イギリスで最も古いパフューマリーの1つだとだと言われるGrossmithが2009年に復活しました。香水ファンの間では今年最大のニュースだとも言われたりして。イギリスの歴史家であり調香師であるRoja Dove氏とBaccarat社の力を借りて、創設者John Grossmithの子孫であるAmandaとSimon Brooke夫妻が再建したというのです。1835年にスタートしたブランド名はJ. Grossmith Son & Coでしたが、再建されたNew NameはGrossmithとなりました。何でも、Simon Brookeの一族の歴史書が最近発見され、当時の調香師についての情報が明らかとなったそうなんです。ロンドンのNewgate通りにある親族所有の(今は使われていない)建物から発見された手書きのレシピに基づき、当時の香りを現代に蘇えられたのです。1890年〜1910年というイギリスの植民地時代に世界各国、日本、インド、中国、アラビア等をテーマとした香りが作られました。Simon Brookeは6年前から自身の家系を調べていたのだそうで、調べてみるまで自分の一族がヴィクトリア女王の香水を手がけていたなんて知らなかったそうですよ。

Simon Brookeが発見した調香師のレシピには96種類の香水、23種類のEDTとEDC、10種類のブレンドオイルと82種類のソープを含めた全300種が記載されていたそうです。今後の復刻品にも期待が高まりますね。ブランドは1835年に創設された後、1900年代初頭をピークに40年代には廃れてしまったそうで、ブランドは引退したビジネスマンに売却されてしまったそうです。そして1980年には香水そのものを作るのを止めてしまったのだとか。そこから空白の30年を経て現代に蘇ってきたわけです。価格は50mlのEDPが95〜120ポンド、100mlのパルファムは380〜425ポンドだそうです。ボトルはBaccarat社のもので1919年当時の型だとのこと。 (メルマガ023号より)

彼らは2012年に、Diamond Jubilee Bouquetという香りを発売しましたが、もともとは1897年6月にヴィクトリア女王の在位60周年を祝った際にVictorian Bouquetという香りを発売していたそうです。1940年12月29日、年末の大火でロンドンのGrossmithの建物が焼失してしまったそうです。(09/10/2013)

2014年、2015年とイタリアの展示会にてご一家にお会いしてきました。ブランドヒストリーもお聞きし、いろいろとお話しをうかがってきたのですが、とてもブランドを大切にしており、信頼のおける業者でないと任せられないと。日本での代理店探しもしているのですが、まだお眼鏡に叶うところはないようです。流通は細く、ゆっくりと・・・というのがとても好印象です。販売することに尽力せずとも、本当に良いものは口コミで広がり、価値のわかる人たちに愛されるものだという考えです。この方たちなら・・・と手元にあったヴィンテージのEau de Cologne〜Golden still〜を差し上げてきました。所有はおろか、見たこともなかったという商品に興奮されていましたが、ブランドに返すという形が一番良い形だろう、と。大切にしてくれそうですよね。(25/01/2016)