*Log in
 *Log out
 *My account

| Top | Books | Topics | PMF | Q & A | Making | Essential | Perfumers |  PRESS |
  

■The Scent of Excellence

 

 

結果として、270のブースが出展し、6,000名が来場したそうですが、可哀想なほど全く人の立ち寄らないブースと、常に大人気のブースがあります。Filippo Sorcinelliのブースは連日大人気で、スタッフたちは声を枯らして頑張っていました。彼のスタッフは随時入れ替わっており、今までOnyricoにいた友人が今年は彼のスタッフとして加わっていて驚きました。

 

 

Filippo Sorcinelliがコロナ禍に発売した香りはたくさんありますが、3種の霧の香りに続いて発売されたのは3種の雨の香りでした。都会にふる雨、海辺に降る雨、そして森に降る雨。今回はボトルにしずくがデザインされています。

 

 

展示会で公開された新作として、SuperFluo Collectionという名前で、彼のボディラインに連動した香り、Luce dei Cuori (心の光)とDolcissimo Sollievo (最高に甘い心地)があります。この2つは価格も控えめにして、今までと違う若い世代へアプローチしたいそうです。だからボトルもシンプルですが、手仕事で染められています。この手仕事は全てスタッフたちによるものなんですよ。彼らはスタッフでありチームであり、ファミリーのようなもの。

 

 

そして、Art and Sharing Collectionとして公開されたのはLux Visioneriaという香りでした。(画像の左端)これはメキシコ系アメリカンジャーナリストで、現在はカナダで活躍しているというBianca de la Garzaとのコラボ品です。彼女の名前からボトルはホワイトとなり、光をテーマとしたキラキラとしたパッケージに、キャップにはアメジストがあしらわれました。パッケージの4辺は切り離して額装し、4連で飾って楽しんでくださいとのこと。どうして彼女とコラボすることになったのかというと、彼女がローマをテーマとしたドキュメンタリーを作るために取材していた中で彼に出会ったからだそう。Filippo Sorcinelliは24日の本日にローマ店がオープンとなるのですが、そのタイミングでローマ店で発売される最新作も用意しています。それは、彼にとって神学校時代の思い出の香り。驚くことに神学校では付けて良い香りが決まっていたというか、全員同じ香りを使っていたのだそう。それはベタベタとした甘い香りでエンジェルと呼ばれていたそうですが、それを使っていた人たちが織りなす残り香。それを香りにしたのです。フランキンセンスをメインに何とも男性肌のセクシーな香りでしたよ。展示会4日間のうち3日間は彼のイベントに参加し、すっかりFilippo Sorcinelliに浸かったミラノでした。

 

 

展示会へは初参加ではないものの、初めて立ち寄ったのはギリシアのManos Gerakinis Parfums。彼はFiFi賞のファイナリストにノミネートされたことで話題となりました。ボトルも幾度かのリニューアルを経て現在のスタイルに。10mlが45〜60ユーロ、100mlは180〜220ユーロ、ディスカバリーセットは40ユーロ。後日レヴュー予定です。

 

 

Atelier des Orsからは想像していなかったリヴィエラコレクションの新作が公開となりました。てっきり次はレッドボトルだろう、などと予想していたのですが、今後の可能性としてはなくもないと顔を合わせて大笑い。印象としてはBlanc Polychromeに近いシトラスウッディムスクでした。

 

 

シトラスと言えば、日本にも国産品種がたくさんありますが、イタリアにはChinotto(キノット)と呼ばれているシトラスがあるのをご存じでしょうか? キノットは苦味のある小型のシトラスで、Abatonではこの果実を使用した香り4種が発売に。

 

 

何よりも可愛らしかったのはこちら。これ何だと思いますか? ボディクリームなんです。ソープではなくボディクリーム!!

 

 

初めましてとご挨拶させていただいたのは、試してみたかったAtelier Materi。全7種で最新作はRose Ardoise。100mlのEdPが220ユーロでサンプルセットは30ユーロとなっています。後日レヴュー予定です。

 

 

MoresqueThe House Of Oudを展開しているHIC Beautyからは新たなブランドとしてNew Notesがスタート。全7種で、50mlのExtrait de Parfumが160、 170ユーロで発売に。後日全てレヴュー予定です。

 

 

昨年秋のPitti Fragranzeで初お目見えしたのはコロンビア人によるスペインブランド、Mutis Nueva Granadaです。 ボトルには石を模したキャップががっちりと付いていて、少しミステリアスな雰囲気を漂わせています。こちらも後日レヴュー予定です。

 

 

ゆっくりと、ゆっくりと1つずつ香りをリリースしているRubini。Andrea Bissoli Rubiniにとっての3つ目の香りも調香はCristiano Canaliで、今回はTazio Giorgio Nuvolariという伝説的なイタリアンカーレーサーがモチーフとなりました。50mlのExtrait de Parfumが175ユーロで発売に。2つ目、3つ目の香りを後日レヴューします。

 

 

とてもユニークなフォルムで勢いよくスタートしたのはポンペイのAgatho Parfum。とてもユニークなオリジナルキャップを手作りしているのですが、価格は275〜305ユーロと高級品。まだプロトタイプだというニューラインも披露されていたのですが、これが石膏というより石に近いパッケージで、それだけで1kgほどありそうな重厚感でした。輸送には向かないけれど、アートとの融合のよう。

 

 

完全なプロトタイプだった2種はクジラの尾がキャップに取り付けられていました。これもハンドメイドです。まずは現行品の7種を後日レヴューです。

 

 

今回試してみたいと思わせてくれたのは27歳の幼馴染だというスイスの若者二人がスタートさせたPernoire。調香はYs Uzacを手がけているVincent Micottiが担当で、50mlのEdPがなんと250スイスフラン(3万円)でスタートです。かなり強気ですよね。サンプルですら10スイスフラン(1,230円)ですから。でも、こうした若者たちはとにかく応援したい。

 

 

こちらも初めましてとご挨拶したFUMparFUM Creative Studio。Aistis Mickeviciusが2011年からスタートしたリトアニアのブランドです。Botanist、Charlatan、Black Aldhemistという3種のラインがあり、Botanistは15、75mlが75、165ユーロ、Charlatanは7.5、15、50mlが35、65、150ユーロ、Black Aldhemistは30mlのExtrait de Parfumで135ユーロ。一番ユニークな感じられたCharlatanの10種を後日レヴュー予定です。

 

 

あれ? すっかりイメージが変わった。Genyumはボトルもキャップもリニューアルをして、とてもモダンなデザインとなりました。最新作のActorと、調香を変えたというSculptorを再レヴューです。100mlのEdPが155ユーロです。

 

 

Coreternoすでに日本上陸を果たしていると知ったのは展示会でのことでした。ローマ生まれのMichelangelo BrancatoとFrancilla Ronchiによるブランドで、NYでヒットをしての凱旋帰国。昨年秋のPittiでも人気となり、イタリア国内でも売れているそうですよ。彼らの世界観はとてもアメリカ的ですが、そこにイタリア風のゴシックを取り入れたことが話題となったのでしょう。100mlのEdPが139ユーロで、京都のセレクトショップPermanenteでは20,900円。今のレートならば妥当です。サンプルセットは30ユーロ、3×10mlのトラベルセットは72ユーロで発売に。若かったからこのブランドのTシャツ着ていたと思います。85ドルですから。

 

 

残念ながらわずか2年で大同での取り扱いが終了してしまったAngela Ciampagnaは、アトリの街を抜け出し、スペインのカナリア諸島、テネリフェへ移住しました。そこで新たにスタートさせたのがLabelという重ねて使えるカジュアルライン。50mlのEdPが75、105ユーロとお手頃でサンプルセットは22ユーロ。彼らが移住を決意したのはおそらく税金対策でしょう。イタリアで個人事業主は収入の半分も所得税を納めなくてはならないのです。あまりに高いため、住民票をスイスに移し、北イタリアで生活している人もいるほど。

 

 

アメリカのNomenclatureからは、日本人にぴったりなNew Lineが登場。 可愛らしいフォルムのボトルは75ml。既存のラインは合成香料に焦点を当てていますが、こちらはそうした制限をなくしたZ世代に向けた香り。とてもフレッシュで若々しく、日本人にぴったりです。30mlもありましたよ。

 

 

Pierre Guillaume Parisからはホワイトコレクション3種が公開に。事前に発売されていたOshisoとIntime Extimeに加え、Guy LarocheのFidjiにインスパイアされたというトロピカルシプレなDialogue With Venusも公開に。

 

 

Pierre Guillaume Parisでありがたかったのは、オフイシャルサイトと限られた店舗での販売となっているContemplationライン全てを試せたこと。彼がきっと君はこれとこれが好きだよね、と言われた2つはその通り。好みを把握してくれているのはありがたいことです。

 

 

オランダのYvra 1958 からはコロナ禍に作られたというL'Essence de Distanceが発売となっていました。逆手にとったタイトルですが、距離を取るという香りはシベットを使用したスモーキーでアニマリックな香り。パッケージの底にはシベットが描かれていて笑ってしまいました。これは楽しい。そして僕は好き。

 

 

残念ながら前回の2019年にはサンプルが間に合わずレヴューできなかったトルコのRegalienからは新たにHeritage Collectionとして5種が公開に。50mlのExtrait de Parfumが190ユーロですが、品質がとても良くラグジュアリーです。前回公開されたLucky Collectionと共に後日レヴュー予定です。

 

 

Perfume.Sucksからはコラボフレグランスが公開に。でも、それ以上に気になったのは彼が次の一手として顧客を育てていこうとしていたことでした。顧客は世界共通ですから、裾野を広げていくことが業界全体の展望です。まずは天然香料のキットで、その後は合成香料のキットで。クラスを展開していくそうですよ。

 

 

あれ? Jeroboamにこんなに大きなサイズがあったっけ? 100mlが登場していました。100mlからスタートして小さなサイズを後日発売するブランドが多いのですが、彼らは逆です。

 

 

Simone Andreoliからはマリンノートではない真夜中の月の海が発売に。今までのマリンノートとは少し違うマリンノートを使い、ミントを入れてアロマティックに夜の海を表現しています。ミントやユーカリを使うのは近年のスタイルですね。

 

 

Une Nuit Nomadeからは、2019年にAmbre KhandjarとJardins de Misfahが、2020年にNothing but Sea and Sky、2021年にSun BleachedとClick Song。5つも増えていました。それぞれのイラストがムエットとなっていて、見た目にも楽しいラインです。後日レヴュー予定です。

 

 

Parfumeurs du Mondeは2021年に7種が追加となり、ボトルもリニューアルをしてモダンなスタイルに生まれ変わりました。天然香料だけでどこまで作れるのか、という挑戦にBertrand Duchaufour氏やNathalie Feisthauerさんなど、著名なシニアパフューマーも参加されています。これはもう試すしか!!
それにしても、傾けるだけでこんなに可愛らしいデイスプレーになるという驚き。

 

 

J.F. Schwarzloseからは往年のFougereをモダンにした香りが公開に。すでに発売されている新作ですが、今年はMasque MilanoもFougereを新作としていますし、他のブランドでもFougereの再解釈が見られました。他にはVetiverをテーマとした香りが目についたのも今年の感覚です。

 

 

まだテスターのみでサンプルもないという届いたばかりの最新作はRosa Centifoliaでした。秋以降の発売だそうですが、この香りが展示会の中の香りでもひときわ印象に残っていたのは、ローズが全くフェミニンに香らず、とてもクールに感じられるユニセックスなローズだったから。

 

 

Maison Incensからは音楽と関連付けたOsmanthus de Vieが公開に。発売はまだ先のようですが、エナジーを感じるエッセンスを詰め込んだそう。

 

 

Masque Milanoはコロナ禍でMilano Fragranzeというニューラインをスタートさせました。これはミラノに実際にある場所や物など、とにかくミラノを感じさせるエッセンスをタイトルやモチーフとした香りです。最新作はPiazza Affariという実際にある広場がタイトルとなっていたのですが、そう言えばこの香りもFougereでした。

 

 

そして、今回満を持して参加となったのはCristian CavagnaのAdjiumi。彼は長くイタリア国内のフレグランスファンのコミュニティを運営しているのですが、その中でみんながどういう香りを欲しがっているのか聞いて、グルマンを2種発売しました。このグルマンが恐ろしく高品質なグルマンで、チョコレートとバニラの2つの香りは、チョコレートというよりカカオ、バニラはバニラアブソリュートを本気でたっぷりと使用した渋めなテイストでした。これは間違いなくリッチです。50mlのExtrait de Parfumが138ユーロで発売に。

 

 

Adjiumiを展開すると同時にCristian Cavagnaは自身のラインもスタートさせました。早々に世界展開しているほど人気となった香りは、デザインが素晴らしいから。チュベローズをテーマとした香りを7種予定しており、その中の3つ目の香りが公開されたのです。最初の香りはバナナリーフ、つまりグリーンノートを効かせたチュベローズ、2つ目は蛇をモチーフとしたアニマリックなチュベローズ、最新作は巻き貝をモチーフとしたマリンなチュベローズでした。でも、このマリンノートはやはり2000年代のものとは違い、もっと塩っぽく鉱物的なマリンでしたので、とてもモダンな香りでした。残念ながらサンプルの用意はありませんでしたが、後日送ってくれるというので、本当に送ってくれたら届き次第レヴューしたいと思います。100mlのExtrait de Parfumが195ユーロで発売に。

展示会にはまだまだ新しいブランド、老舗ブランドの最新作などご紹介しきれないほどの数がありましたが、立ち寄るか立ち寄らないかは内容次第。最初からバツ印を付けられたブランド、誰も立ち寄らないブランドには何かしらの理由があるものです。ブースに立ち止まって貰えないと、香りを試して貰うことも知ってもらうこともできません。興味を持ってもらうにはどうしたら良いのか。手にしてみたい斬新なボトルにする、写真を撮りたくなるような人たちを配置する、インフルエンサーたちにより事前に情報を一斉配信する、などなどいろいろありますが、オーナーの皆さまの人柄が一番人を惹きつけているのは間違いありません。Part 3は展示会に出展していないけれど、来場していた友人たち、参加したイベントなどについて記載したいと思います。

(24/06/2022)

 

 

<profice fragrance magazine Topに戻る>

profice〜香水のポータルサイト〜