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Sampleレヴュー

 

 

■Another World (2023年)

アナザーワールドに行ったとして、
樹木が逆さまで、水は黒インクで、指を浸す。
DNAが変異し、音も音楽もない。
影は裏切らない、それはいつも自分のものだから。

トップ:インク、ブラックペッパー
ミドル:パインウッド
ベース:シダーウッド、ホワイトムスク

インクをたっぷりパチョリで表現したのかと思ったらそうではなく、ペッパーとパインウッドのピネン類と湿布香が広がりました。チリチリとひりつく感じのそれらを柔らかく包み込んでいるのはホワイトムスクで、フランキンセンスではないけれど、とても静かで漂う静謐な様を感じるような清潔感のある香りで、中東の男性の真っ白な衣装、トーブが似合いそうな香り。(27/06/2024)


■Bodhi & Utah (2023年)

強盗を企てる2人組の男たちの会話が、ドラマ(というよりコント)風に記載されています。これは、ちょいワルに惹かれる思春期の様子でしょうか。

トップ:カルダモン、セージ、ティー
ミドル:アイリス、トンカビーン
ベース:ブルーアンバー、フランキンセンス

日本の若者がこれでは少し背伸びし過ぎな感じですが、オーソドックスなメンズ香をいわゆるセクシー系にしてみました的な、少し懐かしさを感じるメンズの香り。ファッションフレグランスにあったテイストですので、過去の話としてちょいワルに憧れていたあの頃的な回想にはピッタリなのかもしれません。でも、アイリスやクマリンに少しコーヒーっぽいトーンが重なっていて、香りとしては全然アリで、後半はアンバーなオリエンタルとなっていきます。(27/06/2024)


■Dark Dreams (2023年)

ネオンとタバコ
レンタルルームとレンタカー
混雑した通りと誰もいないバー
煙突の上とトランペット。

トップ:ゼラニウム、サフラン
ミドル:マンダリン、ベルガモット
ベース:ガソリン

8種の中では一番クールな香り。男性的なサフランとアンバーウッディでスタートしますが、その中からゼラニウムが香りだし、ユニセックスな骨格を成していきます。ガソリンはベースノートで香るような香料ではないので、トップで弾けるのですが、サフランの残り香に少し金属的な断片が感じられる部分がガソリンなのかもしれません。少しメタリックなムスクを使用しているのかな。最終的には少しオリエンタルなムスクとなって終わります。(26/06/2024)


■Liquid Skin (2023年)

2つの月と1000の思いの狭間で、という何とも伝わりづらい一文が記された香り。

トップ:ラブダナム、ナガルモタ
ミドル:レッドシナモン
ベース:ベチバー、ドライタバコ

調香だけを見ると全く予想もつかないメタリックなアルデヒドでスタートです。トップノートでラブダナムが香ることもなく、シナモンが強く香ることもなく、ただただ全体をまとめているのはオゾン系のアルデヒドで、オリエンタルでもないし、タバコ系でもありません。比較的ムスク強めな調香であるのが肌をテーマとした香りなのだと伝えていますが、全体としてのテーマは感じられず。最後までラブダナムやタバコは登場しないままでした。(26/06/2024)


■Lost Chemistry (2023年)

テーマは狂おしいほどの愛。オフィシャルにはポエム調の説明がありますが、あまりピンと来ないのは、思春期の葛藤のような、普通中の普通という特別でも何でもない内容だから。でも、だから普遍的なそこをテーマにしたのかもしれません。

トップ:アンバー、レッドムスク、ウード
ミドル:ラズベリー、フィグ
ベース:サンダルウッド

アンバーやウードが先に来て、ラズベリーやフィグが後追いするなんて、調香としては不思議ですが、シトラスノートがないためにその順番で感じられます。まずはスモーキーなアンバーとウードが広がり、その中からフィグがスパイスのように香りだすのです。グリーンではないフィグで、且つ美味しくもないフィグ。サンダルウッドとフィグはココナッツを介して相性が良いので、最後はオリエンタルな少しレザーっぽいウードとなって終わります。テーマがそこに感じられるかは使う人次第でしょう、という香り。(25/06/2024)


■Missing Feeling (2023年)

8月の風、桃の木の下で地中海の白日夢を見る。

トップ:ピーチ
ミドル:ホワイトムスク
ベース:シャンパン

とても美味しいフレッシュなサマーカクテルをイメージすると180度違う、とてもオイリーなココナッツ系ピーチに、溶けたゴムを入れたシャンパンがムスクに包まれて香るというもの。美味しいなんてとんでもない、白日夢ですもんね。一見、混沌とした微妙な香りが時間をかけて馴染んでいく様子は現実と夢とが混在してわからなくなった白日夢から覚めていく様子なのかもしれません。(25/06/2024)


■No Taboos (2023年)

タブーなんてないから好きにしてよ。

トップ:ミルク、フェロモンミックス
ミドル:ブラックジャスミン、レッドアンバー
ベース:ムスク、アンバー、パチョリ

フェロモン自体に強い香りはないのですが、その部分をこういう香りだよね、と置き換えたもの。好みがとても分かれそうなテイストで、溶けたプラスティックやゴム、少し生臭みを感じるようなエロティックさなどがアンバーやムスクに包まれて広がります。とてもケミカルな香りではあるのですが、こういう香りは確かに存在するので、香水として香るとケミカルに感じられるタイプなのだと思います。(24/06/2024)


■Ozymandias (2023年)

1818年、イギリスの作家で詩人のPercy Bysshe Shelleyが発表した詩Ozymandiasをタイトルにしたもの。詩の中に描かれたOzymandiasは古代エジプトのファラオのラムセス2世のことで、遺跡を見て書いた有名な詩。傲慢な王の表情が、職人たちの手によって如実に刻まれ、後世になってもその傲慢さが感じられると皮肉っている。

トップ:エレミ、ブラックペッパー
ミドル:ラブダナム、カシミアウッド
ベース:アンバー、バニラ

心地良いほどのペッパーが弾ける、ペッパリーなアンバーウッディオリエンタル。ペッパーはトップノートの一瞬で消えていきますので、持続はないのですが、その余韻をアンバーウッディノートが引き継ぎ、アンバーバニラへと切り替わっていくという調香の通りの香り。ペッパーが弾けた部分はとても好印象でしたが、肌に残るアンバーバニラは至って普通で、いくら着飾ってみたところで中身は平凡だという皮肉であるのならば秀逸です。でも、全然悪い香りではありませんよ、飽くまでも普通なのですから。(24/06/2024)

 

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