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■The Scent of Excellence

 

 

9か月という今までにないインターバルで開催された13回目の展示会。前回の不評過ぎた部分は改善され、全体的にブースは余裕のあるつくりとなっていました。また、順路に従って固定されていた導線も自由に往来が可能なように変更されていました。そうでないと、一番奥のブースに人がたどり着くまで1、2時間かかってしまうのです。参加社は更に増えたのですが、その分あまり価値のないブランドも多く混じるようになり、全体としての質は少し低下したような気がします。そして、その人の多さに辟易したブランド、顧客を絞り込みたいブランド、参加費が高いと感じたブランドなどは、外部のホテルなどてブース出展をしていたことは、今までと変わらないスタイルです。

 

 

どうしても参加者たちは順路に従って動きたがるもの。でも、広い会場ですから空いているブースから攻めるのが正攻法です。でも、さすがイタリア、というか海外です。スタート時に間に合っていない出展者たちが結構多いのです。10時という時間は決して早くはないと思うのですが。まず、正攻法でたどり着いたのはFilippo Sorcinelli のブースでした。Filippoがいなかったのは遅刻したからではなく、外部でインタヴューを受けていたから。彼はローマ法王の衣装を担当しているデザイナーでもあり、前ローマ教皇ベネディクト16世が昨年末に亡くなられた後はテレビや雑誌の出演も相次ぎ、別の意味でも時の人となっていました。彼のブースは他にはないほどスタッフ数が多く(12名)、必ず1人が担当として説明に当たるようになっています。常に人気で人だかりのブースのため、こうした全体像が撮影できるのは、朝一だけ。オープン時にスタンバイしていたのは、ローマ店の店長をしているAlessioでした。

 

 

Alessioの凄いところは、とても細かく周囲を見ていること。隠れて撮影しようとしても、必ず視線を送ってきます。監視員のようでもありますが、常に俯瞰で見ているバーの店員のようでもあります。今年のカラーはレッド。Filippoもブラックスーツにレッドのシャツでした。

 

 

Filippo Sorcinelli の新作は2つ。マルコの福音書の16章の中に書かれているイエスの復活のシーンをテーマとした香りと、トランペットの音色をテーマとした香り。使いやすいフルーティーフローラルウッディと、スパイシーなフランキンセンスの香りでした。

 

 

Trampette 8はExtrait de Musiqueの新作で、今回も二日目の展示会の後に、教会でオルガンコンサートを開催してくれました。

 

 

代理店ブースに出展しているのだとばかり思っていたら、単独ブースの出展だったVioletの3人と初対面。いつもAnthonyが窓口となって連絡を取り合っているのですが、彼らは3人で1つのチーム。だから、VictorienとPaulも必ず一緒です。想像通りの好青年たちで、彼らのような若い世代はどんどん応援したい。

 

 

僕は時間があるとこうしたショットを撮って遊ぶのですが、パパラッチショットはセレブになったみたいだよねと笑うツールとなります。普段立ち仕事ではない彼らが長時間立っているのは足が疲れます。関係者日は革靴やヒールを履いていた人たちも、3日目からはスニーカーに切り替えて足を休ませることが多いのですが、Victorienはスニーカーを持ってきておらず、Anthonyはスニーカーに履き替え、Paulは初日からスニーカーだったんだよ、と。三者三様で楽しい。

 

 

真剣な面持ちで新作の説明をするL'Orchestre ParfumのPierre。新作はStudio Musicの新作でブルーラベルライン。何と彼の奥さんは現在第2子をご懐妊中で、長女の誕生日は4月1日。展示会は3月30日〜4月2日だったため、彼は子どもの誕生日に間に合うように、2日目を終えると早々に帰国しました。家族が一番です。今回、彼から150枚しか製造していないというLPを頂いたのですが、どうしよう・・・LPは聴けないぞ。

 

 

JUS Parfumからは新作が4つ。厳密には昨年の新作が3種と今年の最新作が1つです。グルマン3種に新作はアンバーでした。でもそれらの香りよりも右端にあるブルーボトルがブルー系の香りではなくジャスミンだったことに驚きました。

 

 

毎年、展示会でAAOAのファイナリストが発表されるのですが、今年はExtra VirgoのAnimal Cafeがファイナリストの中でも僕は一番クールに感じられました。このブランドは全て調香師の友人Michele Marinの調香で、他の香りもとてもカッコよかったですよ。

 

 

新作リリースのペースがゆっくりだけど、今年3つ目の香りをリリースしたCatherine Omai。最初の香りは420ポンド、2つ目と3つ目は320ポンドととても高価なのですが、この適当にも見える装飾はどうなのでしょうか。手抜きというか雑ではないですか? だって5万円は超えているんですよ。香りは良かったとしてもこれはナシでしょう。しかもほつれてるし・・・。サンプルを頂いたらレヴューしなくてはならない。ということで、スルーとなりました。珍しい黒人女性オーナーということでアフリカのパフューマリーと紹介されたこともありますが、イギリスのブランドです。

 

 

Sabdalia Luxuary Collectionからは、昨年加わったニューコレクションの新作、Mareosが登場。サルデーニャ島はイタリア語の中でも特に方言が強く、文化も特有でユニークです。まだまだ知らないことばかりでとても惹かれるのです。

 

 

Etat Libre d'OrangeからはSous Le Pont Mirabeau (ミラボー橋の下で)が公開に。新作は、フランスで活躍したGuillaume Apollinaireという詩人の代表作ミラボー橋をテーマとした香りに。画家であった恋人との恋の終わりを綴ったもので、セーヌ川にかかる美しい橋と、儚く過ぎ去った愛の時を香りにしたもの。ウッディベースのアクアティックフローラルでした。

 

 

2022年に5つのMood Collectionと5つのMessage Collectionでデビューしたウクライナのパフューマリー、Parfum BÜRO。フレグランスストアがオリジナルの商品展開をするのは良くあることですが、Maurizio Cerizzaの調香ということで注目。後日レヴュー予定です。

 

 

Agatho Parfumからは昨年リリースされた4種のExtrait de Parfumが再度公開に。更に前回プロトタイプだった香りもフルボトルの形となって公開されました。全て調香は上記Parfum BÜROと同じくAFMのMaurizio Cerizzaが担当。本物の石のように重くハードな容器の中に自立しない水晶のようなボトルが収められています。ハードな中にあるとても不安定な要素。異なる側面を表現したかったのだそう。これらは4つの神をテーマとしたEztrait de Parfumです。

 

 

発売日はまだわかりませんが、Agatho Parfumはトラベルサイズの展開も視野に入れており、ウッドボックスにちょうど収まるサイズを用意していました。細部までこだわりのデザインがとてもこのブランドらしさを感じさせてくれます。

 

 

Regalienからは新作としてHatirが公開に。トルココーヒーを飲みながら香りを楽しむというスタイルで、数日前まで楽しんでいたトルココーヒーを味わうことの出来た嬉しさは格別。香りは何とトップにガルバナムをアクセントとしてアイリスの香るグルマンでした。とてもユニークです。

 

 

また、Regalienは今年から既存のラインのボトルわ一新。新たなボトルの方が高級感が感じられます。これは改悪ではなく、改善。

 

 

Coreternoからの最新作はフランキンセンスをテーマとした香りに。ペッパーの効いたフランキンセンスで、奇しくもFilippo SorcinelliのTrampette 8に似た雰囲気に。

 

 

Parfums Dusitaからは、正式には5月発売だというローズの香りRosarineが公開に。ローズらしさが広がるグルマンなローズでした。Nose Shopでの取り扱いもスタートしたみたいですので、この最新作も国内で試せるようになるはずです。こうご期待。

 

 

今回が初出展だったArt Meets Art。 音楽をテーマとしたブランドが多い中でも、誰もが知るポップの名曲に香りを合わせたもので、Marvin GayeのSexual Healingがハニータバコのトロリとしたセクシーな香りだったのに笑ってしまいました。これは、楽しい。ボックスが過剰に豪華ではないのも良さで、最小限に留めて130ユーロです。

 

 

久しぶりのEutopieからはNo.12のAfinadoが公開に。ポルトガル語で調律を意味するタイトルで、テーマはブラジルのジャングル。だから、アーシーなグリーンとなりました。今までボトルにあったラベルはプレートへと格上げ。

 

 

1934年にスタートし、60年代まで栄えていたというパリのフレグランスストアからのパルファム。その頃パフューマリーは多かったけれど、香水専門店、いわば今のセレクトショップ的なものは少なかったそう。当時発売していたお店のオリジナルを3種復刻して2014年に3つの香りでデビュー。現在はGoldとPlatinumの2つのラインで合計9種をリリースしています。メンズ、レディースと分けずGoldとPlatinumにしたのが時代にマッチしています。

 

 

最初の香りも良かったけれど、3つ目の香りがアイリスということで試したくなったParco 1923。今回も調香はLuca Maffeiで、とても美しいアイリスウッディとなりました。彼らはボディケアラインがあったり、山小屋の匂いをテーマとした3つのディフューザーがあったり、国営公園らしいスタイルで楽しませてくれます。

 

 

今回、HoubigantからはPatchouli Sauvage、Ambre des Abysses、Tabac Nomade、Oud Orという4つのメンズフレグランスが公開に。あまり奇をてらわないオーソドックスなスタイルで、タイトルに忠実な香りたちでした。

 

 

Perris Monte Carloからの新作はなかったのですが、Vanille de TahitiにExtrait de Parfumが加わりました。とても深みのあるバニラのオリエンタルな香り。 カラーレスのアブソリュートを使用したようです。

 

 

Room 1015からはフェミニンな女性肌をテーマにしたようなSonic Flowerが公開に。すでに発売となっている香りで、 アイリスとジャスミンにカシミアウッドとムスク、アンブロキサンという組み合わせに、アーシーなパウダリーノートのキャロットシードを合わせた香り。香り自体のインパクトは強くはないのですが、キャロットシードがあることで香りがどこか尖って感じられ、ブランドらしさにつながっていきます。

 

 

今回、スタッドのブレスレットをボトルに巻き付けたスタイルのCherry Punkがお目見え。こうした遊び心がこのブランドの楽しさでしょう。

 

 

Nico ManninoとRobin Dunnerが立ち上げたPernoire。昨年レヴューをアップしましたが、結構楽しかったことを伝えたら、今年の新作はAAOAのファイナリストになったと教えてくれました。これは早々に人気に火が付きそうです。しかも、Robinは大阪外国語大学に半年間留学したことがあり、「これ可愛いよね」と発した一言に反応して会話が始まり、一気に距離が近くなりました。今後がとても楽しみなブランドの1つです。

 

 

もともとPittiで知ったシチリアのパフューマリーが、参加社リストにないまま登場してビックリ。Ciatuは5年振りの再会なのに覚えていてくれて、しかも5年振りなのに新作が2つしかないことに感動したのでした。リリースはゆっくりでいいから、1つ1つ大切に作りこんだ方がいい。ボトルキャップを変えたことでシチリアらしさが強く感じられるようになり、試香紙を入れたり、香りを付けたスカーフを入れたりしているボトル背後の容器は今後キャンドルになるかもしれません。

今年はシチリアから3つのパフューマリーが参加されていました。シチリアと言えばのAntonio Alessandriaは不参加でしたが、会場で会うことができ、新作も香ることが出来ました。祖父母をテーマとしたローズの香りはいかに?

(11/04/2023)

 

 

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