2022年発売。Sultan Pashaが調香を手がけたスカラベ。彼はこのためにエジプト旅行をして昔のレシピでキフィを作るセミナーにも参加してきたのだそう。

アルデヒドとシベット・・・という意表を突く組み合わせに、躊躇しながら肌にのせると、安心感すら漂うクラシカルなフルーティーフロリエンタルが広がりました。フローラルノートはロータスというよりジャスミンで、多くの香料が使われているベースノートの比率は高くはなく、Benzyl acetateがたっぷりそれらを包み込んで香るのです。ワインとプラムのフルーティーさ、樹脂類のオリエンタルノート、それらをジャスミンが包み込んで香るのです。全体的にとても彼らしいテイストですが、彼の作るアッターほどのパワーはなく、少し控え目に感じられる、安心できる濃度となりました。ちょっと彼のアッターオイルファンには軽やかすぎるかな?というところですが、そこはご安心を。Vctorは来年以降にアッターオイルを発売予定です。もっと好き嫌いが分かれる香りになるかと思っていたのですが、案外広く好まれそうな香りで、何よりも安心したのはシベットが強くはないことです。シベットはトップではなくラストノートで効いてきますので、最後まで香りをご確認下さい。何よりも、今日の香りは何かと聞かれて、フンコロガシだと自信をもって説明できる強者こそ、是非お使いを!! 抜群な話のネタになるはずです。

(15/07/2022)

フルボトルとサンプルでは印象が変わることがあるので、フルボトルからの追記です。スプレーした瞬間に広がったのは、鮮やかなアルデヒドでした。フルーツをアクセントにして広がるフローラルアルデヒドはクラシカルそのもの。でもサンプルの時ほどジャスミン調のフローラルトーンが強くはなく、ずっとまとまりの良い香りに感じられました。アルデヒドが少し強すぎる感じもしますが、10分ほどで抜けていきますので、余韻までは影響せず。トップが一段落するとアニマリックなフロリエンタルへと切り替わっていくのですが、オリエンタルベースの中のアニマリックなトーンがGuerlainのヴィンテージのVol de Nuitを思い起こさせ、でもGuerlainより強めに力強く広がっていきます。アニマリックなシベットを強めに使うのはZoologistらしいところで、売れ筋を狙わないスタイルが確立しています。でも、そうしたテイストは好きな方にはぴったりフィットするものですよね。強すぎるアニマルノートはあまり好きではありませんが、この香りはとても好きです。来年には高濃度のAttar Oilが発売されますので、ファンにはたまらないのではないでしょうか。

(28/12/2022)