ブラックボトルは精神の深さ、神秘、パワーを表す不屈の色。精神的な何かを香りにすることは良くあることですが、どうしても抽象的な言葉になるため、捉えどころがなく正解も不正解もありません。彼は、精神とは何か。目に見えないものを肉体を超越して生きる不屈の精神の本質としたようです。それを6種が公開された彼らにとって初参加となった展示会で選んでくれたのでした。

今回は全体が塗装されたメタルボトルとなり、キャップがプラスティックになりました。きっちりとフィットさせるにはプラスティックの方が良いですからね。それでもボトルカバーがメタルのため、重量感は相変わらずで、見た目は塗装された分荒々しさが軽減され洗練されたスタイルへと変化した印象です。

SpiritusはSacraeと対として公開され、パッケージはブラックとレッドの切り替え。しかも、各15mlほどのサンプルが同じサイズのボックスに収められており、ボックスには二つのタイトルが付いています。

香りはレザーベースにヤクルトのような乳製品系フルーツとスパイスが重なる、少しコンプレックスなタイプで、次第にフルーツの余韻にバニリックなレザーが重なっていきます。フローラルノートはフルーツの余韻の延長にありますが、フルーツの中でもラクトニックなピーチが強く、その上にアクセントとしてミントが瞬間だけ香ります。カラメルは強くないためグルマンではありませんが、バニラ強めのレザーをベースにすることでフルーツの可愛らしさを押さえ、微かにスパイスを効かせることでユニセックスなトーンに仕立てています。主張強めなスタートでしたが、表情を変えながらユニセックスに落ち着くので、新しい個性だと感じられます。基本的にたっぷりのIso E Super、Benzyl salicylateとGalaxolideのコンビネーションが支えているので、安心な濃度です。

(27/03/2025)