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Sampleレヴュー

■La Belle Saison (2020年)

Celine Ellenaによる調香でタイトルは美しい季節。暖かな陽ざしと春を告げる花々の香りを合わせたもの。

 

 

トップ:アプリコットフラワー、ピンクペッパー
ミドル:ミモザ、オレンジブロッサム、スズラン
ベース:サンダルウッド、ラブダナム、ムスク

香りは確かにミモザを軸としたハニーフローラルで始まります。キュウリ調のグリーンノートはとても控えめで、ミモザの中のパウダリーなハニーフローラルな香りを、アニスの効いたサニーフローラルへと置き換えて表現したような、甘く柔らかな香り。オレンジブロッサムやスズランは全体を軽やかにするフローラルトーンで、ミモザを邪魔することなく隠れて香り、ベースのラブダナムもオリエンタルさを感じさせるほど強くはありません。基本的には、ミモザのフレグランスと言ってしまいたいほど、春の日が似合う香り。(13/03/2023)


■Figuier Noir (2022年)

Celine Ellenaの調香で、安心感とエレガントさをテーマとしたメンズのフィグの香り。グラースの片田舎に住んでいる彼女にとってフィグはとても身近な植物であり、果実であり、大きなフィグの樹の下で休んでいると、大きな葉に身体を包まれてる感覚になるのだそう。

 

 

トップ:フィグリーフ、カルダモン、クローヴ、ブラックペッパー
ミドル:ブラックフィグ、アイリス、ジャスミン
ベース:シダーウッド、パチョリ、キャンディーフィグ

フィグは葉を強調するとグリーンに、果肉を強調するとフルーティーになりますが、この香りは果肉を強めたフィグです。トップではカルダモンをはじめとしたスパイスがフィグを彩って弾け、通常であればサンダルウッドが多いフィグのベースをシダーウッドにすることでウッディノートを強化しています。サンダルウッドの方が幾分ぼんやりとしていますから。そしてその後に続くラストノートを甘さの強いキャンディーフィグというアコードにすることによって、落としどころを甘苦いフィグにしたのです。つまりは、最後がウッディムスクではなく、最後までフィグが変化した形で肌に残るのです。スパイシーフィグから、フルーティーなフィグへ、そしてグルマンなフィグへと移ろうわけです。男性的に仕立てたそうですが、とてもユニセックスなタイプで、100mlのEdPが150ユーロで発売に。(30/09/2022)


■Quelques Fleurs Jardin Secret (2017年)

久しぶりのフランカーがLuca Maffeiの調香により発売となりました。シークレットガーデンとあるように、テーマとしたのはオリジナルのようなフローラルブーケではなく1,000の花々の咲くガーデンに。

 

 

トップ:ベルガモット、ネロリ、イエローマンダリン
ミドル:マグノリア、ナルシス、センティフォリアローズ、ジャスミン、アイリス、オレンジブロッサム、イランイラン
ベース:サンダルウッド、アンブレット、ホワイトアンバー、ムスク

テーマがテーマなだけに、1つの花に焦点を当てた香りではなく、様々な要素が溶け合っているフローラルとなっています。トップではシトラスが弾けたものの、その中に少しクラシカルなテイストを感じました。何だろう・・・フローラルの中でもあの頃、Quelques Fleursのオリジナルに通じるフローラルの部分、そしてたっぷりのムスクがフローラルノートを優しく包み込んでいるのです。サンダルウッドやアイリスもしっかりと感じられるほどで、華美な要素はあまりありません。あからさまではない、とても落ち着いた品の良さを感じられるサンダルウッドベースのホワイトフローラルといったところ。こちらの香りはEdPがオフィシャルサイトで発売となりましたが、試しているのはExtrait de Parfumになります。ムエットでEdPを香った時はもっとホワイトフローラルが顕著だったような気がします。肌の方がベースのサンダルウッドが出るんでしょうね。(06/04/2017)


■Iris des Champs (2014年)

ゆっくりとした足取りで、新作をリリースしていくHoubigantが2014年に発売したのはアイリスでした。調香は若干29歳というRobertet社若手のホープMathieu Nardinが担当です。ボトルはブルーボックス、ブルーラベルがEdPで、ホワイトのものがパルファムとなっています。

トップ:ベルガモット、ローズ
ミドル:アイリス、ジャスミン、イランイラン、スズラン
ベース:バニラ、サンダルウッド

Pitti Fragranze 12にて公開された新作たちは数え切れないほどありましたが、その中でも抜群に美しいと感じたアイリスです。とにかく、アイリス。その軸を最初から最後まで揺るがすことなく組まれており、アイリスが少しずつ変化していく様子が楽しめるのです。トップでは微かなベルガモットがさっぱりとしたアクセントを、次第に軽やかなアイリスから柔らかなアイリスへと変化し、最後はサンダルウッドと共に穏やかに消えていくのです。とにかく美しい。たっぷりのスズラン系の香料(LilialとHydroxycitronellal)を使用し、薄いヴェールのようなアイリスとして表現した香りで、シンプルながらとても繊細な香りとなっています。強いインパクトはなく、清潔感を感じるパウダリーノートですので、とても日本人に合いそうな雰囲気で、HermesのHirisが霞んでしまうほどアイリスがいきいきと香り、スイートウッディ系のアイリスとなって消えていきます。(28/10/2014)


■Quelques Roses (1997年)

ヴァイオレットに続いて発売されたローズバージョン。こちらはQuelques ViolettesほどQuelques Fleurの流れを受け継いでいません。香りはローズブーケというよりもハニーフルーティーローズへと変化していくのですが、そのフルーティーさがとてもバブル期を象徴しているような香り方をしており、ランコムのトレゾワ、ポエム辺りのイメージに近い香りとなっているのです。ローズらしさはあまり強くはなく、全体としてモダンクラシカルで重厚感のあるこってりブーケなのですが、最後の最後には微かにケルクフルールらしい雰囲気の残り香となって消えていきます。(15/04/2013)


■Quelques Violettes (1996年)

ケルクフルールの流れを受け継ぎながら、そのトップノートにグリーンのヴァイオレットノートをたっぷりと投入したモダンアレンジとなったケルクフルールです。ヴァイオレットノートが薄っすらと引き潮のように引いていくと、その奥からパウダリーなフローラルムスクのケルクフルール調の香りが顔を出します。オリジナルよりももっと軽やかでフレッシュへと変化したバージョンですね。(15/04/2013)


■Demi-Jour (1988年)

黄昏を意味する香りで、Dana社ライセンス時代の商品。

トップ:アルデヒド、ヴァイオレット、ベルガモット
ミドル:アイリス、ジャスミン、ヘリオトロープ、イランイラン、スズラン、ローズ
ベース:サンダルウッド、ムスク、オークモス、シダーウッド

アルデヒドはあまり香らないのですが、バブル期らしい流行をそのまま取り入れたフルーティーフローラルで、アイリスが効いているのが特徴です。基本的にペアやアプリコット、ピーチ系の南国フルーツがヴァイオレットやローズと共に香るのですが、時折ふとアイリスがかおを覗かせます。香りも濃厚ながら軽やかで、軽いフルーティーノートとなって消えていきますので、誰もが当時手にしやすい流行系の香りとして作られたのでしょう。(15/04/2013)


■Orangers En Fleurs (2012年)

 

1840年、ヴィクトリア女王が結婚式でオレンジブロッサムの花冠を身に付けた。顧客であった彼女に捧げられた香り。オレンジブロッサムは豊饒のシンプルでもあり、またそれは永遠の愛の象徴でもあるのです。上記の画像はこの香りが発売された際のプレスの様子なのですが、わかりますか? 彼らはきちんと奥のテーブルにオレンジツリーを、香料用のジャスミンの蔓を、チュベローズを、花瓶にはグリーンとしてオレンジリーフを飾っているのです。しかも、テーブルに転がっているのはミドルノートに使用されているナツメグなんですよ。こういった細かい配慮が出来るのは、モナコの富豪がライセンスを所有したからに他なりません。

トップ:オレンジブロッサムアブソリュート、ローズアブソリュート、エジプシャンジャスミンアブソリュート
ミドル:チュベローズ、オレンジリーフアブソリュート、コモロイランイラン、ナツメグ
ベース:シダーウッド、ムスク

そんなモナコの富豪の力で生まれ変わった新生Houbigantとして発売された最新作。この香りはBaccaratボトルの豪華なパルファムも発売されています。香りは、他社香水のオレンジブロッサムとは一味も二味も違う、とてもクラシカルなテイストを保持したオレンジブロッサムです。本当にオレンジブロッサムアブソリュートを使用しているんですね。アブソリュートのもつパウダリーで化粧品のようなテイストがそのまま生かされており、7、80年代を感じさせる香りとなっています。フレッシュだけどフレッシュなまま終わらない、パウダリーだけどクラシカル過ぎないといった時代に合わせた調整も素敵で、香料の質の良さも光ります。ただ、本気でアブソリュートを使用しているため、ファッションフレグランスに慣れてしまっている方には少しワイルドに感じられてしまうかもしれません。もう少し合成香料を使用して軽やかさを出していると想像していただけに、少し驚かされました。これは、少しセクシーさを感じるムスクとなって終わりますので、夏向きとは言えないのかも。(12/04/2013)


■Duc de Vervins (1985年)

繁栄を極めた当時、Houbigantの香水が作られていたパリ北西部の街、ヴェルヴァンを讃えるために作られたヴェルヴァン公爵というタイトルのメンズの香り。EdTとEdPと発売されているのですが、以下のレヴューはExtreme(EdP)になります。メンズのEdPが発売されるのは嬉しいことですよね。

トップ:ベルガモット、レモン
ミドル:ラベンダー、ローズマリー、クミン、ナツメグ、ゼラニウム
ベース:パチョリ、オークモスアブソリュート

パッとシトラスとスパイスが弾け飛んだと思ったら、静かにアロマティックなフゼアに落ち着きました。典型的過ぎるほど典型的なメンズのフゼア香なのですが、ベースに甘さがないため、トップでの衝撃の後は比較的優等生的な香りが続きます。ムスクがあまり感じられないですし、おそらくCoumarinも使われていないでしょう。何よりもメンズのフゼアに多いDihydromyrcenolも使われてはいません。これはひょっとしたら、天然香料率がかなり高いのかもしれませんよ。時間と共にクミンのクセがオークモスと絡んで苦味ばしったウッディフゼアへと変化して消えていきます。若々しい香りではありませんが、使いこなせたらカッコいい香りです。(12/04/2013)

 

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