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Portuguese Man O’ War / カツオノエボシ


<香 調> アロマティックフゼアムスク
<仕 様> ユニセックス
<容 量> 60ml
<濃 度> Extrait de Parfum (20%)

トップ
ジンジャー、イモーテル、サフラン
ミドル
カリビアンガンパウダー、サンバックジャスミン、ゼラニウム
ラスト
シーウィード、サンダルウッド、トンカビーン



2025年10月30日発売。カツオノエボシがテーマとなりました。どうしてカツオノエボシがポルトガルの軍艦なのか。それは、ポルトガルの帆船に似ているからなのだそう。風を孕んだ帆にも見えますよね。

 

 

今回初めてAntoine Lieの調香となりました。彼がLuca MaffeiのいるAFMに入った際、Victorは彼に依頼したのだそう。Antoine Lieの初期の香りで有名なのがEtat Libre d'OrangeのSecretions Magnifiquesで、あの当時、衝撃的な遊び心の香りでした。彼も調香していて楽しかったに違いない。でも、彼はその一方でArmani Codeのような繊細な香りも手がけています。つまり、能力がある人が遊んだということ。

Vicorは彼にまた遊んでもらったわけです。最初のテーマは、香りで痛みを感じることは可能かどうかというテーマだったそうですが、いくつ試しても痛みにはつながらず、香りでは難しいと判明。そこでテーマを刺すような香りにしたことからカツオノエボシに着地したということのようです。


 

Antoine Lieが目指したのは、ジンジャーとガンパウダーのいわば電気信号のような香り。チリチリとしたスパイシーさにメタリックなトーンを合わせたのです。それでもスプレーした瞬間にチリチリと感じられるほどスパイシーではなく、ジンジャーらしさを感じられるほどでもなく、逆に滑らかなサフランに包まれて広がります。マリンと言えば確かにマリンだし、ボトルから香る匂いは間違いなくマリンなのだけれど、肌ではそこまでマリンが強くはなく、しばらくしてジンジャーが香り、追いかけるようにサロメチールに代表される湿布香が追いかけます。おそらくはその部分はガンパウダーアコードでしょう。彼はそのガンパウダーアコードにAldambreという溶けた鉄のようなホットアイロンムスクを使用していたようで、その香りがミドル以降をけん引して肌に残ります。フゼアとは言い切れないフゼアですが、女性的ではないし、女性に好まれるようなタイプの香りでもないので、香調(カテゴリ)としてはフゼアにしておきました。

とてもユニークなまとまりで、個性的ではあるのですが、他に似た系統がないのかというとそうでもなくて、HermesのH24 EdPがAldambreをウッディにまとめた同系統でした。ただ、こちらの香りの方がもっとニッチなタイプで、言わば少しクセつよのH24 EdP系といったところ。それでも使いにくい個性ではない香りにまとめたというのがAntoine Lieです。

これは、香りももちろんだけれど、制作過程が楽しかっただろうなぁ・・・。

(04/11/2025)

 

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