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■The Scent of Excellence

 

 

展示会の3日目と4日目は一般開放日で、登録をすれば入場無料なわけですから、フレグランスファンの人たちにとっても楽しみな二日間となります。でも、今年はその人数が凄かった。会場の外に並ぶ並ぶ並ぶ列。入場規制をしつつ・・・でも、途切れない列。関係者たちはこそこそとその横をすり抜けて行くしかないわけですが、入りづらいことこのうえない。しかも、一般来場者たちは順路に従って眺めていく人たちが多いため、入り口付近のブースには人だかりが多いけれど、奥は1時間経っても2時間経ってもガラガラという事態が今年も起こっていました。もう少し誘導したら良いのに。

 

 

入り口に近いブースだったため、ずっと忙しくしていたDe Gaborのガブリエル。今年は宇宙飛行士をテーマとした香りと、Geisha Diva Rougeが新作としてお披露目となりました。共に後日レヴュー予定です。

 

 

HIC Beautyからは新作が多く、New Notesからはまずクリーミーなチェリーがレッドボトルでお目見え。

 

 

Moresqueからは、Amberesque、Regina di Fiori、Rand Roseというグリッター入りの可愛らしいボトルで3種が公開に。そしてSecret CollectionにはグリーンボトルのSciroccoが追加に。香りはスパイスの効いたオリエンタルレザーでした。

 

 

House Of Oudからは3種のとても可愛らしいCrazy Collectionが登場です。香りももちろん可愛らしいテイストで。

 

 

Pantheon RomaからはAnnoneのフランカーが登場。でもフランカーとせずにAというタイトルになりました。これはAnother SideのAnnoneということであり、 AnnoneはAlbinoの象です。香りはオリジナルとは異なり、フルーティーなトップからクリーミーな穏やかなフローラルムスクへ変化していく香りに。Pantheon RomaのLeoは昨年の7月に父親となったのですが、今回は2日目にお子さんのダンテ君に会うことができました。可愛い可愛い、ただただ可愛い!!!

 

 

Il ProfvmoからはYlang Ylangをテーマとした新作がお披露目に。まだサンプルの用意はなくレヴューは出来ませんが、調香を担当したMichele Marinから直接説明をいただきました。 イランイランの精油感をフローラルノートで和らげてワイルドさを軽減し、より美しくトロピカルにしたサニーフローラルでした。

 

 

Parfumeurs de Mondeからは天然香料だけで調香したとても美しいガーデニアのBlanc de ChineとオリエンタルなAlbedoが登場。天然香料でこれだけ美しいガーデニアが表現できるのは、天然香料の幅が広がったことと、技術の向上も理由の1つに挙げられると思います。

 

 

Parfumeurs de Mondeでも調香しているEllenは自身のブランドから2つのグリーンな香りをリリース。フレッシュな明るいグリーンと、アーシーなグリーン。2つを足したらリアルな草原になりそうです。

 

 

今年初出展だったIn Astraというイタリアのパフューマリー。星をテーマとした香りで、さそり座のアンタレスがどうしてピーチなのか、あれ? さそり座は夏の星座だよね? ピーチは夏の果物だよね? なんて会話が広がる。

 

 

こちらも今年初出展のEternal Journey。時間軸をテーマとした3つの香りでデビューです。夜明けから夕暮れ、夕暮れから深夜、深夜から夜明けと1日を3つに区切った香りでデビューです。え? これで完結なのでは?

 

 

中東系パリという、中東オーナーがパリで展開する、いわゆるフランス製、パリのブランドにしたがる中東系の1つなのですが、これは中東色を消してパリらしくなとめた、久しぶりに好感度の高いブランドでした。各種ホルモンをタイトルとした、でもホルモン物質を含んだわけではないHormone Paris。

 

 

Anima Mundiからの新作は、世界七不思議の1つとされ、実際にあったとされる古代バビロニアの空中庭園がテーマとなりました。Amytisがその庭園を散歩する姿をイメージして調香したのはMichele Marin。アクアティックな噴水、色とりどりの花々に木々のグリーンノート。赤いハートに香りを付けて胸に飾ってね。

 

 

二度目の出展となったLOR Parisからの新作はありませんでしたが、Oud LatteがロシアでFIFI賞を受賞したそう。コロナ前の展示会ではチョコレートがあったよね、なんてあの頃の話で盛り上がりました。

 

 

Barutiでは2022年にリリースされたOh My Deer!が新作でした。もちろん香りはムスクが主体なのですが、アルデヒドが弾けた後にじわじわと迫りくるアニマルノートに笑ってしまいました。タイトルもユニークですよね。オーマイディア、お前はムスクだったのか!!

 

 

Atelier des Orsからは毎年カンヌで開催されている免税店向けの展示会でお披露目され、話題をさらった香りが新作としてお披露目に。Pink Me Upは可愛らしいフルーティーフローラル、Noir ny Bightはキャヴィアの香りを含んだ少しマリンのアクセントがある香りでした。今回Jean Philippeと友人のMeganは会場に来なかったのですが、他のところでインタヴューやPR対応をしていたようです。Esxenceの展示会場とホテルなどのスイートルームというダブルの展開も今後は増えていくかもしれません。確実にアポをとって商談したい人たちを絞り込んで、ランクで二手に分けて対応するということです。

 

大の日本びいきなFrancesco Giniは自分のお店の自身のラインにHomoelegansを組み込みました。自身のお店のラインとしてはcanto Libroが新作で、HomoelegansからはLike A JewelとIvre de Vieが加わりました。これにてHomoelegansは終了となり、Gini Parfumとなります。Like A Jewelが大好きなので、容量アップで価格が140ユーロなんて嬉しい限りです。

 

 

こちらも今年初出展のRosae Virtus。ディレクターにFrancesco Giniと共にHomoelegansをディレクションしていたMaurizio Piazziが担当。オーナーのDavide Dalla Liberaはローズとアイリスの育成栽培農家。だから、日本で言うと京成バラ園がオリジナルのフレグランスを発売していますが、そういう感じです。ただ、Maurizio Piazziをはじめ、アートディレクションやフォトグラファーなど4名によるチームブランドのため、商品づくりがしっかりとしています。フレグランスは四季に合わせた4種で、ローズを軸としながらもきちんとフレグランスとして楽しめる4種となっていました。誰もがローズだとわかる名刺代わりの1本はもちろんローズの季節のRosa Vere。

 

 

天然香料のみで作られる香水は大きく2つに分かれます。それは、合成香料を熟知している調香師が手がけたものと、そうでないもの。NissabaはFirmenichで天然香料の調達に従事していたSebastienが立ち上げたスイスのパフューマリー。一年の半分をかけて世界中の農家を回り、農家とブランドをつなげる橋渡しをしていたそう。売り上げの5%をマダガスカルにはバニラの育成農家になるための専門学校を、パラグアイにもそうした専門学校に先行投資をしています。5つの香りはそれぞれマダガスカル、インドネシア、プロヴァンス、パラグアイ、エルサルバドルとグアテマラをテーマとした香りで、それぞれの地で収穫、採取された香料をメインに調香されています。ボトルもキャップもリサイクル可能で今の時代にあったスタイルと言えるでしょう。とても好感触でした。

 

 

イタリアのカプリ島から到着した新たなブランド、Lucertolablu。2022年に3種のEdPと2種のパルファムでデビュー。このブランドのユニークな点はカプリ島の青トカゲにあります。絶滅危惧種だというその青トカゲの保護を目的としてブランドが誕生したのです。フルボトルは160ユーロですが、15mlのセットは75ユーロ。カプリ島と言えばCarthusia一強でしたが、これからはLucertolabluも知名度を上げていくことでしょう。

 

 

Pierre Guillaumeからは、今回PG 14.2とPG 31.1の2つの新作がお披露目に。 14番の香りのテーマはアイリス。ヴァイオレットリーフの効いたグリーンなアイリスとなりました。31番の香りのテーマはトンカビーンで、31番はTonka Bodykonというダークなオリエンタルグルマンなトンカビーンでした。その別バージョンということで、エアリーでフレッシュなトンカビーンに。となると、そう桜の香りを思い起こさせるものだったのでした。

 

 

Lucien Ferrero Parfums はボトルを変えてAnthologieとなって生まれ変わりました。現在はLucien Ferreroの調香のみですが、今後はJean-Claude Ellenaも加わっていくようですよ。新作はC'est. MutineとC'est. Rebelleで、30、100mlが80、160ユーロで5月より発売に。

 

 

Rubiniからはodenatureが公開に。グリーンのリサイクルパッケージに包まれた香りは、3種もカモミールを使用したという今までの3種とは違う、もっとアロマティックでフローラル感のある香りとなりました。新作のリリースはゆっくりですが、1つ1つ丁寧に作りこんでいます。今回も調香はCristiano Canaliが担当。彼はいつも地下のOsmotequeコーナーにいるのですが、時折ブースに顔を出して説明していましたよ。

 

 

昨年ボトルリニューアルをしたLe Galionからの新作は2つ。共に調香はRodrigo Flores-Rouxで、Ferveurは彼が好きなラブダナムの効いたオリエンタルに。もう1つはフローラルブーケのL'Astre。スターという意味のタイトルなのは、1950年代後半にSortilegeの広告塔となっていたAva Gardnerとのライセンス契約を結び、彼女のために作っていた香りが再調香して生まれ変わったから。3年かけてご家族と契約にこぎつけたのだそう。また、このボトルになったことでメンズとレディースの香りがユニセックスとなって統一されたわけですが、そのボトルを手がけたのはJules Dinand。もともとのオリジナルを手がけていたのはJulesの祖父の著名なPierre Dinandなのです。そう、お孫さんが現代のボトルをデザインしたのです。Headspaceのボトルも彼だし、この秋からリニューアルするというZoologistの新しいボトルのデザインも彼。僕はJules Dinandとお会いすることが出来ました。とても好青年です。

 

 

Santi Burgasからは新しいドロッパーボトルでのEau Dadetteが登場。可愛らしい掌に収まる以前のハンドメイドボトルも良かったけれど、1滴ずつ滴下できるこうしたボトルもまた可愛らしくていいですよね。

 

 

今年の展示会の中で、アイリスに続いてキーワードだったのがオスマンサスでした。他にもカカオやピスタチオ、コーヒーなどどこかナッツ様の香りがするものも多いみられましたが、Olfactive Studioの新作Smoky Soulもその1つ。スモーキーなラプサンスーチョンティーにオスマンサスを重ねた中国風のテイストで、調香はMarc-Antoine Corticchiatoが担当。これは買いの1本ですが、発売は少し先の9月だそう。

 

 

2018年にパルファムのL'Iris de Fathをリリースして大ヒットしたJacques Fathですが、今年はEdPバージョンが発売に。濃度を変えてみたらバランスが崩れてしまい、結局パルファムのニュアンスに近づけるために再調香したのだそう。 とても美しいアイリスでした。

 

 

L'Iris de Fathを調香したのはMaelstromのPatrice Revillard。Marie Schnirerと共に記念撮影を。

 

 

Fath's Essentialsに加わった新作はJasmin de Toscaneでした。3種のジャスミンを使用して作られたのは、ウエディングにぴったりなホワイトフローラルブーケ。

 

 

Francesca BianchiによるセカンドラインHedonikに2つ目の香りが登場。彼女の香りはボトルもキャップもシンプルな分、低価格にしているのですが、どうにも香りがワイルド過ぎて馴染みづらいのが難点。どれもこれも野獣系が潜んでいるのです。それはスタッズのアクセサリーにも象徴されていますが、彼女がそうしたテイストを好んでいるから。

 

 

Miller et Bertauxの新作はwalk like an Egyptian ... というエジプトをテーマとしたもの。だからフランキンセンスやミルラにウードやシプリオールが重なるオリエンタルとなっていました。この香りはまだプロトタイプで発売はしばらく先になるそうです。

 

 

上述のMaelstromのPatrice Revillard。Marie Schnirerが調香した香りで生まれ変わったのはBienaime。1935年にRobert Bienaimeが創設した老舗パフューマリーですが、香水のみならず、いろいろあって可愛らしいのです。ボトルもパッケージも全てが可愛らしい。キャンドル用のマッチとライターもあるのですが、ライターは何と日本製だそう。これは日本人が好きそうです。クラシカルなフレグランスの復刻ということで、全体的にパウダリーなトーンが強い3種でした。

 

 

すでに国内発売が決まっているというFreeShapeという新しいパフューマリー。会社名をお聞きしたのですが、誰も知らないという・・・。大丈夫? 香りはアクアノートだったのAmbroxanが強かったり、ちょっと・・・という感じですが、天然石をキャップにして、台座まで同じ石で作ってボックスに収めたり、イタリアらしいデザインです。

 

 

残念ながら日本からは撤退となったAngela Ciampagnaからは、LevisとVisがVirtus Collectionに加わりました。豪華なフローラルアブソリュートの香りと、オリエンタルな2つで、別ラインでも2つが公開に。Angelaの娘さんは大の日本好きで、日本語の勉強をしているそうですよ。

 

 

Manos Gerakinisからは昨年の展示会直後にリリースされたMethexisが最新作として公開に。

 

 

Step Aboardからはミラノ、ロンドンに続いてシカゴの3種が登場です。 シカゴの駅ではなく有名なモニュメントがテーマとなっていて、ユニークな香りもありましたが、サンプルはなくまだプロトタイプでした。日本人にとって髪や身体に満遍なくスプレーするというのは香り過ぎる感じがして躊躇してしまいますよね。でも、この香りは高濃度ではないので、比較的あっさりと消えてくれるのです。たまにはこうした香りを楽しむのも良いものです。だって58ユーロですから!!

 

 

ちなみに、オーナーのGeorgiana Mocanuはただいまご懐妊中!!

展示会は初日の2日間が関係者日。その2日間が勝負のため、2日間で出来る限り多く回らなければなりません。3日目は一般公開ということもありますが、疲れてしまっていろいろ見たい、香りたいという気持ちが薄れてしまうのです。初日2日間から漏れたブランドは来年への持ち越しとなるわけですが、昨年漏れて、今年もまた漏れたブランドももちろんあります。そうしたブランドたちはご縁がないままとなるわけですが、Fragranticaのような大きなチームは、ブランドごとに担当を分け、各々が細かくインタヴューをしていくことで記事の精度を上げています。一人でそれを行うことは難しいので、僕は後日ゆっくりとレヴューすることで別の視点からの記事となるわけで、それを情報源としてくれる人たちのためにコツコツとレヴューを続けます。

(12/04/2023)

 

 

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