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調香師になりたいのですが、どうしたら良いのですか?

という質問を頂く機会が増えてきました。これは香水を好む人たちが増えてきたことに他ならず、とても嬉しいことです。調香師という仕事にはいろいろな種類があり、まずは芳香製品と食品フレーバーに分かれます。芳香製品の中でもトイレタリーやファブリックが専門の調香師もいれば、香水を専門としている方もいらっしゃいます。でも、そこはとてもとても狭き門なのです。また、調香師に重要なのは嗅覚が良いことよりもまず、センスがあること。そして、調香師とは職人の世界なのですから、悲しいかな近道はないのです・・・。
地味に続く下積みの日々を重ね続けてようやく香水が作れるようになるわけですから、そこにたどり着くにはそれ相応の投資(お金)と時間が必要となります。

これから目指したいという高校生、若い世代の皆さまは特に英語をしっかりと学び、大学で薬学を履修してください。間違いなくそれが後にとても役立ちます。


・・・これが1番確実な方法です。海外でも特に、GrasseやParisには専門の調香スクールが存在しますので、そちらに入学されることをおススメします。ただ、この場合問題となるのは、入学に際して英語と日常会話程度のフランス語が必須だということ。

3〜4年のスクールに入学して知識を得る
 → 香料会社に就職する
 → アシスタント(ブレンダー)として10年下積み
 → あまりメジャーではないブランドを任され、ヒット作を生み出すといろいろなブランドを手がけるようになる
(大学卒業後、ISIPCAに入学したとして調香師として商品を手がけられるのは早くて30代です。現在、人気調香師として活躍している人たちは40、50代が多いですよ。)

才能に恵まれた方であれば、スクールを卒業して数年でヒット作を生み出し、人気を得る場合もあるでしょう。(Yann Vasnierさんタイプ)また、近年ではフランスでなくともインドにもSymrise社がスクールを設立していますから、そちらであれば英語だけでなんとかなりそうですよ。下記に大きなスクールを記載していますが、それ以外にも小さな香料会社やGrasseのスクールもありますので、幅広く調べてみると良いでしょう。

ISIPCA (France - Versailles) ※入学には大学で化学を履修していることが前提ですが、世界的に一番メジャーなスクールです

Givaudan Perfumery School (France - Paris)
こちらの記事がとても参考になると思います。応募総数3,000名、うち入学許可は3名。卒業時にはさらに減る・・・というのが現実のようです。いかに狭き門なのかがわかりますよね。

MANE School of Perfumery (France - Paris)
Ecole Superieure du Parfum (France - Paris) *4年かけてしっかりと学べる学校です
Symrise Perfumers’ Academy (India)
Symrise Perfumers’ Academy (Germany)

・ちょっと体験してみたい・・・という方にはProdarom社の行っているサマースクールがおススメ。
Grasse Institute of Perfumery
7月と8月に開催されているセミナーで、セッション1と2がそれぞれ1週間ずつあります。もちろん、これを受けただけで調香師になれるわけではありませんが、調香師の仕事を疑似体験したり、垣間見ることは出来るでしょうし、しっかりと学べば基礎は学べるのではないでしょうか。どちらかというと、調香師というよりも、短期間で基礎知識を身に付けたいライターの方とか、少し興味がある方たちが参加されているようです。こちらは、1年で終了するプログラムもありますが、1年だけではちょっと短すぎる気が・・・。



海外に行く余裕がない、英語が出来ないという方は、仕事の幅がグッと狭くなりますが国内にも日本フレグランス&フレーバー学院を初めとしたスクールがいくつかあります。

その場合に重要視したいのは、どのような方が教えて下さっているのか、ということですよね。食品フレーバーの調香を目指される方は上記の学院が力を入れていますので、一番なのではないかと思いますが、ファブリックや化粧香料の場合は他にもいくつかあります。卒業証書と共に就職までつながるスクールもありますし、卒業はしたもののなかなか就職までは出来ないスクールもあるでしょう。でも、一番大切なことはやはり、どのような方が講師を勤めていらっしゃるのか、ということだと思います。良い講師、スクールとは、

1、(現役もしくは引退した)ファブリックや化粧品ではなく、フレグランス(香水)の調香を手がけていた調香師の方であること
2、クラシカルな名香だけではなく、日々進歩、進化する新しい香水、香料や技術に明るい方であること
3、幅広く合成香料を学べるスクールであること

この3点です。フレーバーの技術は学べませんが、新間美也さんの開催されていますアトリエアロマ&パルファンがちょっと体験して遊んでみたいという方から、本格的にパリのスクールへ入学する方まで幅広く展開されていますから、良いのではないかと思います。(※実際に新間さんが直接の講師ではないようですが、監修だけでも安心だと思います。)



海外には言葉の壁が存在しますし、国内のスクールも場所やお金、時間、内容などを鑑みますと、独学でなんとかならないのかと思えてきますよね。でも、残念なことにお金と時間をかけずに学ぶことは不可能なのです。何故なら、香料自体にお金がかかるわけですし、経験しないことには履修出来ないからなのです。それでも不可能なことではありません。Tauer PerfumeのAndy氏にしても、古くはCotyのFrancois Coty氏にしろ、独学なんですよ。

近道はないと最初に記載させて頂いたのですが、一番確実なのは地道に学ぶこと、これに尽きます。そう、とにかく学ぶことに時間を割きましょう。1ヶ月に1日スクールに通われる方と、週5×8時間学んでいる方との差はどれくらいになると思いますか? 海外の本格的なスクールでは予習復習合わせると年に2,000時間は学んでいることになるわけです。

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独学であっても、やはりこれが理想のスタイルです。 なかなか個人で合成香料を(本格的に)学ぶことは難しい物なのですが、proficeのセミナーでは、幅広い合成香料を、それを使用した模倣セミナーを元にして学んでいけるスタイルをとっていますので、Eタイプの調合香料つくりやFタイプの模倣セミナー等に多く参加して香水の成り立ちや香料の使い方を学びながら、Dタイプで1つ1つの香料を実際に使用して(学んで)いくことで深い知識を身に付けることが可能です。模倣することは倣う(ならう)ということに他ならず、組み合わせや香料の使い方、配合、歴史等学ぶべきことがとてもたくさんあります。卒業も証書もありませんが、世界中の香水、それもヴィンテージや最新作を香れるのはprofice調香体験セミナーの大きな特徴だと思います。

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調香スクールに通われ、合成香料を学んでいる方に多いのがこのタイプです。市場にある香水たち、国内での流通があるものもないものも別け隔てなく少なくとも1,000種、多ければ3,000種くらいの調香は記憶しておきましょう。美術館に通わない美大生なんていませんし、クラシックを聞かない音大生だっていません。食べ歩きをしない料理人だっていないでしょうし、映画を見ない役者だっていないでしょう。プロになるにはとにかくたくさん香り、自己分析して記憶していくことが、地味ですが大切なことなのです。その際はきちんとメモを取り、香りの印象を自身の言葉でまとめていくことがとても大切なことで、それが訓練にもつながります。

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天然香料だけでは市販されている香水の多くが作れないことを良くご存知の方たちだと思います。 何を作っても似たような香りになってしまうし、何よりもバリエーションが広がりません。現在、海外ではこのタイプの調香師の皆さんが増えているのです。いわゆるインディーズ作家のような方々です。センスがあればSharini Parfum NaturelsのNicolai氏のようになれることでしょう。ただし、彼のようになるにはやはり、時間とお金をかけて世界中の天然香料を熟知しなくてはなりません。農家に連絡を取り、実際に蒸留を見て商品の良し悪しを判断できるプロフェッショナルな感性が必要ですし、当然ながら植物研究も大切な事項となります。

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混ぜただけのブレンド精油を香水とは呼びません。ブレンダーと調香師の違いとは何かを考えていくと漠然と理解ができるかと思うのですが、香水の仕組みを知らずして香水は作れませんよね。花の中にある成分を、樹木やスパイスの中に存在する成分たちを知らずして、精油の組み合わせの良し悪しを学んでいくことはとても大変なことです。合成香料を知ること、たくさんの香水を知るということはすなわち、香料を使うための感覚を磨く作業であり、何故その香料を使用したのか理由を説明できるということ。(理由をもって使っているということ)
でも、この段階ならば比較的手にしやすい天然香料だけで学ぶことが出来ますから、まずは押さえておきたい取り掛かり部分です。その後にスクールへ通ったり、セミナーに参加しながら幅を広げていけば良いわけですから。

どのような形であれ、天然香料だけではなく、合成香料についても学ぶことをおススメします。合成香料を熟知した上で天然香料を使うと、合成香料を知らない人よりも遥かに使い方が上手になるでしょう。それは精油中の成分を熟知しているからに他なりません。(30/07/2012)

 

 

合成香料を熟知した上で天然香料を扱うと何が良いのか。上記にも記載しましたように、天然香料の使い方が上達するのはもちろんですが、現実としてはまた別の理由があります。

proficeでもレヴューをしているのですが、とある国のとある小さなパフューマリーの実話です。

そのブランドは100%天然香料を使用しているという点を大きく掲げた、今の時代を象徴するようなブランドです。調香を行っている方は調香スクールで合成香料を学んだことのない天然香料のみをアロマセラピストとして学んだ方でした。そちらの商品の成分表を見たところ、なんと天然には存在しない成分が表記されていたのです。

その方は、とてもしっかりとしているので、天然香料に含まれているアレルギー物質を表記するため、きちんと成分分析した上でパッケージに表記していたのです。市販品の香水には当然のことなのですが、インディーズというか手作りの小さなパフューマリーは、こうした成分分析を行わないところが多いのが実情です。成分分析を依頼するのはとてもコストがかかることですからね。そこで考えられるのは、その調香師が購入した天然香料が実は調合香料だったという可能性。もちろん混ぜ物があった可能性もあります。しかし、天然香料はとても高価なため、偽和した製品が多く出回っているのでしょう。偽物を手にしていても気づかないのは何故か。それは成分分析を見ても合成香料を知らないためにその意味が判らないのです。

その香水に使用されているキーノートの香料は、その合成香料を使用して組み立てることが多いことを知っていた僕は、「きっとあなたが購入した○○の天然香料が調合香料だったのだろう・・・」と伝えました。その方は、別の業者から香料を購入することにすると話してくれたのですが、問題はまた別にもあったのです。別の香水も成分分析したところ、なんとまた、そちらにも天然には存在しない成分が見つかったのです。

合成香料が悪いわけではありません。でも、知らず知らずのうちに天然香料だと偽って販売してしまっているのは大きな問題なのではないでしょうか? (17/05/2013)






調香師になるのはとても時間がかかって大変なのだと記載してきましたが、そもそも「調香師」という職業に資格はありません。勝手に名乗って構わない職業ですから技術の高さもバラバラで、ちょっとこれは・・・という微妙な製品が多いのも事実です。最初にも書きましたが、職人の道に近道はありません。海外の調香スクールに本格的に通えば3、4年で履修できますが、そこで初めてスタートラインに立てる、というだけのことで、そこから10年のアシスタントを経てようやくメインとして香水を手がけられるようになるのです。

なんだかとても敷居が高くて難しい調香師の世界ですよね。でも、こんなに大変な道のりだからこそ、もっと簡単にそれらしい体験ができるよう、proficeではセミナーを開催しているのです。楽しく遊ぶ方には楽しく遊ぶ空間を、でももっと本気で学びたいという方には海外のスクールにも負けない本格的な内容をご用意していますので、

調香ってどんなことをするの?
簡単に手作りをしてみたい!!
ちょっと疑似体験をしてみたい!!

という方はどうぞお気軽にご参加してみてください。合成香料を学んでみたい方も少しずつ楽しく使いながら覚えていくのが1番ですから。

(30/07/2012)


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