのですが、タイサンボクっぽいマグノリア香よりも遥かに強くマリンノートが香ります。トップでドカッと香った後、マリンノートは少しずつ薄れて行きますので、クリードやBond No.9のように延々香り続けるというものではありません。マリンノートがひと段落すると少しクリーミーなフローラルが花開くのですが、取り立てて素晴らしいマグノリアだという印象はなく、このブランドにしては微妙な売れ筋を狙った香りですね。少し柔らかで印象が強くないという、ビギナーにはとっても優しくて使い安い香りなのだと思いますが、慣れてしまうと物足りなさを感じてくると思います。ラストノートはサイプレスにシダーウッド、ヘイの残り香のようなものがチュベローズのクリーミーな香りと重なります。マグノリアという花のタイトルですが、ラストノートはとてもメンズっぽいフレッシュウッディとなりますから男性でも気兼ねなく使えそうな香りです。(26/08/2009)


Eau d'Italy (2004年)

アマルフィの海岸をイメージし、その美しさを表現した最初の香り。

ベルガモット、インセンス、ブラックカラントバッドなど

香りはトップから広がるのがやはり南イタリアならではのシトラスですね。シトラスがなきゃ南イタリアじゃないですから。でも、シトラスの香りは突き抜けるような爽快感ではなく、少し苦味を伴ったぺティグレンっぽさや皮のような渋さをも持っていて、大人の佇まいです。少しサイプレスやバジルっぽさ、ミドルからはマリンノートっぽさも出てきます。この香りは発売と同時に世界的に認められ、世界各国で発売が開始となりました。たった1つの香りで世界展開ってすごいですよ。(18/10/2008)

 

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