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Sampleレヴュー




■Like a Jewel (2019年)

Luca Maffeiによる調香で、Freddie Mercurlyをテーマとした香り。ボヘミアンラプソディーが全世界でヒットしたことは記憶に新しいことと思いますが、彼らは5年前からこの香りを手がけており、今しかない・・・とリリースを決めたのだそう。映画を観た方ならば、その雰囲気にドキドキしてしまうはず。調香は明らかにされていないのですが、ドラムのリズム、ステージのライティング、電気のように身体を流れるアドレナリン・・・そのような弾けて輝く瞬間を表現したもの。

 

 

映画の公開後に手直しをしたのかどうか定かではないのですが、香りは、本当に映画の世界観を感じさせるものでした。それはトップからカシスが少し金属的に香り、それがまるで光の中、シャンパンで乾杯する様子に感じられたから。しかも、そこから導かれる香りが肌の香りだったから。ムエットではクミンっぽく感じられましたが、それはきっとクミンではなくカシスの残り香。それがとてもセクシーに感じられるのですが、それはすーっと瞬間で肌に溶け、メタリックな余韻を残した少しオイリーなウッディムスクとなって消えていきます。少し音楽としては短いような気もしますが、最後のムスクはLes Liquides ImaginairesDom Rosaを彷彿とさせるものに。映画や音楽をテーマとした香りはたくさんありますが、これは表現としては秀逸でしょう。わくわくさせてくれたのですから。(13/05/2019)


■Song For a Rising Sun (2018年)

靴を脱いで僕らと歩こう、花咲く牧草地を。頬をなでる風と朝の香りを感じながら。朝日に向かって口ずさむ僕らがいる。恥もなくルールもない、僕らが一体何者なのか、知りたいんだ。過剰なものは間違っている、行く先はすでに示されているのだ。より良く過ごす時が来た。感じて、過ごそう。

 

 

トップ:レモン、ヘイ、パイナップルリーフ、カモミール、エレミ
ミドル:カルダモン、クミン、ハシシュ(カナビス)、ウイスキー
ベース:サンダルウッド、シダーウッド、アンバー、ムスク

そう、テーマは自由な生き方を提唱してきたヒッピーたちです。ヒッピーの文化と言えば薬物があり、その香りを紛らわすためのパチョリが定番ですが、こちらの香りはその部分ではなく、彼らの暮らし方、彼ららしい生活スタイルに焦点を当てました。だから、とても牧歌的に始まります。香りはまず、パイナップルを感じるフルーツが弾けた後、干し草にココナッツが重なった形でアロマティックへと変化します。カルダモンの欠片、カモミールの欠片、パスナップルと共に弾けたエレミの残り香がココナッツと干し草に包まれて香り続けます。ココナッツはパイナップルの香りをそれらしく香らしたりしながらラストのサンダルウッドをリッチに盛り立てる役割です。時間と共にクミンが存在感を増し、少しオリエンタルなサンダルウッドへと変化して馴染んでいきます。(21/05/2018)


■Ivre de Vie (2018年)

スポットライトが彼女を暗く包み、魂の声が響き始める。説明するのも野暮なほど著名なエディットピアフへのオマージュとして生まれた香り。

 

 

トップ:カシス、ブラックベリー、ローズリキュール、グロープスキン
ミドル:ローズ、ゼラニウム、リンデンブロッサム、ビニール
ベース:アンバー、パチョリ、バーチ、ホワイトムスク

もう、最初の1プッシュで、好きと判断したほど個性的でクールな香りとなりました。調香にあるような香料はほとんどその存在がわからないのですが、トップではチョコレートやカカオの香ばしいニュアンスがナッツと微かなフルーツと共に香り、それが次第にアンバーとパチョリに包まれていくのです。トップからミドルの印象にかけては、一番思い出されるのはCreedのLove in Blackです。あの香りも黒をイメージしていたわけですが、こちらにはヴァイオレットがなく、アンバーパチョリへと切り替わっていくのが違いです。また、こちらにはもう少し個性的なアクセントが効果的に使われていますからね。どちらにしても、これぞニッチフレグランスという鏡のような香りとなりました。(21/05/2018)


■Paloma Y Raices (2017年)

1907年生まれで、1900年代前半に活躍したとても有名なメキシコの画家Frida Kahloの生涯をテーマとした香り。彼女は事故や内戦など紆余曲折を経る度、その感情を自画像に込めて描き、生涯で200枚ほどの作品を残したとされています。力強くつながりそうな眉毛が特徴ですよね。

 

 

彼女は多くの自画像の中で、髪に花を飾っています。そして鮮明な色使いで芸術に革命を起こしました。幼い頃から足が悪く、事故の影響で足先を切除することになりましたが、足がなくたって空は飛べる。イマジネーションにはタブーもモラルもないと、生命と愛を鏡に映る自分に込めて描いたのです。

そんな力強さ、生命力を感じる彼女からイメージされたのは、メキシコという大地、髪に飾られた花々、でも女性らしさよりも男勝りなほどのパワーでした。だから、メキシコ原産のチュベローズ、メキシコの特産であるバニラ、トンカビーン、コーヒー、香料として有名な2つのバルサムを組み込んだのです。マメイとはメキシコのフルーツで柿のような味なのだそう。そしてタイトルの意味は「鳩と根」で、平和の象徴である鳩と、大地の象徴である根を組み合わせたものに。調香はLuca Maffei氏の属するAFMのMaurizio Cerizza氏。

 

 

 

ペパーミント、グリーンアコード、マメイ、グレープフルーツ、チュベローズ、イランイラン、コーヒー、タバコ、トンカビーン、トルーバルサム、ペルーバルサム、バニラ

ムエットではバニラとコーヒーが香るオリエンタルでしかなかったのですが、肌に乗せるとそれ以外の香りが微かに存在感を放っていることがわかります。じっくり香るとバニラとコーヒーの隙間から、グリーンの欠片やフルーツ、フローラルが感じられるのです。決して多くはないそれらはトップの一瞬に登場し、すぐにバニラとコーヒーの波にのまれ、姿を消していきます。彼らにとっての彼女の姿は、フェミニンで可愛らしい女性ではなく、やはりオリエンタルでクールな存在なのでしょう。また、微かにタバコが使われているのは、彼女が喫煙者だったからなのでしょう。それにしても、2017年春の展示会で感じた香りの流行はコーヒーとミントだったのですが、こちらもその1つでした。コーヒーがとても印象的に使われていますからね。(17/04/2017)



■Tadzio (2015年)

1912年にドイツ人作家のトーマスマンが発表した著名な小説「ヴェニスの死す」の中の美少年タッジオをタイトルとした香り。ざっくり説明すると、作家である主人公が、保養に訪れたヴェネツィアで上流階級の少年の美しさに見惚れてしまい、のめりこんでいくという内容。事実が元となっており、トーマスマンは1911年に実際にヴェネツィアを旅行し、体験したことを小説としてまとめたそうです。当時のその少年はポーランド貴族のヴワディスワフ・モイジェシュ男爵で、11歳でした。

 

 

トップ:リメット、オレンジ、アイビー、キュウリ
ミドル:ブラックカラント、マリンノート、オレンジブロッサム
ベース:イモーテル、パチョリ、オポポナックス、ムスク

焼けた砂、太陽と海・・・海辺を駆ける美少年・・・という構図が描かれた香りは、マリンノートを使いながら海っぽいテイストを重視したものではありません。マリンノートは感じられるのですが、もっと甘く、微かに苦みをもったイモーテルアブソリュートが主張していて、どちらかというとオリエンタルな要素の方が強くなっていくのです。爽やかさを感じたのはトップの一瞬で、オレンジブロッサムとキュウリがブラックカラントのグリーンでフルーティーな部分を微かに含んで香るのです。でもトップですでにイモーテルアブソリュートは存在感を出しているため、マリンノートの爽快感は長く続きません。カラメルにも感じられるイモーテルアブソリュートの苦みが、焼けた肌を彷彿とさせるのですが、少年の本質を表現したにしてはとても大人っぽく感じられます。でも、きっとそういうことなんでしょうね。妄想を楽しむための1本だと思います。(06/05/2016)


■Quality Of Flesh (2015年)


Francis Baconというアーティストと、若き恋人だったGeorge Dyerというゲイカップルをテーマとした香り。2人はアトリエに暮らしていたナルシストということでナルシスが使われています。Francis Baconと言うとルネサンス期のイギリス人哲学者が思い浮かびますが、テーマとなっているのはダブリン生まれの個性的な画家の方。でも、実は哲学者Francis Baconの家系の方なのだそうです。彼のオフィシャルサイトはこちら。恋人だったGeorge Dyerは、1971年パリのホテルで薬物の過剰摂取で亡くなったそうで、以降Francis Baconは執拗に彼の絵を描き続けたそう。

 

 

トップ:ジュニパーベリー、ローズ、ブラックペッパー
ミドル:ナルシス、パチョリ、スティラックス、コスタス
ベース:レザー、シベット、ベンゾイン、カストリウム

肌に乗せた瞬間、アロマティックなジュニパーがナルシスと共に香ります。でも、それらを包み込んでいるのはバーチタールの燃えたスモーキーな香りで、この香りの軸はタールにあります。スモーキーなタールの中から微かにカストリウムが微かな甘さを伴って香るかな、というもので基本的にはトップ以降タール一色となってしまいます。もう少しバランス良くローズなんか多くても良いのかな、とも思えますが、テーマがテーマですから、香りのバランスというよりも「燃え尽きた2人」という感じがしてこれはこれで楽しいです。タール系のレザーノートがお好きな方向けですね。ローズやスパイスを重ねても楽しいと思います。(05/05/2016)

 


 

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