*Log in
 *Log out
 *My account

| Top | Books | Topics | PMF | Q & A | Making | Essential | Perfumers |  PRESS |
  

■The Scent of Excellence

 

 

トルコの旅を終え、様々なイベントが全て重なってしまっているという恐ろしく警備の厳しいミラノの空港を、それこそ入国審査に90分という異常さを体験してのミラノ入りでした。ちょっとしたハプニングでドラマのような展開を迎えたミラノの空港でしたが、疲れ果てたというのが正直なところ。ミラノの中央駅に近いバールでエスプレッソを飲んで一息ついたら、後ろにいた客から「初めてのミラノじゃないでしょ?」と声をかけられ、「観光客じゃないよね」と当てられ、そこでもうすでに空港のアレコレを忘れて一気に人懐っこいイタリア人モードに引き込まれたのでした。

 

 

上の画像のバールで朝食を取り、そこから向かった会場は、ミラノの中央駅からの徒歩圏内のThe Mallという施設。ここは万博でも使用された場所なのですが、ここ数年はこちらで世界一のフレグランス展示会Esxenceが開催されています。どんどんと関係者が集まる、もうその時点で興奮が止まりません。

 

 

3度目となるイタリア語の通訳さんと一息つき、今年の動向、今日の予定、策を練る。ミラノのお店はどこもこうして生花が賑やかに彩られているのが特徴で、中にはトイレにだって生花がたっぷり飾ってあったりします。日本は花が高すぎるよ・・・。

 

 

展示会場の一番良いスペース、入ってすぐを陣取っていたのは、昨年に引き続きステファンでした。会場に入る前、一番先に外で会ったのがステファンだったのですが、彼は「今年は3種新作があるから楽しみにしてて」と。そう、Stephane Humbert Lucas 777として、3種の香りが公開されたのです。オリエンタルな香りが多かったこのラインの中では珍しい、本当にステファンが作ったの? と疑ったほど美しいホワイトフローラルブーケだったWish Come TrueとPanthea、そしてハロッズの限定品として作られたLufu。LufuはLoveの古い言い方なのだそう。発音は通じるものがありますよね。彼は紙製のバラの花を飾り、バラを香るように香るを試すという、これまた彼らしいクールなスティルでした。

 

 

 

昨年、ブラックシリーズの3種をリリースし、その個性に驚かされたCarner Barcelonaは今年、新たにホワイトキャップの3種を公開に。サマーフローラルと題されたBesos、Latin Lover、Sweet Williamを含め、彼らの全商品をこの後レヴューしていく予定です。

 

 

今まで3種のオーデコロン、3種のシングルフローラルコロンを発売してきたInstitut Tres Bienは、今回初めてのパルファムを公開に。ボトルも小さなサイズとなり、サンプルもサシェから使いやすいチューブへと変化しました。

 

 

今回は所々画像の質が荒くなってしまっているのが残念なのですが、記念撮影もたくさんしてきましたよ。Savvana's Heartを公開したOlibereでは、香りを手がけたLuca Maffeiさんと一緒に撮影を。今一番の売れっ子な彼は、今回の展示会で公開された新作の中で彼が手がけたものは12種あったそう。凄すぎます。

 

 

Roshasの孫娘さんによるブランド、Coolifeはチャクラをテーマとした香りを発売しているのですが、今回6つ目と7つ目が上記のLucaによって手がけられ、シリーズがコンプリート。6つ目の香りがアイリスをテーマとしたもので、会場内でもひときわ目立つ良い香りでした。このシリーズが完結した以上、次はどうなるの? とお聞きしたのですが、それはまだわからないとのこと。僕はYann Vasnier氏の4番とLucaの6番がお気に入り。

 

 

ビートルズがホテルのシャワールームで撮影したという写真をもとに、シャワールームのその時の香りをイメージして作られた新作Yesterdayを公開したRoom 1015。Michaelに、その新作のことではなく腕にあるタトゥーの意味を質問をしたのは僕だけだったことでしょう。だってバラと猫がいるんだもん、聞きたくなるよね、と言ったら、腕まくりをしてその理由を答えてくれました。いつだって魅力的な人の周りには人が集まります。彼のタトゥーは彼の過去を、彼の人柄を知る大切なツール。

 

 

今年の展示会場では、100%天然香料というブランドが3つ出展していました。ともに新しいブランドなのですが、こちらはLes Indemodablesというブランド。4つの香りが公開されたのですが、こちらのブランドの凄いところは、自社工場で他にはない精油を蒸留しているところ。彼らの使用しているミモザアブソリュートは枝葉を排除した花だけから得られたアブソリュートなのですが、そうした香料が作れるのは大手ではできないこと。オスマンサスアブソリュートが美しかったCuir de Chineと共に4種を後日レヴューします。

 

 

Jovoyのブースにあったのは昨年12月にスタートしたフランスのParfumeurs du Monde。Eric Gigodotさんが話中で撮影時にはいらっしゃいませんでしたが、この後話をすることが出来ました。5組の調香師が1つずつ担当した天然香料100%の5つの香りでデビューです。こちらはすでにレヴュー済みなのですが、世界に先駆けてレヴューを発信したのが日本だったということに相当驚かれており、proficeのことを、僕のことをとても良く覚えていてくださいました。

 

 

皆さま一流の、様々な方面でご活躍の調香師の皆さまでしたが、Michel Roudnitskaさん(左)がいらしたのにはびっくり。普段は南仏の山奥で自然保護活動に力を入れており、こうした展示会やイベントには消極的な方なのです。レジェンドですが、もうすでに息子さんがご活躍しています。

 

 

こちらは、Philly & Phillという2009年に創設されたミュンヘン発のブランド。香水は今までもあったのですが、ボトルリニューアルをして再始動となりました。フィリーさんとフィルさんという男性2人のコンビなのですが、フィルさんとパチリ。後日レヴュー予定です。

 

 

昨年、Nightingaleを発売したZoologistのVictorとは、お互いに来場者として初対面。展示会が初体験だった彼はさぞ興奮していたことでしょう。でも、すでに業界では有名人ですから、あっちこっちから声がかかり、次の調香を担当したいという声もたくさんあったそう。彼は、ヨーロッパ流の頬を合わせる挨拶に不慣れで戸惑ってしまったというあたりに人柄の良さを感じられます。彼には、僕が次に担当する香りのサンプルを渡したり、次の香りのサンプルをいただいたり、楽しい時間となりました。信頼って、100通のメールより1度の会うですよ。僕らは両方なんだからなおさら。

 

 

画家ラファエロの生涯をテーマとした最新作をプロトタイプで公開したのはPantheon Roma。美しいブルーをテーマとした香りRenaissance blueがこれから公開となるのですが、まだ資料などの準備が出来ていないとのことで、サンプルはあるのですがレヴューはもう少し後に。青く染められたカシミアは、インディゴのような植物から得られたエッセンスが使用されています。それを香料としても使用し、大地からのエッセンスで空を描いた(表現した)というユニークな発想の最新作です。

今回、初めて一般開放日に日本からの参加がありました。初日は4名、二日目は3名。現地集合、現地解散というそれぞれの弾丸トラベルだったのですが、展示会はとても楽しまれたようです。とにかく会場内は広くたくさんのブランドがあり、限られた時間内で効率良く見て回るには策が必要です。ということで、選りすぐりのブースをご案内。その中で、このブランドを担当しているLeone君に代わりブランドと商品の説明をしていたら、彼女たちに説明している様子を写真に撮られ、僕らが雇った社員だと写真が送られてきました。こうしたやり取りも展示会が楽しい理由の1つです。本当にお茶目なオーナーさんが多いですから。

 

 

この春の新作はなかったものの、壁一面に生花を配置した、豪華な展示ブースを展開したNeela Vermeire Creations。彼女は常に接客で大忙しでしたが、やはりそれも彼女の人柄がそうさせるもの。閑散としているブースはやっぱりいつも閑散としてしまっているのですから。

 

 

まさか、次の新作たちが公開されるとは思っていなかったJul et Madのお二人のブース。すでに3種共にレヴューをアップしましたが、Stephanie Bakoucheさんが手がけた個性的でクールな2つと、Luca Maffei氏によるフェミニンな1つ。お二人とも会場にいましたので、こちらのブースでもプレイベントがありました。鏡面の台に飾るという発想が斬新で、反射する明るく美しいボトルには、ラベルが1つもなくただただ、シンプルな美しさが際立ちます。

 

 

昨年、カターニアにあるお店を訪れたAntonio Alessandriaでは、おそらくこの次の秋の展示会で公開となる最新作のプレヴューが。次回はこっそりと、ですが彼のルーツをテーマとしたアイリスとパチョリのコンビネーションに。ムエットの印象だとAnnick GoutalのMon Parfum Cheri風だね、と彼に伝えると、その通りとにっこり。僕の大好きな香りのコンビーネーションで期待が高まります。

 

 

アメリカから参加していたのはNomenclature。2015年に4つの香りでデビューした彼らのテーマは最新の合成香料を使用することにありました。合成香料を楽しもうというのはここ最近の新たな流れなのですが、調香をする者としてはだから楽しいと思ってしまいます。僕らにとって、香り、成分は英語でもイタリア語でもない共通の言語なのです。昨年はヴァイオレットリーフを軸とした香りを発売しましたが、今年はBertrand Duchaufour氏による調香で、Givaudan社のGlycolierralというグリーン香料を軸とした、ミントとシソを使ったアロマティックグリーンを公開に。タイトルのShi-soには思想という日本語もキーワードとして綴られています。最新作を含めた全6種、後日レヴューしていく予定です。

 

 

展示会初日、真っ赤なアディダスのジャージで登場して会場を沸かせたVeroさん。翌日はブラックレザーでカッコよく決めて登場してまた沸かせてくれました。彼女はゆっくりと新作をリリースしていくスタイルですが、この春はヘビをモチーフとしたレザータバコ系の香りを限定品としてリリースです。とてもクールな香りでしたよ。何よりも彼女のファンキーさにファンは増すばかり。

 

 

ドバイからの参加は毎年増えているようにも思うのですが、頭1つ出ているのはTola。彼の最新作はhowとかmoodを意味するKaifというグリーン系アイリスの香りと、Four Seasons Hotelの限定品でした。

 

 

Masuqe Milanoからは2つの新作が公開となりました。1つはインドをテーマとしたマンダラ。それを手がけたスペインのChristian Carbonnel氏、昨年のPittiでお会いした彼もまた友人で、その後はいろいろとメッセージでやり取りを。もう1つはBruno Jovanovic氏が手がけたTimes SquareというNYの香り。どちらが好きかと聞かれた時の僕の答えがマニア過ぎると笑われてしまいました。マンダラはフランキンセンスが軸のため、わかりやすくて間違いなく好き。でも、ストロベリーにリップやアスファルト、溶けたゴムなどが香るTimes Squareの方が、使う度に妄想が広がって楽しそうだから、買うとしたらTimes Squareだと答えたのです。

 

 

二日目の展示会終了後には、近くにある10 Corso ComoにてMasuqe Milanoの新作発表シャンパンパーティーが開催されました。関係者が続々と集まり、とても賑やかな夜に。こうしたパーティーに、他のブランドのオーナーさんや担当者さんたちが集まるというのが海外の特徴で、日本がいかに閉鎖的かがわかります。ブランドやオーナー同士中、流通業者間でも仲が良いのが海外。ライバル視して百貨店の棚を取り合うのが国内の代理店。顧客は同じなのに・・・。こうした魅力的なオーナーさんたちの商品がまだ日本発売されていないことが残念でなりません。

(11/04/2017)

 

 

<profice fragrance magazine Topに戻る>

profice〜香水のポータルサイト〜