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第14号/2008年12月15日

■もうすぐクリスマス♪

クリスマスが目前と迫って参りました。週末ごとに忘年会で疲れてしまっている方も、楽しまれている方もいらっしゃることと思います。皆さま、1年に1度のクリスマス、どのような香りを使うか決めていらっしゃるのでしょうか?僕は昨年、一昨年とご好意で頂きましたCaronのNuit de Noel(クリスマスの夜)のパルファムを使っています。今年もわずかながら残っていますので、それを使用することになりそうですが、果たしてクリスマスに使えそうなイメージのものってどれくらいあるのでしょうか?

1、GuerlainのL'instant de Guerlain Eau de Noel (アイリスを使った2005年のクリスマスバージョン)
2、GuerlainのAqua Allegoria Winter Delice (クリスマスのリースをイメージした香り)
3、Palazzo VecchioのSpazie de Medici (クリスマスのポマンダーを彷彿とさせる香り)
4、Parfum de RosineのRose de Feu (暖炉の前にローズを生けたテーブルがあるクリスマスの風景)
5、Eau d'ItalieのSienne l'Hiver (クリスマスの教会のイメージ)

他にも限定品としてクリスマス商品はありますが、手元にフルボトルのあるものを上げていくとこれくらいでしょうか。どうぞ、皆さま素敵な香りに包まれて良きクリスマスを♪


■今年の香りの総括

昨年のメルマガ002号と同じく、年間の総括として同じフォーマットで記載していきたいと思います。
基本的にフルボトルで良く使用していたものを選んでいます。

1、Best Limited Edition

Stephanie de Saint-AignanのVoleur de Ciels
(あまり限定品を購入していないことに気づいたので・・・)
2、Best Scent to “Drink” Tauleto wine Fragrance
(昨年同様です・・・)
3、Best Scent to “Eat” Ava LuxeのLoukhoum
(昨年同様です・・・)
4、Best Scent for a Teen Girl ChloeのChloe
(今年はこの香りがバカ売れしましたのでそんなイメージです)
5、Best Men’s Scent Tauer PerfumeのIncense Extreme
(年間通じてレザーが合っていたようです)
6、Best Unisex Fragrance Le LaboのIris 39
(Frederic Malleのアイリスとこの香りは僕の中で別格)
7、Best Designer Scent Laura AshleyのNo.1
(懐かしさ、満開、良さ、再確認)
8、Best Celebrity Scent 該当なし
9、Best Single Note Scent Highland lilac
(高価なものが良いとは限らない証)
10、Best Skin Scent Le LaboのLabdanum 18のオイル
(飽くまでも、オイルですよ)
11、Best Amber Annick GoutalのEau de Lavande
(キャロンもそうですがアンバーとラベンダーの組み合わせの良さを再認識しました)
12、Best Scent Masterpiece/傑作 Mona di OrioのAmyitis
(どこをどう香っても不思議な組み合わせなんです)
13、Best Scent You Never Heard of/前代未聞の香り B Never Too Busy To Be BeautifulのDirty
(メンズでダーティーというタイトルなのに何故かドカンとオークモスなのが意味不明です)
14、Best Cult Scent/カルトな香り Lorenzo Dante Ferroの香りたち
(製品というよりも今年出会ったカルトメーカーとして・・・)
15、Best Scent Name Etat Libre D'OrangeのDelicious Closet Queen
(隠れゲイだなんて名前、普通のブランドは付けません!!)
16、Best Avant Garde Scent/アバンギャルドな香り NasomattoのChina White
(ヘロインの隠語だなんてびっくりです)
17、Best Scent For Seduction/魅惑的な香り Parfums de RosineのRose Kashmirie
(これだったらユニセックスで使えてセクシーだと思います)
18、Best Scent for a Second Date/2度目のデート DivineのL’homme sage
(クラシカルな基本を押さえつつモダンで素敵な香りです)
19、Best Scent to Give As a Gift/プレゼントに最適な香り Palazzo VecchioのRosa Bulgara
(やはりローズが1番でしょうか)
20、Best Scent for the Office/会社用の香り 毎日とっかえひっかえですので・・・
21、Best Scent For Hot Weather/真夏に合う香り SisleyのEau de Campagne
(夏場はラベンダーとこの香りにまみれていました)
22、Best Cold Weather Scent/真冬に合う香り Nez A NezのL'Hetre Reve
(ちょうど今月の人気者です♪)
23、Best “Go To” Scent”/外出用の香り Etat Libre D'OrangeのJe Suis Un Homme
(やはり外出にはレザーを手にすることが多かったなぁ)
24、Best Bottle Bond Van Cleef & ArpelsのFeerie
(今年はこれ以外にない、という感じです)
25、Best Classic Scent CaronのTabac Blond
(廃れない魅力を感じる香りですね)
26、Best Buzzzzzz/その他 Strange Invisible PerfumeのTropical Vial
(精油のみで作るとこんなに不気味さを増すのか、というある意味衝撃的な香り)

さぁ、皆さんはいかがでしたでしょうか?

■Masik Collegiate Fragrances (大学の香り)

日本人が意識しているよりもアメリカでは大学意識が高いという表れなのでしようか。日本でも6大学等は競合するということで対抗意識や独自性があるように思われますが、今年アメリカで大学ーテーマとした香りが発売されました。これが凄いのは「ブランドとして成り立ったこと」にあります。芸能人香水のようなメーカーの企画物ではなくて会社が創設されてしまったのです。スクールカラー、スピリット(精神)、伝統と歴史、キャンパスの木々や花々、大学の存在する町の特性や母校の歌など様々な要素を調査し、加味した上で完成していく大学の香り。日本では「そんなもの大学生しか使えないじゃん!!」と一蹴されてしまいそうですが、OBの方々も母校を愛する精神があるからか立派なターゲットなのだそうです。懐かしむのかもしれませんが。

University of North Carolina
(ノースカロライナ大学)
Penn State University
(ペンシルバニア州立ステート大学)
ボトルにはこうして大学の紋章がロゴとして入っています。

の2つがそれぞれペアで現在発売されているのですが、今後はすでに6校が決定しているそうです。

University of Florida (フロリダ大学)
University of Georgia (ジョージア大学)
University of Alabama (アラバマ大学)
University of Tennessee (テネシー大学)
Auburn University (オーバーン大学大学)
Louisiana State University (ルイジアナ州立大学)

全て地域ごとにあるわけですから、日本で言う地域香水のようなものとして発展していく可能性があるわけです。大学構内やその地域限定で発売されるというのも楽しい試みだと思いませんか?大学生活の間だけ使ってみるというのも良さそうですが、学生の間ではかぶりすぎて敬遠されてしまいそうです。でも、話題性という点ではとても良いですよね。(100mlが60ドルです)


■Ego Factoのデビュー

Thierry Muglerで長年働いていたPierre Aulasが独立して創設した新たなフランスブランドが1月下旬に7つの香りでデビューします。Pierre Aulasは調香師ではないので7つの香りはそれぞれ別の方に依頼しており、3種がメンズで4種がレディースとなっています。Pierre Aulas自身、ピアノを弾いてパリオペラで歌う方なのだそうで、そういう歌劇的な要素を盛り込んでいるのかもしれません。彼がThierry Muglerで成し上げた仕事はとても多く、あの映画「パフューム」とのコラボレート作品(15個の香水セット)をプロデュースしていたのも彼のようです。クリエイティブディレクターとしてThierry Muglerの香りをたくさん世に送り出し、プレスリリースには良く名前が出ていました。

1、Sacre Coeur (調香師:Laurent Bruyere) は「聖なる心」というタイトルでタバコ、パチョリにレザーを使ったメンズの香り
2、Piege a Filles (調香師:Anne Flipo) は「少女の罠」というタイトルでヘリオトロープ、アーモンドとクミンを使ったオリエンタルスパイシーな香り
3、Jamais le dimanche (調香師:Alberto Morillas)は「日曜日はダメよ」というギリシア映画(?)のタイトルで、オゾニックインセンスにマリファナの香りを組み込んだ香り
ニヤリと意味深に笑うPierre Aulas氏。でもこの方自身は調香師ではありません。
Thierry Mugler時代の画像も発見です。
50mlのボトルにはアクセサリーのような飾りがついているのですが、香りごとにカラーとイラストが違うようです。

4、Prends garde a toi (調香師:Jean and Aurelien Guichard)は「気をつけて!!」というタイトルでジャスミンとパチョリのオリエンタルな香り
5、Poopoo Pidoo (調香師:Dominique Ropion)は口笛のような音なのでしょうか。ライスパウダーとアニマルムスクの香り
6、Fool for Love (調香師:Laurent Bruyere)はシナモン、ココナッツ、フランジパニとオーバードラッグ(薬物の過剰摂取)をイメージした香り
7、Me Myself and I (調香師:Jean and Aurelien Guichard)はタイトル通りに男女というものをチュベローズとスモーキーなベチバーで表現した香り

調香を見ただけなので判断は出来ませんが、Etat Libre d'Orangeのように少しタブーを取り入れたという印象を受けます。男女の絡み合う様子を香りにしたり、薬物があったりと。キレイなだけの可愛らしい香りというのはアパレル系におまかせをして、自身はもう少しインパクトのある「香水ブランド」としてアーティスティックなものを求めたのかもしれません。価格がまだわからないのですが、Marionnaud(という香水店のグループ)で発売していくそうですから、驚くほど高価ではなくてやはりミュグレーラインの価格に落ち着くのでしょうか。

■Nouveau Paris

2005年にLusina Yaraliantzが立ち上げたアメリカブランドです。Parisなのにアメリカなので要注意。23年間アメリカとヨーロッパでビジネスマネージメントをしていた彼女が何故突然にこのブランドを立ち上げたのか詳しくサイトには記載されていないのですが、もともと祖父がヨーロッパで1920年代から続くパン屋を経営していたことと繋がっていくようです。祖父Vartan Mandikはパンに使用するスパイスやハーブを厳選し、ヨーロッパ中から選んでいたのでしょうね。1つのパンの中にスパイスとハーブがフルーツと組み合わされて入ることでそれぞれが全く別の世界を形作ることに興味を覚え、実験のように組み合わせていたのだそうです。いつしかグラース等で香水について学ぶようになり(学校名が記載されていないので独学に近いのではないかと思います)組み合わせや香料についての知識を持ったことでブランド創設となったのです。

2008年現在、レディースは10種、メンズは4種発売されているのですが、全て重ね付けが可能で、レイヤリングについてもきちんとオフィシャルサイトで紹介しています。アメリカのブランドで重ね付けというとケイコメシェリが浮かびますが、どのような印象なのか確かめてみたくて注文をしてみました。一応、国際配送はダメだと記載していなかったので、普通に注文をしてみたところ、なんと送料が全く計算されずに商品代だけだったのです。しかもなんと注文番号は「00000006」だっんたですよ!!!

一体、何件まで注文をとるつもりなのか桁数にもびっくりしますが、6という数字に驚きです。おそらく日本からの注文はおろか、国内でも注文はほとんどないに違いありません。ほとんど店頭販売なのでしょう。9月の下旬に注文した香りは4種でした。初めてで4種というのはある意味チャレンジですが、レディースの50mlはEDPで55ドル、メンズは100mlのEDTで75ドルなのです。カジュアル価格なんですよ。(レディースの100mlは85ドル)
その安さに釣られたことと、重ね付けなんだからいくつかを・・・という想いで注文をしたところ、翌日にはすぐに「発送しました」とメールが入ってびっくりしたのです。


「送料は?」


聞かれていないんだから払わないぞ、とそのまま放置していたのですが、3週間経ってもトラッキングナンバーを知らせて来ないので、心配になって問い合わせをしてみました。どうやら発送メールが自動的に配信されてしまっていたようで、実際には発送されていなかったようです。今度こそ、とお願いをしたらトラッキングナンバーと共に発送完了のメールが届きました。しかし、UPSで送付したそうなのにトラッキングナンバーの桁というか数が変なんですよ(汗)もちろん1週間経過しても調べることは出来ません。追っかけられないトラッキングナンバーなんて意味がない、と再度問い合わせをしようとしたら「発送しました」ともう一度メールが届き、今度は別のトラッキングナンバーが送られてきたのです。その間1週間です。おそらく、海外発送に慣れていないのでしょう。送ったは良いものの危険物扱いで戻ってきてしまい、1週間後にUPSで送付してきたのではないかと推測します。そして今度こそ、とトラッキングナンバーで検索したら無事に到着したのです。で、届いてびっくり。


送料は40ドル以上かかってました(汗)


向こう側も良い勉強になった、ということなのかもしれませんね。もちろん送料は計算されていませんでしたよ♪
そんな海外から届いた新しいブランドの香りたちを簡単にご紹介したいと思います。

■Sweet Grass

カキーンと青いグリーン系の香りにアップルリーフというよりもグリーンアップルのようなフルーティーさが仄かに漂うすっきり系。グリーンノート、アップルリーフ、ミント、グレープフルーツを使用。いわゆるグリーンティー系の香りの中のパウダリーさ、お茶っぽさを青葉っぽくした感じです。ミントはごくごくわずかなアクセントですがきちんと役割を果たしており、すっきりと爽やかな香りになっています。全体のイメージはとてもシンプルですので、やはりレイヤリングでグリーンノートをプラスしたい時に使えそうです。グリーンアップルっぽいフルーツはそこまで尾を引かず、ミドル以降は微かにローズっぽいグリーンノートになっていきます。

■Unspoken Murmur

声にならないささやき、ざわめきというようなタイトルで、核となっているのはジャスミン、ライラック、ローズ、ヴァイオレットというクラシカルなフレグランスに必須な4つのフローラルです。このブランドの中でもランドマーク的な位置にあるそうです。香った瞬間はとても甘くてアパレル系にありがちな雰囲気を湛えているのですが、ものの5分で甘さが落ち着き、なんと生花っぽいライラックが顔を出すんですよ。青さも甘さもあって生花そのものではないにしても「ライラックっぽい花らしい花」の雰囲気を楽しめるようになります。この花の中にきちんとライラックを感じられる方はとても好きになりそうなフローラル。(香り方によってはガーデニアっぽくも感じます・・・)


■Brilliant Garland

光り輝く花冠をタイトルとした香りで、 ガーデニア、フリージア、ジンジャーリリーを核としたフローラルブーケ。ガーデニアの再現にはグリーンノートが必須ということを忠実に再現したようなグリーンフローラルで、物凄くすっきりすっきりとさせたジンジャーリリー系のガーデニアです。(伝え辛いなぁ・・・)じーっと香っていると鼻の奥の方でガーデニアっぽさを捉えることが出来るのですが、そのガーデニア香を捉えることが出来たらこの香りが好きになると思います。イヴロシェのようなガーデニア香が中に潜んでいますから。ただ、全体としてはすっきり系のホワイトフローラルブーケになっています。上の二つとも相性は良いと思いますよ。


■Dusk

黄昏時、憂鬱などを意味するタイトルで、1本くらいはメンズを・・・と4種の中からチョイスした香りです。オレンジ、マンダリン、ブラックカラント、ブルガリアンローズ、アイランドジャスミンを核にミステリアスな男性像をイメージしているようです。香りはシナモン、クローヴにベチバーと少しアクアノートを足したような香りで、フローラルはトップではほとんど分かりません。スパイシーウッディという言い方が良さそうな香りなのですが、香りは秋らしいというよりもフレッシュです。これだったら年中使えそうだと思わせてくれる軽さの香りで、スパイスの中でも1番強いのはシナモン。


こちらのブランド自体は精油感たっぷりで上質なもの・・・というわけではありませんが、洗練されたキレイさがあります。精油感の少ない澄み切った系統としてジョーマローンやケイコメシェリなんかのイメージと似ていますので、それぞれのブランドの「さっぱりとした香りたち」がお好きな方は要チェックだと思います♪

■Le LABOのワークショップ

12/6〜8日、Le LABOの創設者の1人であるEddie Rosci氏が来日していました。6日は伊勢丹にて、7日は代官山にて顧客に、8日は同じく代官山にはプレス対象のワークショップを展開していたのです。今月3日に日本限定で発売されました「ガイヤック10」のプロモーションのための来日です。僕は7日の午後に参加させて頂いたのですが、個人的にはシャネル展よりもゲラン展よりも楽しかったです。やはりワークショップという体験型、という部分が大きかったことと、香料他の情報開示しての解説があったことが大きいでしょう。シャネルは初心者向けな幅広いイベントでしたし、ゲランは史料価値のあるものでしたので、それぞれに良さはあったと思いますが。簡単に当日のワークショップの流れをご報告しますと、

1、Neroli36が作られるまでの過程を解説
・成分表の開示、
・何故ネロリなのにマリンノートなのか(雨続きのパリで思いついた真夏の海の香りを、太陽の陽射しをネロリとして表現したもの)
・500〜3000回のテストを実施し、 ジャスミン17は3000回テストした、
・嗅覚麻痺に コーヒー豆は逆効果。休ませるのが1番(僕と全く同じ考えです)
・調香師は今やPCで配合を決め、その配合に沿って担当のブレンダーがサンプルを作る
・3000種の香料のうち常時使うのは500種くらい

2、Rose31の香料比較
・ローズオイル(ブルガリア産)→酸味が強くて僕は好き。Rose31には3種の天然香料のローズと合成1種の4種を使用している
・ローズセンティフォリアイ(グラース産) →少しモスっぽいローズだけど時間と共にどんどんキレイになっていく
・ムスクA→スイートタイプのもので仄かに甘い
・ムスクB→アニマリックとのことですが、パウダリーウッディ調でそこまでアニマリックには感じず
・フランキンセンス→精油そのものと実物とは違う不思議な香りでした。ユーカリっぽいウッディ調のフランキンセンス
・クミン→カレーのスパイス
・Guiac 10
・Rose 31
・シナモンとシトロネラ→重ねるとコーラっぽくなるよ、というもの

数人に1人はムスクの香りを感じないそうなのですが、高濃度になっていたのか明らかに香りがわかるものでした。なかなか成分を香りながら解説していただけるワークショップなんてないので、とても楽しいひと時でした。新作のGuiac 10なんか10種の香料のうち8種の香料名と配合分量のフォーミュラまで公開していただけて。ワークショップが終わった後、「日本で発売するならば、もっとトップノートに爽やかな香りを、そうごく少量のミントとか柚子のようなシトラスがないと売りにくいよ」と言ったら「トップノートないんだよね〜」と・・・。確かにウッディの香りはとても良いのですが、香りが好きなことと使いたいかどうかは別物ですよね。アンブレット9、ラブダナム18、新作のムスク25に日本限定のガイヤック10・・・全てどっさりとムスクが入っているのはどうしてなのかとお聞きしたら、「僕らのシグネイチャーセントなんだよ、ムスクが」とのこと。彼自身がどの香料よりもムスクが大好きなのだそうです。しかも、少しアニマリックなムスクが・・・。嬉しそうに合成香料を持って来てくれたのですが、少しアンバー調のムスクでした。いろいろと話をしている中で僕がPalazzo Vecchioの正規代理店をしている流通業者だという話をしていたらなんと彼がオフィスに遊びにくるということに!!


■オフィスにEddieがやってきた♪

本当は11日だったのですが、当日の午後になって予定が変わったからと突然10日にやってきたEddie氏。元上司だというフランス人女性を同伴に高円寺にご到着でした。Eddieはもともとアルマーニ内でフレグランスの開発に携わっていたこともあり、アルマーニが大好きだというPantelleria島はご存知でした。でも、香りは知らなかったご様子です。フランス人女性の方はコスメ・スキンケアラインの開発に携わっていたそうです。香料や花、植物に樹脂、種など本物の素材、香料、そしてそれらを使った香水・・・と流れで揃っていることに驚嘆していましたが、何よりもそこまでマニアに掘り下げているのが日本人であったことに驚いていました(汗)

Eddie自体は在住のParisに本店があったり売られたりしているもの以外の小さなパフューマリーはご存知なかったようです。Nez A NezやEtat Libre d'Orangeはご存知でしたが資生堂のノンブルノワールを知らなかったというのがショックでした。Luca Turinの書籍を読んでいないということですよね。(再会するのに20年かかった幻の香りと表現されています) 彼自身は香料会社にいたこともあって香料自体は詳しいのですが、さすがに日々増え続けるブランドと香りについてのマーケティングは行っていないような印象を受けました。逆にそれをし続けている僕が余程珍しかったのだと思います。ということで、香水開発者もびっくりするほどマニアな温床であるということが証明された我がオフィス・・・なんであります(笑)

当日、たまたま偶然にもチュベローズが香りを放って咲いていましたし、ヘリオトロープも満開でした。途中で、僕が用意した木の芽、柚子、カボス、ミョウガ、シソを実物で香ってもらったら、インスパイアされたのかコスメラインにひらめいたのか真剣に話し込む、なんて場面も。僕かこれから行おうとしている調香体験セミナーにも興味を示してくれたりも。Eddieが来ると知って慌ててミニチュア畳をご持参下さった友人、通訳をお願いした友人、計5人でわいわいと話つつ2時間半ほどを楽しく過ごしました。(右は通訳下さった方の愛犬ジョナサンと遊ぶEddie氏)

海外の本店で買い物をしたり、展示会等でオーナーさん、創設者の方々とご挨拶させていただく機会はわりとあるのですが、わざわざオフィスにお越し下さった方は初めてでした。

■判断は飽くまでも消費者であるべきです。

先月のメルマガでご紹介しましたLuca Turinの「世界香水ガイド」をやはり購入してしまいました。僕は他人の評価は気にしませんし、あまり興味はなかったのですが、やはり読んでおくことに意味があると思って手にしたのです。結果から言いますと「買う価値なし」です。この書籍を書くにあたり、各ブランドにお願いをしてサンプルを取り寄せたそうです。その他はなんとアメリカで有名な香水コミュニティの皆さんからサンプルを頂いたんですって!!更に更に情報源はNow Smell This(アメリカの有名な香水ブログ)だというから驚きです。とてもガイドとは思えない内容な上に、「専門家」と言う高い目線からバッサバッサとこき下ろして切りつけただけの言葉の羅列でしかありません。

例)ディプティックのDo Sonは「自称チュベローズ」、マークジェイコブズのブラッシュは「ミニマリストのジャスミンで、美しく決めたくない時用」、クリードのAmbre Cannelleは「安っぽくてけちくさいオリエンタル」、フルール・ド・テ・ローズ・ブルガリに至っては「世の中には頭がからっぽのフローラルが大量に出回っているが、その代わりに使うには最適だ」と言いたい放題です。

Luca Turin氏ともう1人女性と2人での執筆なのですが、彼女はもっと酷くて言わばmixiのコミュニティ内で小分け交換をしたものを数百種レヴューしている、というだけのライターさんなのです。そんな人日本にだってたくさんいますよ。その彼女もやたらと高飛車な視点で書き連ねているわけです。サンプルの提供を拒否したというブランドが多かったというのも納得です。読めば読むほど不快になる記述ばかりで飛ばし読みすら出来ない始末でした。もちろん彼自身は化学者としての知識がありますから成分についてはとても詳しく理解しているのですが、読み手に分かりやすく伝えるという能力がありません。読み手の元まで言葉を噛み砕いてくれていないのです。これではマニアが言いたい放題書いただけの独りよがりな独り言でしかないんですよ。彼は小分けでかき集めた香水ばかりだからかボトルも作り手の意志もストーリーも全く知らずにレヴューしています。ブランド名や商品名の間違いが多いのも小分けでもらっただけでボトルを見ていないからなのです。(Palazzo VecchioのネパールのアンバーはIl Profvmoとして記載されていますし、La via del Profumoはプロフーモイタリアなんて言うドメイン名になってしまっています・・・)僕は常々言っているのですが「悪口を言うのは小学生でも出来ること」なんですよ。彼の態度と姿勢はミシュランで言うと「全てのお店の料理を一口ずつデリバリーで食べている」のであって「お店に足を運んでいない」のです。全商品のレヴューがあるブランドはサンプルを提供頂いたもの、数種しかないブランドはブランド側が拒否した可能性が高いです。(ほとんど拒否されているようですが)

中身については確かに苦手なブランドをこき下ろしていたりすると気持ちがスカッとしたりもしますが、好みもわりと似ているようなんですよ・・・。僕と彼の意見が一致しているものも多々ありますが、それは一般の人々も同じ意見のはずです。(ルタンスのシェーヌを鉛筆削りと表現した箇所とか)

僕が敢えて彼の書籍を五つ星で表すなら、価値なしの1つ星です。(彼の書籍のように、意図的にこき下ろした意見をまとめましたので、こちらの書籍を楽しく読まれていらっしゃる方にはお詫び申し上げます・・・)


■精油を求めて

上の書籍は散々でしたけど、こちらはおススメの書籍です。お金と時間にたっぷりと余裕のあるライターの女性が自分自身の香りを作りたくて旅をするストーリーです。イギリス生まれの彼女はイギリス国内の調香師の下を訪ね、香水とは何かを知ることから始まります。成分を知ればしるほど本物志向が高まり、調べていくうちに高みを求めるようになる様子は、アパレル・ファッションブランドの香水から抜け出してニッキアフレグランスを求める人々の様子と重なります。彼女はお金と時間があったからこそ現地へ出向くことが出来たのです。

香りに関しての全くの初心者がたどり着いた精油の産地の現状。そしてそこで分けてもらった精油についての率直な感想。全くの初心者が集められうる限りの知識をかき集めて勉強していく様子は目をみはるものがあり、僕の基本姿勢とも繋がります。彼女はまだまだ荒削りですからブランド名が違っていたり、幅広く香水を知らないために間違った記述もあったりしますが、そこはもう初心者スタートというご愛嬌です。マニアから見た細かい指摘に過ぎませんので、こちらの書籍は「えぇ〜、あの人に会ったの?」とか「そんなところに言って見たい!!」とか純粋に彼女を通して香りの旅の疑似体験が出来ればそれで十分価値ある書籍だと思います。本当に羨ましいの一言です。

※proficeでは書籍についてもまとめて欲しいという意見を頂いておりますので、簡単に・・・ですが上記のように書籍レヴューも来年には準備したいと思います。

■メルマガ購読者限定セール♪

今年のクリスマスのために?わずかばかりではございますが、PROFUMERIA NICCHIAの方でSaleを行いたいと思います。開始はこのメルマガが配信されたと同時です。ただ、アドレスはこのメルマガにしか記載されていません。今回はクリスマスにぴったりなTauleto Wine Fragranceのキャンドルと、Profumi di Pantelleriaのフルボトルを数本のみという極わずかな商品です。どちらも使用に関しては全く問題のない商品ですが、正規販売には相応しくありませんのでメルマガを購読されている皆さまに限定、ということで発売させて頂きます。

Tauleto Wine Fragrance Candle

定価 → 11,800円(税込み12,390円) 
4割引 → 7,080円(税込み7,434円)

画像のようにキャンドルの制作時に完全に固まる前に寝かせてしまった様子で、斜めになってしまっています。傾いてしまっているだけのお品ですので、中身等は全く販売商品と変わりありません。■購入はこちら
Profumi di Pantelleria

定価 → 17,000円(税込み17,850円)
3割引 → 11,900円(税込み12,495円

こちらは文字がかすれてしまっているもの、箱の下部が破れてしまっているもの、ボトル傷というのはボトルの製造時にゴミ(おそらくインク)が付いてしまったまま固まってしまったもの、小さな浮遊物があるもの・・・等になります。浮遊物は結晶化したものではなく液体を注ぐ際に入ってしまったと思われる小さなゴミです。(ひとつひとつ手作業であることも要因なのですが・・・)■購入はこちら

数は大してありません。Profumeria Nicchiaのショップの方でも告知をしておりませんので、メルマガをご覧下さっている方々優先の発売です。(あまり盛大に販売したくありませんし・・・)

銀行振り込みのお客様は22日までにお手続きいただけましたらクリスマスに間に合うように発送させて頂きます!!クレジット、代引き等をご利用のお客様は翌日以降のご指定日を明記下さいませ。(出来る限り早い日程でお届け致します)

また、来年1/19を持ちましてPROFUMERIA NICCHIAは2周年となりますが、2周年を期に(1/16より)円高ドル安を還元ということでProfumi di Pantelleriaを値上げ前の価格に修正致します。修正後は 定価15,500円(税込み16,275円)となりますので、どうぞ宜しくお願い致します♪今後、円安ドル高が進むようでしたらまた適正価格が上がる可能性がございますことを、予めご了承下さいませ。また、Palazzo Vecchioに関しましては10月にアメリカで10ドルの値上げがございましたので、現在の価格が適正価格となっております。

■国内発売の新作ニュース

今月が新作やクリスマスコフレなどの発売ピーク月間ですので、来月はガタッと新作が減ります。12/5にジルスチュアートからは可愛らしいスウィートドリームスが発売になったり、13日にはフェラガモのインカントシリーズの新作が日本先行発売となったり。ブランド側も日本をターゲットとしたYoung Collection lineだと言っていますのでティーン向けということで新発売。来年になると16日には毎年の免税店限定シリーズとしてジバンシイからマイジバンシイが発売されます。こちらもターゲットはティーン世代。大人をターゲットとしたものはシャネルからココマドモアゼルシマリングタッチが発売されるくらいでしょうか。

更にその先へと進むと2月は4日にBond No.9のアンディウォーホールのレキシントンアヴェニュー、11日にエスカーダの毎年の限定品オーシャンラウンジが、12日にはロクシタンからピーチブロッサムが、18日にはブルガリのオムニアグリーンジェイドとランバンのジャンヌランバン(可愛らしい香りでした)が、20日にはジバンシイのジャルダンダンテルディ・スウィートウスィングという香りがそれぞれ発売となります。全て先行発売があったり並行品が先に出回るでしょうから来年には早々にお目見えするかもしれませんね。発売日未定でドルチェ&ガッバーナのEau d'Oneなんかも発売となります。こちらはThe Oneのライトバージョンでイメージはなんとなくレモンクリームというかマドレーヌというかシュガーな甘さの可愛らしい香りでした。

新作情報はひとまず終了で、密かに日本上陸していたブランドを2つご紹介です。1つはHistoires de Parfums。ブランドについては以前のメルマガでご紹介しておりましたが、全種類の香りが表参道ヒルズの2階にあるショップにお目見えしていました。120mlの1サイズで2万円を超えていますので、なかなか買うのは勇気が要りますが、試香だけは自由に出来ます。(以前は30、40mlがありましたがリニューアル時になくなりました。)リニューアル前の価格が同じ香りで90ユーロだったことを知っている僕はなかなか手が出ません・・・。さらにこの香水を取り扱っているEditionの丸の内店にはEscentric Moleculesが日本発上陸しています。合成香料に焦点を当てた微妙な香水ですが、香りよりもデザイン(ヴィジュアル)重視の方にはインテリアとして良いのかもしれません。

もう1つ、日本上陸をしている製品があります。こちらはLinaliというブランド。ファブリックブランドでもともとディフューザーとかルームフレグランス、キャンドル等を手がけていたブランドですので、アンティカファルマチスタ等と同じです。ドイツブランドなのに何故かタイトルはイタリア語でフランス製です・・・。しかも輸入元はフィッツコーポレーション・・・。

1、Vista Sul Mare

Egon Oelkersが手がけた「海の眺め」というタイトルの香り。 (日本語タイトルは「海の景観」)

トップ:ベルガモット、グレープフルーツ、レモン、タンジェリン、グリーンノート
ミドル:スパイシーオイル、レッドベリー、ジュニパーベリー、パッションフルーツ、スズラン、ローズ、カーネーション
ベース:シダー、パチョリ、モス、アンバー、ムスク

2、Eleganza Luminosa

上と同じくEgon Oelkersが手がけた「エレガンスな輝き」というタイトルの香り。 (日本語タイトルは「まばゆいエレガンス」」)

トップ:ベルガモット、レモン、オレンジ、グリーンリーブス
ミドル:スズラン、フリージア、ローズ、ジャスミン、アイリス
ベースシダー、パチョリ、サンダルウッド、アンバー、ムスク

3、Notte Bianca

Mark Buxtonが手がけた「白夜」というタイトルの香り。(これは何故か「眠らない夜」というタイトルに)

トップ:ピンクグレープフルーツ、スターアニス、バジル、ベルガモット、オレンジ
ミドル:アブサン、クローヴ、セージ、カシミアウッド、ホワイトウッド
ベース:ベチバー、ムスク、トンカビーン、アンバー

4、Angelo Di Fiume

上と同じくMark Buxtonが手がけた「Angel of the River」と言うタイトルの香り。(河の天使と訳してはあんまりなので英語にしたのですが、日本発売タイトルは「小川の天使」だそうです・・・)

トップ:ワイルドチェリー、ベルガモット、ラズベリー、オレンジ
ミドル:イランイラン、ジャスミン、スイートミルクアコード、ローズ、カラメルアコード
ベース:バニラ、サンダルウッド、パチョリ、ムスク、シャムベンゾイン

パッと調香を見た限りでは可もなく不可もなく・・・ファブリックブランドの延長か・・・と思ったのですが、微妙なラインのユニセックスになってそうで、4番目はベリー系にミルクという珍しいグルマン系です。価格は100mlのEDPが140ユーロとフレデリックマル並みの高価格で、日本での発売価格も26,250円だそうです。果たしてその価格に見合う価値ある香りなのかは皆さんどうぞ、お試しを♪(東京と名古屋のBalsで発売中)


■はみ出しトピック

12/4よりクリスマスまで、スイスのTauer PerfumeAndyさんのブログの方で毎日プレゼントを行っています。クイズや質問に答えて書き込みをすると抽選で毎日商品が当たるというもので、初日はなんとフルボトルとサンプルのセットでした。(超豪華)参加されている日本の方もいらっしゃいますが、その中でひときわ目を引くのがサンプルでしか配布されていない「Une rose chypree」の香りが気になって気になってしょうがなかったのですが、商品を購入したらサンプルを送ってくれました!!

■Une rose chypree (発売未定)

シプレベースのオリエンタルローズで、もともとは12/14にスイスで開催されるイベントで配布するために作っていた香りです。イベントに行ける方は良いなぁ・・・と思っていた香り。

2種のダマスクローズアブソリュート、レモン、ベルガモット、ベイリーフ、シナモン、ブルボンゼラニウム、ラブダナム、オークモス、パチョリ、ベチバー、バニラ

もう、どっしりとダークなパチョリローズです。 基本はパチョリ系ローズなのですが、そこに畳み掛けるようにオークモスが香ります。付けてしばらくするとシナモンが出てきてシナモン系ローズとなるのですが、ミドル以降はゼラニウムが強く出てきてベースのレジン系ノートもパチョリも隠れるほどです。とてもふくよかでしっとりとしたローズの香りなので、是非正規の製品として発売して欲しいところ。・・・そんな香りをうちの相棒はシナモンを強く感じ取ったのか「ばぁちゃんの飴の香りがする」と一刀両断!!(笑)

■調香体験セミナー開催に向けて

香りのオフ会を休止して行うことになりましたのが調香体験セミナーです。60〜70種の天然香料と調合香料を組み合わせて作る15mlの手作り香水。ひとつひとつのエッセンスから組み合わせまで簡単にご説明し、初心者の方でも十分楽しめる内容となっています。オフィスでのセミナーと同時に横浜でも日本カルチャースクールの方で講師として活動することとなりましたので、そちらでも別のセミナーを行っていく予定でおります。共に内容が確定次第、順次proficeにて告知していきたいと思いますので、どうぞ、宜しくお願い致します♪

■プレゼント (3名様)

今回はクリスマスが近いということでやはりクリスマスをイメージした香りたちにしたいと思います。5種の香りの他に、試されたいご希望の香りを加えて計7種。(約1.5ml×7種)

1、GuerlainのL'instant de Guerlain Eau de Noel (アイリスを使った2005年のクリスマスバージョン)
2、GuerlainのAqua Allegoria Winter Delice (クリスマスのリースをイメージした香り)
3、Parfum de RosineのRose de Feu (暖炉の前にローズを生けたテーブルがあるクリスマスの風景)
4、Eau d'ItalieのSienne l'Hiver (クリスマスの教会のイメージ)
5、CaronのNuit de Noel(EDT)

+ profice内よりご希望の香り2種(サンプルレヴューの香り及び販売商品は除く)

応募はこちらから。(木曜日正午締め切りです→締め切りました)
profice SNSにご参加くださっている皆さまは、SNSのメッセージで頂いても結構です♪
今回も随分と長くなってしまいましたが、お付き合い下さいましてありがとうございました ! !

 

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