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土っぽい、アジアの雑貨屋なんかを髣髴させる香り

ベチバーの香りというと、ゲランだったり、クリード、ランバン辺りが有名でしょうか。精油をご存知でない方は、グリーン系の爽快な香りだと感じているかもしれません。でも、実は「根」なんです。詳しく説明すると、熱帯から亜熱帯にかけて生育するイネ科の植物で、ススキに似ています。この植物の縮れた根の部分を水蒸気蒸留して得られるのが精油で、葉には精油分をほとんど含んでいません。よって、ベチバーの香りは土っぽい重いウッディ調なのです。

古代インドでは粉末を薫香にしていたり、ジャワ島ではこの根でうちわや敷物を編んだり、すだれを作っています。そこに水をかけて涼風を楽しむそうなのですが、その水分が蒸発する際に風と一緒に香りも漂うんです。ステキ過ぎますよね。ずっとこのように使われていたために、根から精油を抽出するという行為は現代になってからだそうです。中世のレシピには使われていないということなのですね。

ベチバーは暖かい気候が好きなのですが、わりと強靭なようで、風にも寒さにも耐えることから、広く栽培されています。有名なのはジャワ島とハイチとインドです。一番高価だと言われているものはレユニオン産だそうです。2年ほど生育したものを彫り上げて洗って乾燥し、貯蔵することで精油分が増すのだそうです。さらに精油抽出後もオイルを半年熟成させることで香りが落ち着くというのだから、手間のかかるこどものようです。

香りは保留性(香りの持続の長さ)に優れていることと、力強いウッディさがあるために、ベースノートに良く使われます。上の画像のような根を細かく切って、ポプリに混ぜるというのもありなようです。



1、ベチバーの精油
精油自体は香ると「これこれ、これだよー!!と言いたくなるくらいに強い独特のクセがあります。やはり敷物のイメージで、バリ島とか行くと雑貨にもありそうな香りです。これで敷物があったら寝そべっていたいくらいに落ち着く香りです。

2、Palazzo Vecchioのフレッシュベチバー
これはグリーン系のベチバーで、トップにシトラス、ミドルにフローラルがあり、とてもフレッシュです。グリーン系なのでユニセックスで使える香り。

3、Palazzo Vecchioのジャワベチバー
上に比べてこちらの方が少し精油っぽさを感じます。同様にシトラスとフローラルはあるのですが、こちらはメンズ寄りのユニセックスでウッディも香ります。

4、クリードのオリジナルベチバー
シトラスにグリーンという典型的なグリーン系のベチバーですね。精油っぽさは強くありません。ユニセックスで使えるライトな香りです。

5、クリードのベチバー
上のものに比べると、こちらの方が少し精油っぽさがあるかも。オリジナルの中のシトラスを抜いた感じです。

6、アザロのピュアベチバー
これはグリーンでフレッシュなベチバーなのですが、精油っぽさは皆無です・・・。グリーンな香りのイメージとしての「ベチバー」というタイトルなのかなぁ?

7、パティカのフジェーレ(Fougere)
これは思いっきり製油が香ります。ベチバーだけではなく、パチョリやスパイスやウッディも香ります。ベチバーの精油が8割香るというくらいに精油っぽさがあります。ベチバー以外の香りが、ベチバーの強いクセを和らげていますが、別のクセが出ているので独特ですw

8、セルジュルタンスのベチバーオリエンタル
ベチバーではあるのですが、他の香りに少し埋もれてしまっています。ルタンスの場合はタイトルというか、精油そのものの香りでは面白みが薄くなってしまうので、ベチバーを使用した「捻りのある香り」として、これはこれでステキです。オリエンタルウッディなベチバーですね。

9、ロジェ&ガレのベチバー
グリーンなのですが、少しくぐもった香りがします。このくぐもった感じが精油に共通しているんですよ。くぐもつた感じが出ていて、且つフレッシュな香りと組み合わされているので、ベチバーの精油を使いやすくまとめた、という印象です。

10、コントワール・シュド・パシフィックのベチバー・ハイチ
確かに精油っぽさが香ります。ベチバーの中にフローラルな部分も見え隠れはしますが、ベチバーを核とした香りで、メンズ寄りのユニセックスにして使いやすくまとめている楽しい香りです。最後に少しバニラもあるので、オリエンタルさが出ています。

11、キャロライナ・ヘレラのセンシュアルベチバー
精油っぽさはほとんど感じないです。これもグリーン系の香りをベチバーと表現しているのかなぁ。

12、エトロのベチバー
精油しっかり香る系で、ベチバーはかなり強めです。8割くらいベチバーの精油が香っているんじゃないでしょうか。ベチバー以外に香るのはウッディっぽさと少しだけハーブがあるくらいです。

13、サンタマリアノヴェッラのベチバー
これは石鹸っぽいベチバーです。精油の香りの良さを石鹸の香りで包み込んだ感じで、優しく、柔らかくノヴェッラらしく香ります。

14、ランバンのベチバー
典型的なメンズのシトラスウッディの香りで、グリーンが効いています。グリーン系であるということをベチバーと表現したのかなぁ?精油っぽさは皆無です。

15、ゲランのベチバー
精油を使っているものの、フレッシュな香料をいろいろと使ってフレッシュに仕立て上げている感じです。フレッシュさが次第に抜けていくと最後にベチバーが残る、という感じですね。

16、ゲランのフローズンベチバー
上のベチバーのトップにミントを置いて、涼しげな香りを出している感じです。基本はベチバーと同じですね。

17、カルヴァンのベチバー
トップにシトラスがあるので、わりとありがちなグリーン系ベチバーかと思いますが、3割くらいは精油っぽさが潜んでいます。ミドル以降はロジェガレのベチバーにとても良く似ています。

18、コンパニーヤ・デッレ・インディのベチバー
まさにグリーン系でさっぱりとしたベチバーです。ベチバーはドコ?と探してしまうブランドと、グリーン系のベチバーの香りだと感じるものと2つあるのですが、こちらはグリーン系のベチバーの香りの方です。最後までわりとすっきりとしているのですが、どちらかというとメンズ寄りかなぁ。

19、Mazzolariのベチバー
精油っぽさの強い香りです。精油5割、3割フローラルで2割がスパイスという感じでしょうか。フローラルよりもスパイスとベチバーまの印象が強いですね。ベチバー独特のクセをフローラルが和らげていて、違うクセをスパイスが付けているんですね。

20、エルメス・エルメッセンスのベチバートンカ
確かにベチバーがあるのですが、トンカビーンの方が強くて、しっかりと探すことでようやく見え隠れする、という感じのベチバーです。トンカビーン7割、ベチバー3割という印象だなぁ。

21、ジョーマローンのブラックベチバーカフェ
一言で言うと「面白い」。ベチバーの精油っぷりが出ているにも関わらず、トンカビーンやコーヒーっぽさ、その他の香りが重なり合うことで、また違った香りの良さを出しています。

22、Il Profuvoのジャワベチバー
ウッディで、落ち着いた香りではあるのですが、製油っぽさは3割くらいかなぁ。ベチバーを品良く使いやすくしている感じがします。

23、カルヴァンのベチバードライ
こちらはベチバーがあるのでしょうが、どちらかというとクラシカルなメンズ香りに近くて、昔の男性化粧品にありがちな香りです。ひょっとしたらトニック系と言われてしまうかもしれませんね。トニック系にしてはすっきりとしていて好感度は高いと思いますが。ベチバーな部分は香りとることが出来るのですが、それほど主張は強くないです。

24、フレデリックマルの非凡なベチバー
これも精油っぽさが強い香りですね。 ビターオレンジやスパイス、シダーウッド等があるようなのですが、ベチバーにシダーウッドの印象が強いです。ベチバーメインのウッディ系で落ち着く香りにまとまっています。

25、モノテームのベチバーブルボン
メンズっぽく仕立てたグリーン系のベチバーです。グリーン系なのですが、グリーンっぽさの名かにも少し精油っぽさを感じますね。使いやすくライトにした感じ。

26、フローリスのベチバー
ウッディの強いベチバーで、一瞬カカオかと思うような甘さがたちます。アンバーでしょうね。深みのある落ち着いた香りになっています。素敵だなぁ。

27、ザ・ディファレントカンパニーのセル・ド・ベチバー
何故かタイトルは「ソルトベチバー」です。塩 ? ベチバーメインとするとメンズよりのユニセックスなイメージですが、これはシトラスにゼラニウム、アイリスにイランイラン。確かに渋めなベチバーとパチョリが香りますが、重すぎるような印象はないです。インセンスさもちょうど良くて、女性が作った優しさのあるベチバーという感じだなぁ。

28、エリザベスWのベチバー
予想していたよりもずっとすっきりしていて、グリーン過ぎず、精油過ぎず、微妙な香りになっています。一般的に一番受け入れられやすいこういうベチバーなのではないかと思い、この微妙さ加減に納得です。カジュアルに、気兼ねなく使えるライト系ベチバー。

29、ル・ジャルダン・ホトルヴェのベチバーバニラ
甘さのあるベチバーなのでタイトルそのもの。このブランドってわりと直球なものが多いですよね。ベチバーも根の精油っぽさがすごく出ていて、アジアの雑貨屋系の香りになっています。ベチバーとバニラの他に、少し燻したというか、焦げたような香りもします。タバコっぽいのかなぁ。

30、アニックグタールのベチバー
少しグリーンの入ったドライなベチバーです。印象的にはモリナールのベチバーのメンズっぽさを少し削った感じで、爽やかさがあります。どうやらちょっとマリンノートもあるような。すっきりとした香りが少しあるだけで随分と印象が変わりますね。

31、メートル・パルフュムール・エ・ガンティエのRoute du Vetiver
もう、そのままベチバー。精油のベチバー感たっぷりで、パチョリのような深みもあります。ウッディも強くて、すごく深みのあるベチバーになっています。この温かみを好きな人にはたまらない香りだと思いますよ。少なくとも、僕はたまらなく好きです ! !

32、アントニオ・プイグのVetive de Puig
シトラスウッディ系のベチバー。ベチバーがメインというよりも、やっぱりシトラスウッディっぽさが前面に出ています。メンズのトニック的要素も強いので、クラシカルな香り。

33、モリナールのベチバー
メンズのトニック的な香りで、軽さがあります。香りはミドル以降に乾いたベチバーの良さがメインとなっていきます。その頃にはメンズっぽさも落ち着きますから、パシャパシャと使えそうな香りかも。

34、ボルサリのベチバー
スターアニスの甘さ、スパイスも香るベチバーで、アニスの甘さが出ています。その分、どっしりとした構えとなっている香りで、モリナールとは対照的。ベチバーもグリーンをイメージしたものではなくて、しっかりと根の精油っぽさが出ています。

35、Attar Bazaarのスマトラベチバー
1滴で延々香り続ける脅威のベチバー。ねっとりと、ホントにねっとりとした液体で、絡みついたら離れないような存在感を放つベチバーです。



精油に近いもの
エトロのベチバー
コメント:精油メインの深い香り
パティカのフジェーレ(Fougere)
コメント:ベチバーメインのウッディ系
サンタマリアノヴェッラのベチバー
コメント:ベチバー石鹸
フレデリックマルの非凡なベチバー
コメント:精油にシダーウッドを加えた感じ
ザ・ディファレントカンパニーのセル・ド・ベチバー
コメント:ハーブの加わったベチバーでパチョリも香りますが、ベチバーが活きています。
フローリスのベチバー
コメント:ウッディ系のベチバー。
メートル・パルフュムール・エ・ガンティエのRoute du Vetiver
コメント:もうそのものを楽しむには最高。
ル・ジャルダン・ホトルヴェのベチバーバニラ
コメント:甘さはあるけれども、甘すぎることなくベチバーが香ります。
Attar Bazaarのスマトラベチバー
コメント:絶品

ベチバーの葉をイメージしたグリーン系のもの
クリードのオリジナルベチバー
コメント:すっきりとしたユニセックス系で、オリジナルではない方が精油っぽい
コンパニーヤ・デッレ・インディのベチバー
コメント:ミドル以降はクリードそっくり
ゲランのフローズンベチバー
コメント:オリジナルの方が精油っぽさがあるかも

ベチバーというよりも、シトラスグリーンウッディなもの
ランバンのベチバー
コメント:この中にベチバーはあるのかなぁ
アザロのピュアベチバー
コメント:グリーンは香るのですが・・・
キャロライナ・ヘレラのセンシュアルベチバー
コメント:精油っぽさは皆無です・・・

技ありなベチバー
セルジュルタンスのベチバーオリエンタル
コメント:メインではないのですが、全体として面白いです
ジョーマローンのブラックベチバーカフェ
コメント:ベチバーにビーンをあわせた香りも他にないですよね
コントワール・シュド・パシフィックのベチバー・ハイチ
コメント:トータルとして楽しめる良さがあります
アニックグタールのベチバー
コメント:さっぱりとしているのに、しっかりとベチバーが香るんです。
   

精油のクセを和らげて、使いやすい香りとしているもの
Mazzolariのベチバー
コメント:ベチバーは確かに香るのに、クセが強くないという逸品
Il Profuvoのジャワベチバー
コメント:他の香りと重ね付けするために、シンプルでクセを弱めている感じ
エリザベスWのベチバー
コメント:とってもとっつきやすいベチバーになっています。




総括
ベチバーの精油はそれ1つだけで香りが出来上がってしまうくらいに、重く、土っぽく深みのある香りです。すでにいろいろな香料で創られたような感じすらします。それをメインとした時に、「香水」として使うためには独特のクセを和らげることが大切だったのだなぁ、と香りを比較してみて感じます。前面に出すには様々な工夫が必要なワケですよ。精油っぽいもので挙げたブランドの香りも、それぞれ印象が違います。食事としてテーブルに出された際に、調味料だけで旨みを引き出したもの、調理法が違うもの、他の具財に紛れてしまってなかなか分からないものとある、そんなイメージです。なかなか実物を見る機会もないでしょうが、精油自体はそれほど高価ではありません。生活の木等でも購入が可能ですので、少しだけ持っていると、香水の中に香る成分に気づきやすくなるかもしれないですよ♪

※追記<07-02-28>
こうして見ると、しっかりとしたニッキアフレグランスは精油の香りが強いことがわかります。きちんと精油を使用し、メインに据えて各社の特徴を出しているのですね。


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