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Hirari / ひらり


<香 調> パウダリーウッディムスク
<仕 様> ユニセックス
<容 量> 55ml
<濃 度> EDP

トップ
エボニーウッド
ミドル
アイリス
ラスト
ムスク



2025年発売。2023年にスタートしたCollection L'ORの3つ目の香り。

 

 

もう、自由にやりたいことをしようよ。後悔しないものづくりをしたい。

どうしてもブランドを作り、商品を売り出していくと売れるものづくりが必要不可欠になるわけで、そこからバリエーションを増やしたり、依頼されたものを作ったり増やしたり、小売店、販売店などの意向も汲んだ取り組みが必要になります。でも、それをいつまで続けていくのだろう。そろそろ、自分のために物作りしたって良いのではないかと。

そうした想いからスタートしたコレクションロー(ゴールド)。インスピレーションは様々な形で刻まれるものだけど、彼女がハッとした瞬間のその感動、感情、興奮などのEmotionを心の中のゴールドとして表現したコレクション。

 

黒檀とムスクの香りを幾重にも重ねて作られた夜色に、
イリスパリダの光の粒を散りばめ
ました。木の香りは優雅なリズムを作り、
ムスキーノートは甘い旋律を奏で、
気高く繊細なイリスが果てしないダンスを踊ります。

ひらりは、火星に咲く花にインスピレーションを得た、
夢見る人のための香りです。

 

 

黒檀というのはエボニーウッド、ブラックウッドと呼ばれる心材が黒色の樹木です。アフリカなどでは上記のように工芸品として広く利用されている樹木ですが、彼女はこのエボニーウッドのもつ黒色をムスクで包み込み、アイリスを光の粒子として散りばめたのです。

ボトルはおそらく黒色に塗られた後に、重曹水を重ね塗りして電流を流すLichtenberg Figuresのようなスタイルで製造されており、チリチリと電流が稲妻のように刻まれていきます。それは1つとして同じデザインは生まれないスタイル。

香りは、ヴァイオレット調のアイリスで幕開け。そこからヴァイオレットアイリスのウッディムスクへと静かに切り替わっていきます。あれ? ノンシトラスかな? と思うほどシトラスを感じないトップノートで、その代わりにヴァイオレットがアイリスへとグラデーションのようにスリップしていき、ウッディムスクの中に溶け込んでいくのです。アイリスは合成香料も使用しているはずですが、きちんとイリスパリーダが使用されており、合成香料でもかなり高価な特徴香がリッチに広がります。アイリスに限らず、ヴァイオレットもそうですが、原色の花のようにパワフルなイメージはなく、どちらかというと控えめでひっそりと香る花々が多い印象があります。それを光の粒子として使用したのは彼女らしさであり、僕だったらおそらく短絡的にキラキラとしたアルデヒドを合わせてしまうはず。そうした華やかさ、動きを封じて寡黙な黒に落とし込んだ香り。ウッディムスクの中にはアンバーウッディノートのIso E Superがあったり、スズラン調の合成香料が軽やかさを出していたり、ローズ調のフローラルノートがあちこちに隠されていますが、全てがアイリスのウッディムスクに包まれています。

このコレクションが一番彼女らしいというか、本質的な部分に合っている(沿っている)ような気がします。

(24/03/2025)

 

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