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Sampleレヴュー

 

 

■Purpleie (2025年)

どうしてパープルなのかと不思議に思ったら、これは蓮の葉にインスパイアされた香りなのだそう。というのも、蓮の葉は春先や秋に寒冷ストレスを受けた際にアントシアニンが生成され、葉の色がパープルになることがあるからなのだそう。日常的に植物に接している彼ならではの視点です。香りはダークパープルをテーマにレザーの香りとなりました。

レモン、ピンクペッパー、グリーンノート、ベルガモット、パチョリ、ホワイトウッド、ジャスミン、スズラン、ラベンダー、スエード、レザー、オークモス、トンカビーン、アンバーグリス

パープルに合わせてラベンダーを使用しているようですが、フゼアになっているわけではなく、スイートレザーが広がります。トップは少しオイリーなスイートレザーで、パチョリが感じられたのですが、パチョリのトップが抜けるとスイートウッディレザーとなって落ち着きます。Greenadeとは対照的な香りで、Greenadeが喧騒のようなイメージだとしたらこちらは静謐。生暖かい風が吹くアジアリゾートのコテージといったところ。ボトルには蓮の葉がデザインされていますが、ロータスノートが使用されているわけではなく、アクアティックな要素はありません。(13/05/2025)


■Greenade (2025年)

ローズの育成農家として庭仕事をした後家に帰ると、身体中にいろいろな香りが付いているのだそう。それは刈り取られた草の匂いであり、汗臭い体臭であり、土の匂いであり、作業道具の匂いであり、花々の香りなのだと。

ブラックカラント、ラズベリーリーフ、アップル、ガーデニア、ベルガモット、ローズドゥメイ、ゼラニウム、ホワイトタイム、カルダモン、サフラン、シスタス、シダーウッド、パチョリ、ぺルーバルサム、スティラックス、バニラ

とても合成香料のトーンが強いカシスがグリーンノート共に生々しく弾けてスタートです。グリーンでフルーティーな香りはカシスが代表的ではありますが、バランスを間違えると違和感につながってしまう。これはフルーティーでグリーンというトーンがアクセントではなくメインに配されているがために、少し好き嫌いが分かれそうなタイプとなりました。グリーンレザーを目指したにしてはフルーティーノートが余分で、少しバランスの悪さを感じてしまった香りでした。温室に入った瞬間のもわっとした熱気。そこに濃厚なフルーティーグリーンのディフューザーを置いたようなニュアンスです。(13/05/2025)


■Rosa Vere (2023年)

春のローズはRosa centifoliaがテーマに。春の中でも5月は晩春であり、一度だけ咲く5月のローズがサブタイトルとなりました。香料用のローズと言えばダマスクローズとローズドゥメイがメインですが、花弁数の多いセンティフォリアにレッドフルーツを合わせてリアルな香りに仕立てたもの。

 


(c) Himeno Rose Nursery

 

センティフォリアローズ、レッドフルーツ、シトラスノート、フローラルノート

ムエットで香った際には、この香りが一番ローズらしいローズ香に感じられたのですが、改めて肌に乗せるとベリー系のフルーツが香るフルーティーなキャンディーローズで始まりました。フルーティーなトーンが薄れ甘さが残るとローズは一段と馥郁たる香りとなり、ドライフルーツを合わせたようなミドルを経て、リアルなローズ香となって落ち着きます。ムスクが強いわけではないのですが、とても持続も良く、長く楽しめます。可愛らしいだけのローズで終わらない点と、リアルな香りとなって残る点がこの香りの価値でしょう。(16/05/2023)


■Rosa Aestiva (2023年)

Ann Pat EwenというNovaspinaの農場で育てられているピンクのローズのヘッドスペース法で香りを採取して組み込んだ香り。Ann Pat Ewenは2015年にローマのコンクールでフレグランス賞を受賞した、シトラスノート、特にグレープフルーツピールの香りを有する芳香種。夏の香りのためシャンパンを合わせたもので、サブタイトルはゴールデンローズ。

 


(c) Novaspina

 

シトラスノート、フローラルノート、グループフルーツ、ローズ、シャンパン

シャンパンの泡っぽいニュアンスはそれほど強くはないのですが、軽めのシトラスノートを有した爽やかなローズが広がります。そのまま炭酸を入れて飲みたいほど爽やかなローズで、そういう意味ではシャンパンをこのローズに合わせた理由が理解出来ます。グレープフルーツの香りは少し時間を経てからの方が顕著で、ミドル以降にグレープフルーツローズとなって落ち着きます。シャンパンやグレープフルーツにローズとなるとLes Liquides ImaginairesのDom Rosaが思い出されますが、こちらの方が全体的なトーンがナチュラルで優しい広がりです。(16/05/2023)


■Rosa Autumnalis (2023年)

Rosa Susan R. DanielとRosa rugosaにスパイスを合わせた香り。下記の画像がRosa rugosaでハマナスのこと。スーザンダニエルはサーモンピンクに少しオレンジがかかったような淡い色合いのローズ。サブタイトルは荒れたローズ。

 


(c) Himeno Rose Nursery

 

スーザンダニエル、ロサルゴーサ、スパイス

秋バラのシーズンをテーマとしたわけではなく、その先。秋バラが終わりをつげ、葉が落ちて棘だけが残った、冬に入る準備段階となった季節。スーザンダニエルはビターオレンジやフルーツ、ヴァイオレットの芳香を持つ特徴的な香りだそうで、そこに典型的なゼラニウム調のローズ香であるハマナスに、棘をスパイスで表現したもの。香りは、思わずうなずいてしまうほどローズの香りです。それも、とても特徴のあるスパイシーなローズ。トップではエステル系のフルーティーノートが香りましたが、シナモン調のローズノートがヴァイオレットやローズに重なり、少し色あせた印象を与えています。これはこれでローズの一面を切り取った、ローズらしい香りだと言えます。(15/05/2023)


■Rosa Hiemalis (2023年)

Rosa chinensisのOld Blushをテーマとした冬のローズで、サブタイトルは凍ったローズ。Old Blushは四季咲きで、冬の寒さの中でも蕾があることがあり、凍った花からも微かな香りが感じられるのだそう。

 


(c) Himeno Rose Nursery

 

チャイナローズ・ローズブラッシュ、ナルシス

香りは少し冷たいトーンを含んだハニーなオリエンタルローズとなりました。グリーン香と冷たいトーンがトップで香り、そこからハニーノートの効いたオリエンタルへと変化していくのですが、ヴァイオレットも強めに感じられるため、重厚感のあるローズとなっています。もともと強香種ではないようですが、仄かな香りはティーローズ系で、ハニーオリエンタルが甘く柔らかく包み込んでいるため、生花そのものの再現香ではありませんが、冬に合いそうな香りとなっています。(15/05/2023)

 

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