2015年発売の最初の香りのうちの1つです。もともと、奴隷や囚人に使用されていたタトゥー。彼自身も結構なタトゥーを入れているのですが、タトゥーが人となりを語ると言います。19世紀のフランス人たちBagnardsは自身の身体に本当の身分証明書を刻み込んだと言います。彼にとっても大切な自己表現であるタトゥーを、インクとレザーで表現したもの。調香はAnne-Sophie Behaghelが担当です。

皮膚というのは綺麗だけど空白ではない、と皮膚が語りだすようにタトゥーの入った皮膚の香りを表現したわけですが、調香の中で気になったアクアノートはほんのわずかなアクセントに過ぎず、香りの軸はカストリウムにあります。どっしりとした使い方なのではなく、カストリウムのアニマリックなレザー感を、スパイスとサフランで包み込み、少し酸味のあるレザーとしてまとめられています。スエーデラルは香料として頻繁に使用されているレザーノートで、とてもリアルなスエードの香りの香料なのですが、そこを強調したような調香ではなく、あまりスモーキーではない柔らかな肌を感じさせるレザームスクとなっているのです。女性でも使えるユニセックスな香りですが、これはどちらかというと男性から香った方がセクシーなのではないでしょうか。

来年お会いしたら、彼のタトゥーに込められた意味をお聞きしてみないと。バラや猫が描かれているんです。

(14/10/2015)

追記。香りは豊かなシトラスで始まるフレッシュなカストリウムで、ゆっくりとシトラスの余韻をひきずりながらレザームスクへと変化していきます。それと、彼にタトゥーについてお聞きしてきました。猫は彼自身が飼っている猫であり、バラはベジタリアンになった記念に肌に刻み込んだものなのだそう。肉は我が身を亡ぼすとも刻まれていましたよ。タトゥーは彼の過去を知るツールであり、楽しい会話の糸口となりました。

(31/03/2017)