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Sampleレヴュー

■odenaturae (2023年)

共和制ローマ時代の末にラテン文学の黄金期を確立させた詩人Virgilの詩にインスパイアされた香り。彼は牧歌、農耕詩などで知られ、その中でも田園風景をテーマとした香りに。特に春の終わり、つまりは陽ざしが暖かさを増し、青葉がぐっと色濃くなりつつあるシーズンです。日本ではその頃から梅雨に入るわけですが、イタリアでは朝はヒンヤリと涼しく、午後はTシャツという過ごしやすいシーズンです。

 

 

ビターオレンジ、トマトリーフ、ワイルドベリー、ヒソップ、ブルーカモミール、バジル、イモーテル、ローレル、マスティック、クラリセージ、セボリー、アンジェリカ、ローズabs、オレンジブロッサムabs、ブルームabs、ヘイabs、パチョリ、シダーウッド

4つ目の香りは今までで一番アロマティックな香りとなりました。青々とした芽吹きのシーズンは、グリーンノートを多用してSisleyのEau de Campagneのように爽快なグリーンシプレにすることが多いのではないかと思いますが、彼の場合はもっとイタリアらしくバジルを利かせたアロマティックとなりました。いろいろなハーブが全体としてアロマティックに広がるのです。グリーンノートの合成香料はあまり突出して感じられず、トップではカモミールが少しフルーティーなアクセントを添えて渋く香っていました。3種のカモミールを合わせたそうです。ベースはシプレではなくパチョリとウッディノートのみで、アブソリュートの中の渋めなアンダートーンを主体にして合わせたもので、近年多いグイグイと主張するアンバーグリス系のアンダートーンもなく、穏やかさを増し、ハニーノートの効いたアロマティックウッディムスクとなって落ち着きます。いろいろと精油が多く使用されていますので、その欠片を楽しながら一息つく感じで、牧歌的なテーマにとてもマッチした香りだと思います。画像の中のFundamentalクッキーは、割れてしまっていますが、ラベンダーとカカオチップの入ったハニークッキーでした。彼は毎回クッキーを用意してブースで迎えてくれます。(17/04/2023)


■Nuvolari (2021年)

Tazio Giorgio Nuvolariというイタリアンカーレーサーをモチーフとした香りで、1935年7月28日、ドイツのNurburgringのサーキットで、真っ赤なクラシックレーシングカーが22kmのサーキットを駆け抜けた。引き続きCristiano Canaliの調香です。

 

 

トップ:レモン、ブラックペッパー、燃料アコード
ミドル:ミント、ネロリ、ローズ、モーターレーシングアコード
ベース:ベチバー、ウード、アンブロキサン、アスファルトアコード

焦げたオリエンタルウッディノートにメタリックな香りが火花のように散る香りです。クラシカルカーということで、もっとレザーっぽいニュアンスがあるのかな、と想像していたのですが、全体としてはとてもオリエンタルウッディで、メタリックなトーンが薄れていくと安心感すら感じられる少しスモーキーなアンバーウッディとなって落ち着きます。車に関するアコードがどのような香りとなってまとめられているのかわかりませんが、全体に大きな影響を与えるような香りではないようですね。マリンでもオゾンでも瓜系でもないのに、どこか尖ったような透明感、プラスティックやアクリルのようなニュアンスが中に感じられるところがポイントで、コントラストを楽しみましょうというニュアンスです。(03/08/2022)


■Tambour Sacre (2019年)

Cristiano Canaliにより調香で、展示会の際に彼が新作を作っていると聞いていたのですが、翌年の発売となりました。2018年は130個の限定品として発売となり、2019年に定番化。テーマはアフリカンリズムです。

 

 

トップ:ベルガモット、オレンジ、ブラックペッパー
ミドル:シナモン、ファルネシアーナ、チュベローズ、コーヒー
ベース:サンダルウッド、ミルラ、オポポナックス、ベンゾイン、トンカビーン

チュベローズにコーヒーが重なるというとてもユニークな香りで始まりました。予想以上にコーヒーが効いており、でも甘く苦いコーヒーというよりはスパイスに近い香り方をしており、ミルラの効いたオリエンタルなベースととてもマッチしています。チュベローズのアクセントとなっているのはクミンの香りのするミモザ、ファルネシアーナ種なのですが、その部分は大きなインパクトはなく、スパイシーな部分、特にシナモンやペッパーがあることから普通のミモザではなくファルネシアーナを選んだのでしょう。コーヒーやスパイスがなかったらフェミニンな香りになっていたと思うのですが、それをグイッとユニセックスに寄せた香りです。コーヒーの香りは比較的長く残りますので、そこを好きになるかどうかがポイントだと思います。(03/08/2022)


■Fundamental (2015年)

最初の香りのテーマはモダンクラシカルということで、そのテーマに沿ったストーリーを紡ぎだしたのがErmano Piccoでした。そしてそれを香りとしてまとめたのがCristiano Canariです。

1937年、ヴェローナにて。町の床屋にオーデコロンを卸した初めての香水ショップだったPietro Rubiniのお店。彼はまた、アリーナで歌う女性オペラ歌手たちに、自分のお店の宣伝という意味も含めてとてもステキな香りのフェイスパウダーを差し上げていたのだそう。そこに、ソーヴィニヨンの香り、つまり9月の輝く太陽と熟成されるブドウの香りを足して、彼の最初の香り(基本)としたのです。

 

 

トップ:カラブリアンベルガモット、タンジェリン、シトラスフラワー
ミドル:グレープ、マスティック、アイリス、ビーワックス
ベース:シダーウッド、サンダルウッド、ジャワベチバー、ベルベットアコード、レザー

オペラの場面のように組まれたストーリーですよね。でも、オーデコロンでスタートするとばかり思っていた香りは、オーデコロンほど鮮やかではないシトラスで始まりました。トップから様々なエッセンスが香っているのです。それはとても不思議な組み合わせで、アロマティックであり、ゴムのようなテイストであり、少しグレープのようなフルーティーさであり、フローラルウッディがベースにあるのです。どうにもこうにも説明の難しい香りではあるのですが、微かな酸味はマスティックの樹脂らしいテイストを出していて、パウダリーノートは主役というほど前には出ずに温かな雰囲気づくりをしています。ウッディノートも精油ではありますが、精油のどっしりとした部分は控えめで、とても綺麗にまとめられているのです。幾分合成香料に置き換えているのでしょう。とてもユニークなユニセックスフレグランスで、アイリスがなかったらメンズに感じていたかもしれません。最後はアイロンで温められたようなレザーアイリスが滑らかに肌に馴染んで消えていきます。(21/12/2015)

 

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