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Sampleレヴュー

 

 

■Delta of Venus (2025年)

エデンの園の禁断の果実の説は様々ですが、それをグアヴァとしたもの。タイトルはアナイス・ニンによる15編のエロティックな短編集より。調香したAntoine Lieはグアヴァを食したことがなく、香りがわからなかったことから、Barbaraはパリに実物を送ったのだそう。彼はそれを食べずに香りを再現したのです。これがまた素晴らしくグアヴァで驚きました。ガルバナムがベースにあるのはオイルではなくレジノイドを使用したのでしょう。それがエデンの園で果実を守るヘビのイメージで配されたようです。

トップ:ベルガモット、グレープフルーツ
ミドル:サンバックジャスミン、ヴァイオレットリーフ
ベース:グアヴァアコード、ガルバナム、ベチバー、サンダルウッド

そうそう、肌に乗せた瞬間からムエットで試した記憶が蘇りました。グアヴァはトップで弾け、そこからフルーティーウッディへと切り替わっていくのですが、グアヴァ自体の香りがフレッシュなため、全体的にサマーフレグランス、しかもトロピカルなリゾート系に感じられます。グアヴァ自体はキュウリにバナナ、パイナップル、ココナッツを足したようなフレッシュトロピカルですが、それらをサンバックジャスミンが軽やかにリフトアップさせ、今まであまりなかったタイプのトロピカルフルーティーフローラルウッディとなっています。ガルバナムはそれとわからないほどのアクセントで、心浮き立つ夏の香りです。(18/04/2025)


■Scorpio Risong

2つ目のExtrait de Parfumはスパイスの過剰投入カクテルに。タイトルは1963年に公開された映画ですが、さそり座の意味、神秘的な力、そして勇者であるオリオンを狙う天敵としての意味。全てを含んだものでした。美しく危険で、魅力的で手ごわくクセになる香り。

ピンクペッパー、ブラックペッパー、クローヴ、シナモン、カルダモン、イモーテル、フランキンセンス、シプリオール、シダーウッド、ガイヤックウッド、サフラン、サンダルウッド、アンブロキサン、カシュメラン、ベチバー、レザーアコード

これは、スパイシー。楽しいくらいにスパイシーで幕開けです。たっぷりのリッチな天然香料のスパイスたちが手筒花火のように弾けた後、花火の色が変わりスパイシーなアンバーウッディノートへとスライドしていきます。レザーは強くはなく、アーシーなトーンも強くはなく、基本的には合成香料のアンバーウッディノートに支えられたスパイシーウッディで、Maison VioletのCycle 002を思い起こさせます。25%濃度のExtrait de Parfumが195ドルで発売に。(18/04/2025)


■Green Spell (2021年)

コロナ禍に発売されたのはグリーンな香りでした。Spellにはつづりという意味がありますが、それ以外に魔力、呪文、抗えないほどの魅力などの意味もあります。だから、そうした意味でのグリーン。Antoine Lieは喜び、幸せの爆発としていて、煌めく自然へのオマージュなのだと。

マンダリン、ブラックカラント、ガルバナム、ヴァイオレットリーフ、ナルシス、トマトリーフ、フィグリーフ、ベチバー、アンブロキサン、ムスク

ナルシスアブソリュートやヴァイオレットリーフアブソリュートとの表記に浮き立ちましたが、香りはそれらを感じるほどワイルドなものではなく、基本的にグリーングリーングリーンです。特にガルバナムはオイルとレジンのダブル投入で、土っぽい大地のアーシーさがない、SisleyのEau de Campagneといったところ。こちらはシプレの要素もなく、突き刺すほどのシャープなグリーンが続きますので、早春の草原で寝そべって空を見ているような、とても牧歌的なグリーンフレグランス。(17/04/2025)


■Mxxx. (2019年)

2017年にMxが発売された後、その豪華版として限定発売されたExtrait de Parfumバージョン。Mxではベネズエラのカカオが使用されていましたが、こちらでは香水としては初めてトリニダードトバゴのカカオが使用されました。それは、調香を担当しているAntoine Lieが親しくしているショコラティエとで選んだ最高のカカオ。それを香料にしているのはAFDMで、数多くのレアな天然香料を手がけている会社です。また、アンバーグリスも7%の熟成を経たナチュラルチンキを使用したというハイエンド版で、価格は240ドル。

トップ:マダガスカルブルージンジャー、メース、サフラン、フランキンセンス、ピンクペッパー
ミドル:トリニダードトバゴカカオ、シダーウッド、サンダルウッド
ベース:ベチバー、パチョリ、ベンゾイン、カストリウム、アンバーグリス、ハイラックス、グリーンバニラ

スパイスがそれほど多くは感じられない、とても香ばしいカカオウッディでスタートです。グルマンというには甘さ控えめなビターカカオで、カカオの香ばしいトップノートが駆け足で抜けた後に甘さがウッディノートに重なって広がっていきます。ウッディノートが強めなのはGuerlainのSpiritueuse Double Vanilleを彷彿とさせますが、こちらはバニラではなくカカオ版とでも言うべき雰囲気。リッチでダークなカカオウッディがとてもユニセックスに香るのですが、アンダートーンにアニマルノートがある分、浮きたった可愛らしさはありません。料理に加えるごくわずかなお醤油のように、全体をまとめているのがアニマルノートの役割です。とてもリッチなカカオウッディオリエンタル。(17/04/2025)


 


■Mx. (2017年)

Antoine Lieによる調香で4つ目の香り。タイトルはMrとかMsなど性別を表すことばのブリティッシュイングリッシュで、ジェンダーレスの意味です。性別なんてどうでもいいじゃない、という意味を込めての制作で、Xにはフリーダムの象徴なのだそう。

トップ:インディアンジンジャー、ブラックペッパー、サフラン、フランキンセンス
ミドル:オーストラリアンサンダルウッド、シダーウッド
ベース:ベチバー、パチョリ、ベンゾイン、バーチ、カカオ、カストリウム

香りはとても穏やかなサンダルウッドを軸としています。サンダルウッドだけだとトップが弱いため、スターターにジンジャーを配置、バニラではない甘さをカカオが補っています。スパイスが弾けた後は、微かに香ばしいカカオの余韻を感じるウッディノートが広がるのですが、背筋が伸びたインテリ風というか、眼鏡をかけて本を読む静かな姿が浮かんできます。普通の人々・・・紛れ込んでいてわからない人たちですが、争いごとを好まず、じっと見つめている視線を感じるような、温かだけど個性的な香り。世界中の人々がこの香りを愛用していたら、世の中が平和になると思う。(29/09/2017)


■Belle de Jour (2016年)

カトリーヌ・ドヌーブの映画「昼顔」で有名なタイトルですが、昼の顔と夜の顔という二面性を、コントラストで表現したもの。

トップ:コリアンダー、ピンクペッパー、オレンジフラワー
ミドル:シスタス、エジプシャンジャスミン、オールスパイス
ベース:アトラスシダーウッド、ムスク、シーウィード

香りはオレンジブロッサムがフレッシュに広がるトップを抜け、ジャスミンの香る少し土臭いスパイシーなウッディムスクへと変化していきます。美しいフローラルのコンビネーションにスパイスを入れ、シスタスでダークさを、そしてシーウィードで汚した感じを表現したように思えます。トップではオレンジブロッサムとピンクペッパーが、ミドル以降はジャスミンが主役でありながら、美しいというよりも少し危険なニュアンスを漂わせているからです。(09/03/2017)


■Night Flower (2016年)

アニマルノートを使用したレザーとチュベローズの組み合わせ。スエードとチュベローズという組み合わせはproficeオリジナルでも随分前に心中という名で手がけていたもの。

トップ:ベルガモット、バーチタール、カルダモン
ミドル:スエードアコード、チュベローズ、シナモン
ベース:パチョリ、トンカビーンアブソリュート、ムスク

proficeオリジナルではチュベローズをメインにスエードでアクセントをつけたものだったのですが、こちらは逆でスエードとアニマルムスクを軸に、その上にチュベローズでアクセントをつけたという割合となっています。それほどタールはスモーキーに香らないのですが、スエードがチュベローズのココナッツと重なり、シナモンとクマリンの効いたスイートオリエンタルな香りとなって肌に残ります。1つ1つの香料は全て角がとれ、主張することなく溶け合っていますので、華やかではなく少しクラシカルな、でもフェミニンなレザーです。(08/03/2017)


■Ma Bete (2016年)

私の野獣という少しインパクトのあるタイトルで、アニマリックノートを50%も配合した香り。

トップ:ネロリ、アルデヒド、ナツメグ
ミドル:シプリオール、スティラックス、サンバックジャスミン
ベース:ヴァージニアシダーウッド、パチョリ、アニマルノートカクテル

ネロリとアニマルノートのコンビネーションは、Maison IncensのNeroli Animalisと同じなのですが、ポイントはアニマルノートの強さですよね。Neroli Animalisは美しいネロリにアニマルムスクを大量投入したものだったのですが、こちらは往年のパルファムらしい重厚感のある仕上がりとなっています。70年代風のRobert PiguetのBanditやBaghariを彷彿とさせるプロの手腕で、アルデヒドをパウダリーノートに乗せ、色あせないクラシカルパフュームという懐かしさで楽しませてくれます。彼女が最初に購入したヴィンテージフレグランスはBanditだったということもこの香りに繋がっているはず。そしてもちろんBaghariもコレクトしているということも。シプリオールが土臭く香りますが、アニマリックだというほど強いアニマルノートではありませんのでご安心を。(08/03/2017)

いや、久しぶりに正規サンプルを頂いたらとてもアニマリックでした。これはカストリウムやシベットではなく、アニマルムスクがベースです。(18/04/2025)

 

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