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Atmosphere d'Emotion

 

 

■Ruah (2025年)

創世記の1:1-10、つまり神が天地を創造されたことを記した箇所をテーマとした香り。

"the earth was shapeless and empty, and darkness covered the abyss and the Spirit of God hovered over the waters." (Genesis 1, 1 - 10)
大地は形なく何もなく、深淵は暗闇に覆われ、神の霊が水面に浮かんでいた。

古代ヘブライ語で風はRuahと表記され、創造的な霊の概念を表していたそう。同時にRuahは息をも意味し、水面に浮かんだ神の霊の精神を息とし、風を神の吐息だと捉えたのでしょう。

トップ:レモン、ベルガモット、海風
ミドル:キャローン、イモーテル、エレミ
ベース:アンブロセニド、シダーウッド

レモンだけではなく合成香料のレモン系香料で補填した、たっぷりのシトラスでスタート。マリンノートをアクセントとして清々しく広がります。とにかく香りはマリンレモン。でも、このマリンノートはレモンを打ち負かすほどのパワーではなく、風のように爽やかに香るので、マリンノートが苦手な方でも顔をしかめるほどのマリンではないかと思います。マリンノートよりもベースにあるアンブロセニドがパワフルなアンバーグリスノートで、そちらの方が懸念されていたのですが、肌ではマリンレモン以外ウッディムスク程度しか感じられないほどなので、安心して使えるサマーフレグランスです。フランキンセンスを使いがちなところに、レモンに合わせてエレミを配してみました、という調香です。(11/04/2025)


■Vento Impetuoso (2025年)

旧約聖書中の一書であるヨブ記38章1節の風をテーマとした香りで、タイトルは激しい風。

"God speaks to Job in the mid dle of the whirlwind" (Job 38, 1).
神は旋風の中からヨブに語りかけられた。

激しいつむじ風は石、火、食べ物など全てを破壊する暴力的な側面を持ちます。だから、全てを破壊していく風のイメージかもしれません。

トップ:スティラックス、ケード、ウインドアコード
ミドル:バーチ、ストーンアコード、カシュメラン
ベース:ベチバー、ガイヤックウッド、シプリオール

スモーキーな鉱物系の香り。ウッディムスクや香ばしいウッディノートがありますが、風を意識した基本的に厚みを感じさせない調香で、ミネラル感がスモーキーノートに乗って広がっていきます。マリンでもオゾンでもなく、ミネラル系をもって風にした調香で、時間と共に風は収まり、強風で散った枯れた樹木たちが見えてくる、という風景。テーマからして心落ち着くリラックス系ではないですが、そうしたトーンの香りもここ一番で頑張る時には必要なのかもしれません。(11/04/2025)


■Vento Forte (2025年)

出エジプト記の14章21節、言わずと知れたモーゼの一説、「モーセが手を海に向かって差し伸べると、主は夜もすがら激しい東風をもって海を押し返されたので、海は乾いた地に変わり、水は分かれた。」という風をテーマとした香り。

≪Moses stretched out his hand over the sea, and the Lord drove the sea by a strong east wind all night and turned the sea dry. And the sea was divided.≫ (Exodus 14, 21)

タイトルは強い風で、それは救いの道具として使われた風。自然に対する神の力と、神の民を救うという側面を持っています。救出するための力強さ、救出後の解放感を表現した香り。

トップ:ブリーズアコード
ミドル:泥、イソブチルキノリン
ベース:スエーデラル、キャローン、オークモス

マリンスエード、マリンレザーというのはなかなかないスタイルだと思いますが、マリンやオゾンのニュアンスを強くは打ち出さずにアーシーなミネラルノートをモスやスエードの流れに乗せて広げていく香り。日本だと強風は台風シーズンなわけで、どうしても台風後は風に千切れた葉や枝のグリーンノートが湿気と共に強く残るのですが、全く樹木のない場所で強風が吹いたとしたら、それが砂嵐のようなものであったとしたら。スターウォーズの砂漠の惑星のように、レザーの民族衣装を羽織り、強風から身を守りながら暮らしている人たちの様子を思い浮かべてしまった香り。一見捉えどころがない香りにも思えますが、そうした異世界の風景がでてくるとしっくりと肌に馴染んでいきます。(10/04/2025)

 

 

 

霧の次は雨となり、小雨、にわか雨、豪雨となりました。ボトルには水滴がデザインされ、キャップには黒いコットンが付けられました。全てにマリンノートが使われていますが、それぞれ全く違ったニュアンスになっています。50mlのExtrait de Parfumが125ユーロで発売に。


■Pioggia Moderata (2022年)

にわか雨はミラノの街中にふる雨。雨に濡れたアスファルトを思わせるダークな香り。

ベルガモット、アイリス、マリンノート、マートル、ナツメグ、ジャスミン、クローヴ、プレシャスウッド、アーシーノート、ムスク、タイム、トンカビーン、ラブダナム、パチョリ、サンダルウッド

3つの中では一番力強い香りです。スモーキーなダークウッディトーンにマリンノートが重なり、マリンノートなのにオリエンタルに香るという少しパラレルな調香。後半はスモーキーなニュアンスを残したままラブダナムの効いたオリエンタルムスクとなって落ち着きます。この香りの中ではマリンノートがスパイスのような役割で、少し個性的なマリンノートを楽しみたい方には楽しい1本となりそうです。(07/07/2022)


■Pioggia Forte (2022年)

豪雨は海岸に降る雨。突然の豪雨の中で抱き合い、結ばれる二人。

ガーデニア、ローズ、ゼラニウム、ジャスミン、シクラメン、マリンノート、ムスク、ベンゾイン、アンバー、プレシャスウッド、ベジタブルムスク

3つの中では一番フローラルノートが感じられる香り。でも、可愛らしいテイストでは決してなく、フローラルトーンがあったかと思ったらすぐにフレッシュウッディムスクへと切り替わっていきます。マリンノートもありますが、それよりもフレッシュノートの方が強く、一番明るさを感じるマリンフレッシュウッディムスクを経て、最後はアンバーグリスムスクとなって終わります。3種の中では一番ムスクが強く、アンバーグリスもかなり強めに残ります。マリンノートのフレグランスは大流行を経て嫌悪される匂いとなりましたが、若い世代には新しく感じられるのかもしれません。(07/07/2022)


■Pioggia Debole (2022年)

小雨は森に降る雨。湿った薪の匂いに、カビっぽい雨上がりのペトリコールを加えたもの。

ベルガモット、パインウッド、マリンノート、レモン、ジャスミン、シダーウッド、ベンゾイン、サンダルウッド、ムスク、プレシャスウッド

3つの中では一番マリンノートが効いた香り。でも、ペトリコールがとても土っぽいニュアンスを感じさせ、トップではピネン類がすっきりと香り、香りはそこから土っぽい、でも透明感のあるウッディムスクへと変化していきます。雨上がりの匂いを探している方は結構多いのではないかと思いますが、あの特有のニュアンスを感じられる香りです。特に夏のスコールの後のもわっと熱気に満ちた空気感を経て、フレッシュウッディムスクとなって落ち着きます。(06/07/2022)

 

 

イタリア語で霧、つまりFogという意味の3つ目のラインです。霧に包まれ、歩く森の中。見えにくいものを手探りで探すのは、聴覚、嗅覚、指先の感覚まで全てを研ぎ澄まさなくてはならない。モノクロにこだわる彼らしいニューラインです。放射霧、移流霧、蒸気霧、前線霧、上昇霧と日本では5つに霧は分類されていますが、フィリッポはそれを厚み、濃さ、深さというニュアンスの似た、でも良く考えると違う言葉で分けました。ボトルにはコットンが霧のようにあしらわれており、見ても楽しいボトルです。また、液体にはセミナーでも良く使用していますグリッターが入れられており、ゆらゆらと揺れるくぐもった霧のようなテイストに。全てが霧につながっていくのです。(07/06/2018)

 

■NEBBIA spessa (2017年)

浜辺に漂う、深い霧。

 

 

海藻、アクアノート、露アコード

海辺というテーマに沿って、マリンノート、シーモスノートを主体としたほの甘いマリンフレグランスです。昔のマリンノートとは違い、香り方がそこまでパワフルではないのですが、それでもマリンノートだというだけでちょっと敬遠してしまう人たちがいるのも事実。でも、霧が晴れていくようにすーっとマリンノートが薄れていくあたり、案外使いやすかったりするのかもしれません。昔のマリンと違い、海藻の香りが少しモスっぽく漂っているところも好感が持てて、ベースは軽めなムスクとウッディノートが支えています。更にはラストノートに残るのは軽いフローラルノートだったりもするんですよ。Extrait de ParfumというよりやはりEdT感覚な香りです。(07/06/2018)


■NEBBIA fitta (2017年)

一番表現しにくい、厚みのある霧。

 

 

アンバー、パチョリ、プレシャスウッド、アーシーノート

普通、霧を表現するのにパチョリは使用しないと思います。何故ならば、イメージが黒に近いから。でも、彼のイメージした霧は明るさを遮ってしまった暗闇の霧なわけですよ。だから、パチョリとなったわけです。少し湿った大地を表現するためにアクアノートが使用されていますが、それも微かなアクセントに過ぎず、ゆっくりとアーシーなウッディノートへと変化していきます。トータルとしてウッディノートが主軸ですが、とても軽やかでEdT感覚で使えますよ。(07/06/2018)

 

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